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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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12.冬のコボルトたちと春の訪れ

 ルシュの木像も作りつつしばらく。

 どんどん冬の寒さが厳しくなってきた。


 吐く息も白くなり、外出するのにも多少の覚悟を要するほど。

 だがまだ外出は出来るレベル。


 なので俺はコボルトたちの様子を見に行っている。

 ルシュが定期的に連絡に来てくれるが、こちらもコボルトたちの様子を見ておきたい。


 ふむ……見る限りは問題無いようだ。


 コボルトたちの家は俺の家よりも広い。

 十人が一緒に住んでいるからな。


 男女に分かれた寝室二部屋。

 それに全員が集まれるリビング。


 寝るとき以外はこのリビングにみんなで集まり交流している様だ。


 小物を作ったり、おしゃべりしたり……。

 ひたすらにごろごろしているものもいる。


 皆に共通しているのは安心感の様だ。


 これまでの放浪生活からの解放。

 落ち着くところを見つけられた安堵。

 この先も安定して暮らしていけるという希望。


 皆笑顔で思い思いに過ごしている。


 食料も住居もギリギリだったのに受け入れて、何とかここまでこぎつけた。

 この姿を見ると頑張ってよかったな、と思う。


 それに、移住を決めてくれたことにも感謝だ。

 敬意の対象であるフェンリルのシロが居たとはいえ、ほとんど何もないような場所によく住み着いてくれた。


 ありがとう。


「いえ、お礼を言うのはこちらです主様。ここにたどり着く前の私達は、果ての無い放浪に希望を見いだせずにいました。ですが今は当然の様に今日よりも良い明日が来ると心から信じられています。すべては主様のお陰です」


