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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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108/123

108.矯正と謝罪

「にゃんでぇぇぇーーーーーーっ!!!」


「あっ、その台詞私の専売特許ですっ! 使用料! 使用料を要求します!」


 宣言した二秒後。

 俺が何か反応する暇もなく、後ろに控えていたハイラとリネイアによってエイリスと名乗った彼女は制圧されていた。

 目にも止まらぬ体捌きでぬるりと俺の前に出て来たと思えば、二人がかりでリネイアを投げ飛ばし、ハイラがどこからともなく取り出したロープでグルグル巻きにしている。


 エイリスはにゃんでと泣きわめき、その言葉に対してなぜかニャジットが使用料を要求している。

 うん。カオス。


「……ターヴィー。先ほどの護衛二人の動き見えたか?」


「……。」ブンッ……ブンッ……。


「やはりか、俺も見えなかった。こんなところに有ることといい……やはりとんでもない場所のようだ。ニャジット殿が語った「楽園がある」という噂もあながち間違いでもないかもしれんな」


「……。」コクッ……コクッ……!


 ……いまだ泣き叫ぶエイリスに、しつこく使用料を要求するニャジット。

 そして無言でエイリスを取り押さえるハイラとリネイア……いや無言じゃないな。聞こえないけどエイリスに何か言ってるな。

 言われる度にエイリスの顔色が悪くなっていっているのが分かる。やめてあげてくれ。

 そしてそんなハイラとリネイアを見ながら感心? 畏怖? しているスロールとターヴィー。


 うん。

 これ俺がまとめないといつまでも続くやつだな。


 パンッ!!


 そう悟った俺は大きく手を叩き注目をこちらへ向ける。


 えー……まずはエイリスを……、


「処刑しますか?」


「市中引き回しが妥当かと思いますが……」


 しないしないしないしない怖い怖い怖い怖い。


 一切表情を変えずにそう進言してくる二人。

 言われたエイリスは目に見えて分かるぐらいガタガタガタガタと震えている。


 ……とりあえず処刑なんてしないから放してあげてくれ。


 俺がそう言うとハイラとリネイアはしぶしぶ……といった感じで、エイリスを抑えていた手を放す。

 エイリスはほっとした様子だ。

 いやまだグルグルに縛られてるんだけどな、君。

 ともかく、まずは……。


 えぇと……エイリス? 何であんなことを…?


 床に転がってうにうにしながらなんとか立ち上がろうとしているエイリスにそう質問する。


「え? 何でって……」


 俺に問われたエイリスはうにうにと床を這いまわるのを止め、こちらを見る。

 ……首が凄く痛そうなのでしゃがんで目線をある程度あわせる。


「あ、ありがと……こほんっ! それはもちろん! ここを私が支配する為よ!」


「やはり処刑を……」


「馬車に括り付けて……」


 待った待った待った待った待った。


 具体的な処刑方法の相談をし始めたハイラとリネイアを止め、そのままエイリスにさらに話を聞く。


「ピゥ……っ! な、何よっ……! 私は支配出来て幸せ! あんたたちは支配されて幸せ! みんなハッピーの素晴らしい提案でしょ!? 何でこんな脅されなきゃいけないの!」


 転がったまま威勢よくそう言ってくるエイリス。

 この状況でも強気に出られる気持ちの強さは正直凄いと思う。

 だがどうしたものか。

 流石にこれを受け入れてしまったら結構なトラブルのもとに……。


 と、俺がそう頭を悩ませていると。


「代表様。ご提案があります」


 悩んでいた俺にハイラが声を掛けて来た。


 提案?


「はい。私とリネイアさんで少し彼女を説得しようと思います。良ければお時間を頂けないでしょうか?」


 リネイアと共に俺に近寄ってきてそう提案してきたハイラ。

 処刑だ何だと口にしていた光景が思い起こされ……。

 いやついさっきの出来事だけど。


 ……大丈夫だよな? さすがに暴力振るうとかは……。


「ご心配なさらず。少しお話しするだけです」


 ハイラはそう言う。

 リネイアもこくこく頷いている。

 エイリスはぶんぶんと勢いよく首を横に振っている。

 そんな必死になって縋るくらいなら初めから言わなきゃよかったのに。


 まあ、話すだけなら別に構わない。


「!?!?」


 このままずっと支配だ何だと言われる方が困るので、俺は二人に許可を出す。

 エイリスが、私を裏切るのか!? みたいな目で見てくるけど、自業自得だからな?


