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ゆるっと街づくりin異世界~すべての種族が住む街を作れ!?~  作者: 下河スズリン


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101/120

101.宴会、二日目――

 宴が明けて翌日。

 俺の姿は再びキッチンにあった。


「いひひ……代表さん、出来上がってるよ……これが欲しかったんでしょ……?」


 そんなちょっとアブなく感じる言葉と共に、ニチャが頼んでおいた発酵食品を持ってきてくれたからだ。




 キッチンで俺はニチャを褒めちぎっている。


 ありがとう、ニチャ! 流石だ! 持ってきてくれてありがとう!

 ……ちょっと取り出し方は怪しくてびっくりしたけど!


「いひひ……ちょっと傷つくかも……いひひ……」


 そんな会話をしながらニチャが持ってきてくれたモノを見る。

 そこにあったのは……。


 まずは味噌。

 最初から素晴らしい。

 和食と言えば、で一、二を争うほど早く出てくる調味料、味噌。

 味噌汁、味噌焼き、あるいは隠し味としての使用など……今から軽くよだれが出てきてしまう。

 最高だ。


 次にみりん。

 これも素晴らしい。

 味噌や醤油と合わせるだけでお手軽調味液に早変わり。

 みりんを入れれば味も沁み込みやすくなるし、これで照り焼きなんか作った日には……。

 鶏肉が欲しくなってきた。


 次、料理酒。

 これもみりんと同じ、料理にとても役に立ってくれる、素晴らしい。

 肉や魚の生臭さを消したり、硬い肉を柔らかくしてくれる。

 いろんな肉に使ってみたい。


 さらに次、酢。

 素晴らしい。酢飯が作れる。

 海鮮丼や寿司用のシャリに使えるばかりか、なんと健康にも良い。

 身体を柔らかくしやすくする効果もある。

 さらにさらに加工すれば他の調味料も作れるようになる。

 このあと早速作ろう。


 そして、納豆。

 これも素晴らしい。

 納豆は結構好みが分かれる食品だけど俺は好きだ。

 醤油で食べても良いし、海が見つかったんだからその内昆布だしやカツオだしも作れるようになるだろう、おそらく。

 ということで出汁で食べても良い。

 更にそれをほかほかのご飯に混ぜようものなら……うん。

 最高。


 ……にしても。

 今更だが納豆菌って結構最強って聞くんだが大丈夫だったのか?

 一応工房同士はそれなりに離れたところに作ったんだが……。


「ふふ……大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら、だいぶ大丈夫じゃない寄りの大丈夫だったよ……」


 それ大丈夫なのか?


「納豆の工房で作業したマイコニンが他の工房に行こうとしてね……幸い途中で気付いたからよかったけど、危うくいろいろ台無しになるところだったんだよ……納豆の菌って本当に強いね……いひひ……ひ……」


 なんだかいつもの笑いが少し引きつっている。

 軽くトラウマになりかけるくらいの騒動になっていたみたいだ。

 ていうかこれ俺も悪いな?

 発酵食品が出来ることに浮かれて納豆菌の強さとか全然頭から飛んでた。

 すまない、いや本当に。


「いひひ……まあ、過ぎたことだしいいよ……こっちも勉強になったしね……」


 そう言ってくれるニチャ。

 マイコニンって外見は結構じめっとしてる感じだけど、意外と内面はおおらかっていうか……ニチャだからか?


 まあともかくありがとう。

 しっかり発酵食品を作ってくれたことも含めてありがとう。

 とりあえずマイコニン十万年無税。


「……? この街って税取ってないよね? それに私たち十万年も生きられないしそれに……」


 よし早速料理を始めよう!


「いひひ……聞いてない……。でも代表様の料理は美味しいから好きだよぉ……」




 そういうわけで早速料理を作っていく……前に。


 まずは酢を加工する。

 酢が手に入ったらずっと真っ先にやろうと思っていたことがあるからだ。

 それは……マヨネーズとケチャップづくり!


 というわけで早速作っていく。

 まずはマヨネーズから。


 こっちは酢さえあれば簡単。

 適当な器に卵黄を投入。

 そこに塩と酢を入れてひたすら混ぜる。

 混ぜる途中でちょくちょく油も投入しながら混ぜ続ける。

 そうすると……はい、出来上がり。

 完成だ。


 いやぁ……本当に簡単。

 材料さえあれば物の数分で作れる。


 さっそく味見。

 ぺろっ……。


 うん、美味い!


 前世で慣れ親しんだあの味。

 いやそれよりも美味い気がする。

 自分で作ったから、というのもあるが、やはり素材が良いからだろうこれは。


「凄い……美味しいよぉ……止まらないぃ……!」


 一緒に味見に付き合っているニチャにも大好評だ。

 とても喜んで次から次に舐めている。


 ……いや舐め過ぎでは?


 そのまま放っておいたらなめ尽くしそうだったので、取り上げて手の届かないところにマヨネーズの器を置く。

 ニチャがうーうー唸って抗議してきたが……余りの美味しさに人語も忘れたのか?


 まあそのうち戻るだろう、次。


 次はケチャップを作る。

 こっちはマヨネーズと比べたらちょっと難しい。

 まあとはいっても大差はないが。


 まずは材料、トマト、玉ねぎ、にんにくを切る。

 玉ねぎとにんにくはみじん切りでトマトは皮をむいてざく切り。

 そしてこれをミキサーで攪拌……したかったんだが。

 残念ながら異世界にミキサーはな……いや、あるか?


