125.学校建築
息抜きに料理教室を開き、美味しいものを文字通りお腹いっぱい食べて英気を養いしっかり休んだ。
ので。
次の建築に入る。
「これは……なかなか大掛かりですね」
次の建築。
それは学校。
うちの街、初の学校を作る。
カーンッ……カーンッ……カーンッ……ガヤガヤ……!
学校建設予定地に、建築音や人の声が響く。
「申し訳ありません、主様。これだけご助力いただいても……完成までにはそれなりのお時間を頂くことになるかと」
そう言いながら俺の前で腰を折るのはルシュ。
それに全然かまわないから気にするなと声を掛ける。
なんせ今回は規模が規模だ。
今回の学校建築。
とんでもない規模でやっている。
どれくらいの規模かと言うと……区画規模。
ここ……レースピアの街は、俺の屋敷を中心に、大体六角形で区画分けして広げている。
そしてこの区画は基本種族ごとに使っている。
コボルト区画、エルフ区画、ドワーフ区画……みたいな感じで。
この種族まるごとで使っているほどの大きい土地……区画を今回はそのまま学校にしようとしているわけだ。
これまで作ってきた区画内の一施設なんかよりはるかに大きい施設。
俺が直々に頼んで、住民皆に手伝ってもらっていると言ってもまあ時間かかるだろう。
さて、なぜこんな規模で学校を作っているかと言うと……間違いなく必要になるだろうからだ。
この間レースピアの街はケットシーたちを受け入れ商会を作った。
それに伴い貨幣を流通させることを決めた。
今みたいなトップ……俺からの支給制だったら人口が増えたら負担がバカにならないので。
そしてさらにそこに警察署なんかも作り、住人たちが書類……文字や数字に触れる機会が多くなることも予見される。
しかし……うちの街、文字が読めたり計算できたりするものはそう多くない。
話を聞くに、これはうちに限ったことじゃなく、この世界全体でそう言えるらしい。
ちゃんと文字が読めたり計算が出来るのはちゃんとそういった教育を受けている物だけで、いわゆる一般市民なんかはまず読めないし計算できない、と。
リネイアがそう教えてくれた。
ちなみにうちの街でしっかり読み書き計算が出来るのは、基本デモンズ、エンジェル、エルフ、ケットシー。
デモンズとエンジェルは種族単位でこの辺りしっかりしているらしく全員。
「契約魔法を使うのなら当然知識は必要なので」
「勉強は面倒だったけどねー……」
エルフたちは一部例外はいるもののこちらもほぼ全員。
「エルフ族は長命なので……。例外は知識よりも優先して磨くものを見つけたエルフです。例えば弓などを」
ケットシーたちは種族としては全員出来る訳では無いみたいだが、うちに来た者たちは全員出来た。
「にゃふふ~……商会やるなら必須ですので~」
個人で言うならそこに、ルシュ、フィーネ、トゥーナ、エイリス。
トゥーナはまあ妥当。
一応マーメイドの姫って言ってたし。
「えへへぇ。ひれ根っこひっつかまれて勉強させられましたぁ」
ひれ根っこ?
エイリスはちょっと意外だったが……こっちもまあ妥当だな。
姫……というか女王蜂だし。
「ふふん! 当然でしょ!? 私はこの世の何よりも強く美しい女王なんだから! ……ちょっと何よその顔はー!」
そしてとても意外だったのがフィーネ。
失礼ながら読めないだろうと個人的に思ってたら普通に読み書きも計算もできるらしい。
まさかだったな……。
「水の中にいろいろいっぱい落ちてたからね~」
そうだとしても、それで学習しようと思ったのは正直凄い。
そう思った。
そしてルシュ。
こっちは、俺は昔から……街に来た当初から読み書きも計算も出来ると思っていたのだが、違ったらしい。
「はい。主様の秘書になるに当たり、リネイアに教えてもらって猛勉強しました」
そう。
最初から普通にこなしていたから俺目線ではわからなかったが、実は見えないところで努力していたらしい。
頭が下がる。
そういうわけで抜けはあるかもしれないが、読み書き計算が出来る者はこれくらい。
後は話すことは出来ても書けなかったり、数字は分かっても計算は出来なかったりとかそんな感じ。
歴史だけちょっとかじったとか、戦術論だけちょっとかじった、なんて者は居たが。
まあそんな感じで、識字率を上げるため、計算が出来る住民を増やすため。
学校を建築することにしたわけだ。
この先……街で子供が生まれだしたときの為にもな。
やはり教育は大事だ。
そういうわけで区画丸ごと贅沢に使い学校の建築に入ったわけだ。
ここまで大きくする理由としては、将来的に必要になるだろうというのが半分。
もう半分はデカい学校はロマンだから。