 というわけで、抱えられて別室に連れていかれるエイリスを見送る。


「いやっやめっ……助けなさいよぉぉぉぉ~~~~~~っ!」


 ごめん、無理。


 バタンッ!


 扉は閉まり、声も聞こえなくなる。

 まあ俺に宣言した以上あの二人も話だけで済ませるだろうから大丈夫だろう。

 さて。


 えー……ニャジッタ、スロール、ターヴィー、街に迎え入れるに当たってお前たちが何をしたいか詳しく聞かせてもらってもいいか?


「えっ!? あっ…ああ……もちろん構いませんけど……」


「ふむ、流石だな。あれを見て微塵も動揺が無いとは……器が広い」


「そう、だ……」


 いや動揺してないわけじゃなくてする前に押し切られたっていうか……まあいい。

 早速何がしたいか聞かせてもら……。


 ああ、でも先に聞いておきたいことがあった。


「? それは?」


 にゃんでに使用料発生するって本当なのか?


「にゃんで今にゃんですか!?」


 おぉ……本家本元? のにゃんでだ。




「この度は浅慮な発言、誠に申し訳ございませんでした……これからは心を入れ替え、粉骨砕身レースピアの発展にお力添えしていく所存です……」


 ……うん。

 誰? これ?


 ニャジッタ、スロール、ターヴィーの三人と和やかに談笑することしばらく。

 別室に行っていたハイラ、リネイア、そして連れていかれていたエイリスが戻ってきたんだが……。

 戻ってきたエイリスの開口一番の台詞がこれ。


 えぇと……話すだけって言ってなかったか?


「「もちろん、お話しただけです」」


 ハイラとリネイアが口をそろえてそう言う。


 いやだけど話をしただけでこんなに変わるなんて……。


「「彼女はとても物分かりが良かったので」」


 ……うん。

 多分言う気ないな、これ。

 まあ、許可出したのは俺だし……さすがにその内ある程度は元に戻る……戻るよな?


「それと代表様、お一つ謝罪したいことが……」


 ん? 謝罪?


 エイリスの将来について少し心配していた……なんかこう言うと親みたいだな……俺に、目に見えてわかるほど眉を下げたハイラがそう言ってきた。


「はい……代表様の護衛を疎かにしてしまったことに対する謝罪です。申し訳ありません」


「私たちとしたことが、彼女の言葉につい我を忘れてしまい……申し訳ありませんでした」


 そう謝って来るハイラとリネイア。

 ……そう言えばそうなるか。

 言われるまで気付かなかった。


 別に護衛なんか気にしなくても……とは思うが。

 二人ともかなり落ち込んでいる様子だ。

 特にクールなハイラが目に見えるくらい沈んでいるということは、この世の終わりかってくらい落ち込んでいるということだ。

 ……流石に言い過ぎか。


 まあ、そう気にしないでくれ。

 確かに護衛は無かったが、皆で談笑していただけだし問題はない。


「「ですが……」」


 あー……うん。

 それじゃあ次、これからの働きで挽回して欲しい。

 期待してる。


「……ありがとうございます。代表様がそう仰ってくださるのであれば」


「今度こそは何が来ようともわが身が砕ける覚悟で護衛いたします」


 いや、そこまでの覚悟はいらな……いんじゃないかなぁ……?


 そう声を掛けるが、意気込んでいる二人には通じていない。

 いや……うん、まあいいか。

 やる気になってることは良いことだしな。


 まあそういうわけで。

 いろいろ? あったが、とりあえず自己紹介もしたし、やりたいことなんかも聞くことが出来た。

 エイリスには聞いてないけど。

 まあそれは置いておいて。


 えー……レースピアの街は君たちを受け入れる。

 これから一緒に頑張っていこう。

 よろしく頼む。


「よろしくお願いしますぅ~♪」


「よろしくお願いする」


「お願い、する」


「受け入れていただき、幸甚の至りにございます。これから末永くよろしくお願いいたします」


 俺はそう言って、皆の返事を持ってその場を締め……。


 ……うん。

 これ元に戻るんだろうな? エイリス。


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