「ルシュの言う通りです! 受け入れて頂いて礼を言うのはこちらですよ!」


「主様はふんぞりがえっていても構いません!」


 流石にふんぞりがえりはしないが……まあ、そう言ってくれるなら良かった。


 これからもこの拠点……いや、街を発展させて、ここに住む種族がみなこんな風に笑顔で過ごせるような姿を見たい……、俺はそう思う。


 そう改めて決意し、その日はコボルトたちの作業に混ぜて貰った。

 みんなでワイワイ盛り上がって仲を深められたと思う。




 そうして冬の間は基本的に室内で過ごした。


 転移してからこっち基本的に働きっぱなしだったからのんびりできる時間だった。

 特に意味もなく一日中ゴロゴロする日とかもあった。


 自分でもかなりリフレッシュできたと思う。


 コボルトたちに毛皮を防寒着にして貰ったのと、食料が越冬に問題無いくらい備蓄できたのが大きいな。


 やっぱり不安要素が少ないと心に余裕ができる。

 だがいくつか改善点も見つかったな。


 一番大きいのはトイレだ。


 それなりに近くに作ったとはいえ、外を歩かなければならない。

 やはり前世みたいにトイレも全部室内で完結させたい。


 次の冬までには頑張ろう。


 ふぅ。


 こういった改善点も考えながら過ごしていると……春が来た。




 春が来たと言っても暦なんてわからない。

 分からないので水路の氷が解けた日を春の訪れとした。


 まだ肌寒さは残っているが、かなり寒さは和らいでいる。

 外に出て背伸びをすると思わずんん~っ、と声が出てしまった。


 シロも背にムイを乗せて俺の周りを走り回っている。

 寒さがマシな時に一緒に散歩していたとはいえ、それなりにフラストレーションがたまっていたみたいだ。


 それにしてもシロは……この冬でかなり大きくなったな。

 四足歩行の状態でも俺の胸あたりまで体高がある。

 二本足で立ったら俺の身長も優に超えるだろう。

 これ以上大きくなるならシロ用の家も考えないとな。


 そしてシロたちだけじゃなくコボルトたちも外に出て背を伸ばしている。

 シロについてまわるように軽く走り回っている者もいてコボルトたちも春の訪れを喜んでいるようだ。




 さて、春になってまず俺がやったことは周囲の確認だ。


 魔物も活動が鈍くなると聞いたし、実際襲撃なんかはなかった。

 周りを一回りしてみても堀に痕跡もない。

 どうやら本当に冬は比較的安全みたいだな。


 周囲を確認したその足でフィーネのところへ向かう。

 水とともに凍眠すると聞いたが、水が解けたら起きてくるのだろうか……。


 フィーネの住居(住居というより泉と言った方が近いか?)に着いたが、氷は解けているようだ。

 声を掛ける。


「ふあぁ~……おふぁよぉ~……」


 どうやら起きてきたようだ。

 調子はどうかと尋ねる。


「大丈夫だよぉ~。よく寝たから今日からしっかり頑張れちゃう~」


 それは良かった。


 冬の間はフィーネの力が借りられなかったから、入浴が出来なかった。

 毎日体を拭いてはいたが……やはり湯につかりたかった気持ちはある。


 と言うわけで早速お湯を沸かして貰った。

 冬の間は火魔石ファイアストーンは使わなかったから、在庫はかなりある。


 ムイとシロと一緒にお湯につかる。


 はぁ~。

 気持ちいい。


 久しぶりにお湯につかる事が出来てほっとした気分になった。

 やはりこの体の芯からじんわり温かくなる感覚は良い物だな。


 すっとつかっていたい気もするが一番風呂を譲ってくれたコボルトたちに悪い。


 ある程度堪能したら風呂を出る。


 ちなみにその後はコボルト女性→コボルト男性の順で入ったようだ。

 コボルトトップのルシュが女性だからパワーバランスは女性の方が強いみたいだな。




 さて、風呂も堪能したし早速仕事に入る。

 まずは臨時トイレを解体することからだ。


 フィーネも目覚めたし、水路の水も解けて流れ始めた。

 これなら流水&浄化の魔法陣式のトイレが復活する。


 冬の間役に立ってくれたことを感謝しつつ解体する。

 解体して出た木材は薪にする事にして、跡地の地面には念の為、匂い予防で灰を撒いておく。


 これで大丈夫なはずだ。

 問題が出たら……上から土を更にかぶせてハンマーで固めようか?

 まあその時になったら考えよう。

 臨時トイレ……冬の間役立ってくれてありがとう。




 そして次。


 耕作だ。


 分かっていたつもりだったが……食事の心配が無いと言う事がどれだけ人を安心させるのかを痛感した。

 この冬のんびりと過ごす事が出来たのは、食料の心配が無かったことが一番大きい。


 というわけで、冬を越えてカチカチになっている土を掘り起こしていく。

 つるはしで。


 何度も言うが仕方がない。

 俺だってクワとか使いたい!


 まあ仕方がない。

 もっと種族が増えればそのうち創造神器もクワとかに変えられるようになるだろう。

 その時の楽しみにしておく。


 俺がつるはしで穴を掘り、出た土をルシュたちに穴に入れてもらう。


「ありがとな。助かるよ」


「いえいえ、当然の事ですよ」


「耕作が一段落したら宴でも開こう。まだ食材は有るからな。無事最初の冬を乗り越えられた記念だ」


「それは楽しみですね!作業にも身が入ります」


 そういう事になった。

 やっぱり楽しみがあるのは大事だからな。




 そんな感じで掘り起こしと種まきを終え俺は次に果樹の様子を見に行く。

 冬の前に植えたからちゃんと成長してくれているか不安だったが……。


 杞憂だった。


 問題無く伸びて枝に葉を付け始めている。

 成長も早い。


 これなら次の冬が来る前に果実が取れるようになっても不思議じゃないかもしれない。

 期待しておく。




 耕作は終わったので早速宴……の前にもう一つ。

 かまどをつくる。


 とはいっても簡単なものだ。


 まず大きめな石をお椀状に削る。

 石鍋と同じようにだ。


 やはりやりづらい。

 石細工用の道具も欲しいな……。


 幾度か失敗しながらも完成。

 そうしたらハンマーでカチカチに固めた土の上にかぶせて完成。


 さて、何故いきなりかまどを作ったかというとパンを作る為だ。


 冬の前の収穫で取れた小麦。

 冬の間にコボルトたちが挽いておいてくれたのだ。


 と言う訳で早速パンを焼いてみたんだが……。


 何と言うか……これじゃない。


 それなりに柔らかくはあるが、平べったいし思ったよりもそもそしている。

 ここで俺は気付いた。


 ああそうか!イースト菌!


 パンを膨らませる為には必要だと聞いた事がある。


 ルシュたちにも確認してみたが、どうやら集落に居た頃はイースト菌らしきものがあったらしいのだが、バラバラになった時のどさくさで無くしてしまったらしい。


 まあないものねだりしても仕方ない。

 それならそれで食べ方がある。


 というわけで再び石鍋スープを作る。

 じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、干し肉を煮て岩塩で味付けするあれだ。

 冬の間に使いきれなかった食材がまだあるからな。

 このスープにパンを浸して食べればスープの味を吸ってかなり美味しくなるだろう。




 というわけで宴の始まりだ!

 皆にスープとパンをよそい、冬を無事に越えられたことを祝う。


 実際にパンをスープに浸して食べてみるが……美味しい!

 スープの旨味がパンにしみこんで、パンを噛むたびにじゅわっと旨味が飛び出してくる。

 スープと一緒に食べれば現時点のパンでも十分美味しいな。


 どうやらみんなも同意見のようだ。

 コボルトたちはパンを浸して食べてうまいうまいと歓喜の声を上げている。

 ムイとシロもはふはふと食べているし、フィーネも頬に手を当てご満悦だ。


「ふふっ……本当に美味しいですよ主様。冬の間は基本焼いて食べるだけでしたから……たまのご馳走、という感じがします」


 そうルシュが声をかけてくれる。

 喜んでくれてよかった。

 やってよかったと思えるな。

 これからも何かの節目にはこういう食事会……宴を催してもいいかもしれない。


 そうして俺たちはみんなで宴を堪能した。




 そして宴の翌日……俺の目の前に見知らぬ女性がいた。


「えぇと……私です、主様……ルシュです……」


 そう、昨日は俺の腰ほどもなかったルシュが……一晩経ったら俺の肩ほどにまで大きくなっていたのだ。

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