……いや分かっている。
結構なわがままだということは分かっている。
だけど、ほら。
色んな区画に点在させるよりは一か所にまとめた方がやりやすいし、併設する設備のことも考えたら、こうした方が結果的にスペース削減にもなるし。
通う側としても広い方がうれしいだろう。うん。
まあもう建築は動き出しているので、心の中で言い訳しつつも、俺もガンガン整地をやっていく。
整地をやっているのは俺とラウーム率いるハイノームたち。
土魔法を使い大地を操り、建物を立てやすい平坦で頑丈な土壌を作っていく。
「ガンガンつるつるにしていくっすよー! この世の起伏を全て平らにしてやるっすーっ!」
いやそこまではしなくていいけどな。
そしてそこに建築チームを中心に住民総出でどんどん建築を進めていく。
「必ず主様にご満足いただける建物を作り上げます。お任せください」
……さすが頼もしい。
校舎の建材は木材と石材、マナコンクリ。
まずはドロドロの状態のマナコンクリで形を作り、それを火の精霊のイフリータと風の精霊シルフに固めてもらう。
こうすることで素早く固まるとともに、マナコンクリが更に頑丈になる。
「はっはっはっ! 俺の炎はこんなものではない!」
「……ちょっと。やる気出すのは良いけど、ほどほどにしてよ? こんなんで火事になるとかシャレにならないからね? ……聞いてないし」
……消防署は作ったけど火事が起きて欲しいわけじゃないからユウフは頑張って止めて欲しい。
そうして、木材と石材で校舎を作っていく。
作るのは当然校舎だけではない。
まずは運動場。
こっちは整地を終えたら俺とノーム達で作る。
ケンタウロス族にも協力してもらっていい感じのトラックを作る予定。
「任せてくれ代表さん! 走ってて気持ちいいとこにするからよ!」
体育館。
こっちは校舎の後に作る予定。
天井が高いので作るのは少し難しいが、飛べる種族や……アラクネ族に手伝ってもらう。
アラクネ族の糸は頑丈だからな。
限度はあるがクレーンみたいに使える。
校舎の高いところも手伝ってもらう予定だ。
「おーほっほっほっ! これくらいでアラクネの糸は切れませんわ!」
「ひー糸に絡まないように飛ばなきゃいけないの気を使うー」
プール。
学校と言えば当然必要だろう。
作るのは25mのオーソドックスなもの。
俺がつるはしで掘ってハンマーで固めればすぐに出来上がる。
水はウンディーネにお願いする。
……そろそろ暑くなる兆し見えてきてるし街の方にも作りたいな……。
「いくら作っても水はわたしが持ってくるから安心していいよあるじ~」
植物園。
デカい学校にはあるものじゃないか? というイメージで作る。
いずれは植物園兼飼育所にもしたいので動物用の小屋もいくつか備え付ける予定。
ハイドワーフたちが頑張って作り上げていた大型のガラス窓をふんだんに使い、しっかり日が入る構築に。
「はっはっは! 鍛冶妖精のヴィーラント殿もとても頑張ってくれましたぞ!」
「恐縮!」
……またちょっと口調おかしくなってないか?
そして中の植物の用意と世話はエルフとマイコニン、あとビープルと妖精にお願いする。
「お任せください代表様」
「いひひ……キノコも植えて良い……?」
……まあ常識的な範囲なら。
「見るも鮮やかな完璧な花畑園にしてあげるわ!」
「仮に日が入ってこなくても大丈夫! その時は私がどうにかするから!」
「ヤーファは火の妖精だから燃えちゃうだろ。……僕もフロストフラワーをこちらに株分けしようかな」
……くれぐれも常識的な範囲内で頼む。
図書館。
入れる本なんて今は無いが、いずれ埋め尽くしたいなあと言う考えで大きい図書館を作る。
今は建物と棚だけ。
……になると思ったが。
リネイアとフォイルが個人的にいくつか寄贈してくれた。
「知識は大事ですから」
「ファンタスティックその通り! 気にする必要はないよ」
ありがとう。
購買食堂。
購買と食堂をまとめて詰め込んだ施設。
当然必要だろう。
お弁当も良いけど学食も良いものだ。
購買部の方はケットシーに運営を頼む。
「お任せください! がっぽり稼ぎます! にゃ!」
いや、止めはしないが程々で頼む……。
そして食堂の方は有志で運営しようと思ったが……少し時間はかかるが、キールが家事妖精を手配してくれるらしい。
「ここまで大きい施設なら、ここで厄介になりたいと考える家事妖精もいますので」
ありがとう。
お願いする。
と、まあこんなところか。
他にも必要になったときの為に土地は余らせているが、最初の時点で必要なものはだいたいこんな感じだと思う。
それじゃあ皆の力を合わせ……学校を完成させよう!