「これを混ぜればいいの~?」


 というわけで呼んだのはフィーネ。

 前にフィーネが生クリームを空中で攪拌して作っていたのを思い出したからな。

 ミキサー役もも出来るんじゃないかと思って呼ばせてもらった。


「う~ん、頼ってもらえるのは嬉しいけどぉ~……トマトはすっごく水っぽいけど液体って訳じゃないし~ちょっと難しいかも~」


 ……そうなのか?

 まあ確かに果汁がかなり多いとはいえ、あくまで固体だしな……。

 無理を言って悪かった。こっちでなんとか――


「あ、出来た~」


 出来るんかい。


 俺の目の前にあったのは、さっき切ったトマト、玉ねぎ、にんにくが空中で激しく回転し、どんどん混ざっていく光景。

 空中に透明なミキサーが設置されているみたいだ。

 ……ちょっとあっけにとられたが、まあ出来るならそれでいい……というかありがたい。


 そしてみるみるうちに攪拌は進んでいき……ものの十数秒で原型が全く残ってない液体状のケチャップの素が出来た。


「意外とやってみたら何とかなったよ~」


 そう言って俺に攪拌し終わったそれを差し出してくるフィーネ。


 うん。

 まあとても助かったのは事実だし礼を言う。


 ありがとう、フィーネ。

 助かった。


「えへへ~この程度全然いいよ~」


 さて、ケチャップは残念ながら混ぜただけじゃ完成しない。

 フィーネに攪拌してもらったこれを鍋に入れる。

 そして鍋にさらに、酢、砂糖、塩を投入し火をつける。

 煮立ったら灰汁を取り、そのまま焦げないようにかき混ぜつつ煮詰め……数十分ほど。

 どろりとマヨネーズと同じような粘性を持ったら完成だ。


 うん。

 美味しそう。

 もう煮詰めていた時に匂いで分かったもんな、もう絶対に美味しいって。

 一緒にキッチンに居たニチャとフィーネも俺の後ろから覗き込んできている。


「いひひ……凄い……これも少しぐらい舐めちゃっても……!」


「いいよね~あるじ~!? 手伝ったんだから~!」


 心なしか目がキラキラと輝いている気さえする。


 まあ当然味見くらい良いんだが……うん。

 もう少し後でな。


 俺がそう言った理由はキッチンの入口にある。

 そこには今、何人もの影が集まりキッチンの中を覗き込んでいた。


 まあ、あんなに美味しそうな匂いまき散らしちゃったんだから集まるよな、そりゃあ。

 一応邪魔しないためかキッチンに入ってきたりはしていないが、すっごく見てきてる。

 期待の目で。

 耳とか尻尾とか翼とかもぱたぱた振ってる。


 流石にこれを無視できるほど肝が太くないので、軽く試食会を開くことにする。


 マヨネーズとケチャップをつけて食べるもの……まあ簡単なところで目玉焼きとかスクランブルエッグとかフライドポテトとか。

 そういうのをつくって、出来たばかりのマヨネーズとケチャップに付けて食べてもらう。


「いひひひっ……! おいしっおいしっ……!」


「ほんとぉ~美味し~い……!」


 真っ先に食い付いたニチャとフィーネがそう言いながらぱくつく。

 いやフィーネはマヨネーズとケチャップ直でいってるけど。


 他の皆にも大好評だ。


「っ! とても美味しいです!」


「凄く濃厚で……食べる手が止まりません!」


「この適度な酸味が素晴らしいです」


「フライドポテトには塩だと思っていましたが……ケチャップ、こんな素晴らしいものがあったなんて。これからは毎回これをつけます」


「いやマヨネーズの方が合うでしょう」


「はい?」


「まあまあ落ち着いて、マヨネーズは目玉焼きに付けるのが一番美味しい食べ方ですよ」


「目玉焼きは醤油でしょう」


「いやケチャップです」


 ……大好評すぎてちょっと争いが発生してるけど。

 ちなみに俺はどれでもいい派。

 ケチャップもマヨネーズも醤油も塩もどれつけても美味しい。


 だがまあ、これ以上加熱されて手が出始めたら困るので、クールダウンも兼ねて……試食だけじゃなくて試飲もしてしまおう。

 ということで、ワインと日本酒を出す。


 これもマイコニンたちに冬前に取れたぶどうと米で作ってもらっておいた。

 まだあまり寝かせてるわけじゃないが、とりあえずどんなものか確かめるということで。

 俺はお酒なんて全然飲まなかったタイプだから、皆の方がより味がわかるだろうと思ってこのタイミングで出す。


 俺の感想は……うん、美味いと思う。

 ワインなんて飲んだこと無いが、これはジュースみたいで飲みやすくて美味しい。

 他の者は……。


「これぇ~! 凄いよぉ~~!」


「これはっ……こんな美味しいお酒飲んだことがありません! 樽でください!」


「あースイッチ入っちゃったよー。……にしてもホントに美味しいね、これ。素材が良いのもあるけど、マイコニンたちの腕もあるよ」


「これは間違いなく国……いえ、街宝です。もっともっと作ってもっともっと飲めるようにしましょう」


「えへへぇ~……あれぇ~? あるじが二人いるよぉ~?」


 こっちも大好評。

 皆、水でも飲んでるのか? ってペースでパカパカ飲んでいく。

 そしてフィーネがとんでもない速度で酔っぱらっていた。


 フィーネはそれ以上飲むな。

 水を飲め水を。


 そんな感じでキッチンは盛り上がっていき……。

 まあ当然そんな盛り上がってたら、他の住人も気付くわけで。




 その後。

 試食&試飲会は盛り上がりすぎて、そのまま宴会に相成った。

 まさかの掟破りの連続宴会だ。

 そんな掟無いけど。


 まあ、俺もマヨネーズとケチャップ作れてかなりテンション上がってたからな。

 迷わずに許可を出した。


 ……たまにはいいだろう、こういうのも。


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