表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

897/899

897

 Aランクに昇格するとまず起こったのはメッセージ欄に大量の着信。

 数字が凄まじい勢いで増え、最終的には「99+」と表示され開かないと計測不能となった。

 

 「なんか見るの怖いな」


 ヨシナリはそう呟いて開くとほぼ全ての件名がAランク昇格おめでとうございますからのウチで機体を作りませんかという案内だった。 うわと思いながら適当に開くと内容は「自分達はどこどこのエリアに拠点を持っている開発チームです。 良かったら使用するジェネシスフレームをウチで作りませんか?」といった物だった。


 それにプラス実績――これまでに作った機体は開示できないらしいが、こんな感じの装備とコンセプトの機体を作ってますといった資料と大雑把な価格が添付されている。

 それを見て思わず首を捻った。 選択肢が余りにも多いからだ。


 インド、フランス、ロシア、日本、中国ととにかくエリアを跨いであちこちから売り込んで来ているといった印象だった。 ざっと見ていたのだが、どれも面白い。

 インドは気象操作系の兵装が多く、フランスは光学兵器――特に反射に頼らない曲がるレーザーが面白い。 ロシアは更に面白く、フレームが人体を全く意識していない異形の構造をした形状が多かった。


 特に可変機構は複雑で局地戦仕様のスペシャル機といった印象が強い。

 エリアによって特徴が出ていおり、眺めているだけでも楽しめるがここから選ばなければならないというのはかなり難しかった。 ちなみに文末にはいつでもお待ちしていますと添えられている。


 資料を眺めているだけでも永遠に時間を潰せそうだが、まずは方向性だけでも決めておかないとすっきりしない。 こういった場合は誰かに相談するのが良いのだが、問題は誰にするべきかだ。

 真っ先に浮かんだのはユウヤ、ベリアルといったユニオンのメンバーだが、もっとフラットな意見が欲しい。 加えて確認したい事もあった。 そうなるとベストな選択肢は――


 

 「――いや、ヨシナリ君。 君って奴は本当に大した度胸だよ」


 タヂカラオは呆れた様子で呟いた。

 場所は変わって「思金神」のユニオンホーム。 

 その中で最も背の高いビルに通され、長いエレベーターで上へと向かっていた。


 「正直、こういった相談って関係値が低い人の方が素直な意見を貰えると思いまして」

 「それでタカミムスビさんにアポを取ろうとするのは思いついてもできないよ」

 「俺としてはダメ元だったんで、受けてくれるとは思いませんでしたよ」


 そう、ヨシナリが相談相手として選んだのはタカミムスビだ。

 彼の機体、アマノイワトのような複雑な機体を作った経緯にも興味があった事もあって彼が良いと思った事もあってタヂカラオに繋ぎを頼んだのだが、返事は即座だった。

 

 10分も経たずに許可が下りるとは思わなかった事もあってこの状況にヨシナリ自身も驚いていたのだ。

 

 「それはそうと、昇格おめでとう。 ようこそAランクへ。 歓迎するよ」

 「はは、当たったらお手柔らかにお願いしますよ」

 「それは約束できないなぁ。 ――っとそろそろ到着だ。 実を言うとタカミムスビさんの私室を見た事が無くてね。 僕もちょっと緊張しているんだ」

 「あ、そうなんですか?」

 「あぁ、ワンフロアぶち抜きで使っていると聞いているんだけ、ど……」


 エレベーターが停止し、扉が開くとそこには想像の斜め上の光景が広がっていた。

 混沌、カオス。 そんな単語が相応しい有様で足元は綺麗な赤絨毯。

 壁にはよく分からない絵画や美術品が乱雑に並んでおり、天井からは何故か花や木々が生えている。

 

 「し、照明機器が埋まってる。 タカミムスビさんはどう言うコンセプトでこんな配置にしたんだ?」

 「正直、適当に並べたんじゃないですか?」

 「段々とそう思えて来たな。 まぁ、足の踏み場はあるようだし、進むとしようか」


 ふかふかの絨毯を踏みながら長い廊下を歩く。 

 

 「そう言えばタヂカラオさんはどうやって決めたんですか?」

 「フレームの発注メーカーかい? 『思金神』の場合は事前にどこのエリアのメーカーがどんな機体を作っているのかのデータを集めているからね。 それを参考にしたよ」


 聞けば「思金神」所属のランカーは全員、何処のメーカーに発注したのかを報告させているらしく、先達の機体に興味があるのなら同じメーカーに打診すればいいといった方針のようだ。

 なるほどと頷く。 特にニニギを筆頭とした一軍の機体は人気が高く、昇格したプレイヤー達は真っ先に彼等の機体を手掛けたメーカーに打診するとの事。


 話している間に突き当りのドアへ。 

 タヂカラオが軽くノックすると中から「どうぞ」と聞こえ、扉が自動で開く。

 中は廊下以上に混沌としていた。 


 このフロアの約半分を占有しているであろうスペースの大半を様々な物が所狭しと並んでいる。 

 よく分からない置物に謎の植物。 とにかく統一感がなかった。

 

 ――その割には床とかのデザインはちゃんとしてるんだよなぁ。


 背後は一面ガラス張りでこのユニオンホームを一望できる。

 ただ、最低限の体裁は整えているのか出入り口への動線は確保されていた。

 そして中央には巨大な執務机に高そうな椅子にタカミムスビが座っている。


 「やぁ、ヨシナリ君。 君の方から会いに来てくれるなんて嬉しいよ」

 「イベントの時は助かりました。 それと時間を取ってくれてありがとうございます」

 「構わないさ。 ちょうど、息抜きが要るなと思っていたところだしね? ――さて、まずは昇格おめでとう。 これで我々と同格、つまりはライバル関係という訳だね」

 「はは、ライバル認定してもらえるとは光栄ですよ。 それで――」

 「分かっているとも。 ジェネシスフレームについての相談だね。 まずは基本的な話をしようか」


 そう言ってウインドウを可視化。 表示されたのはタカミムスビの機体、アマノイワトの外観だ。

 

 「私の機体――正確にはコア部分は日本のメーカーに作らせた。 以降、機体のアップグレードはここに任せる形になっているのだが、君が聞きたいのはそんな事じゃない。 気になっているのは二股(・・)をかけられるかだろう?」


 その言葉にヨシナリは内心で息を呑む。 まさにその通りだったからだ。

 メーカーによって明らかに強みと弱みがある。 

 それを解消するのに最も分かり易いのは複数のメーカーにパーツ単位で作らせる事だったからだ。

 

誤字報告いつもありがとうございます。


宣伝

パラダイム・パラサイト一~二巻発売中なので買って頂けると嬉しいです。

Kindle Unlimited、BOOKWALKERのサブスク対象にもなっていますのでよろしければ是非!


現在、BOOKWALKER様にて1500円以上の購入でコイン45%還元キャンペーン中との事です。

パラダイム・パラサイトも対象となっております。 

5/7までとの事なのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
キマイラフレームから複数のメーカーのパーツを組み合わせた、キメラ(合成獣)的なフレームを目指すってことか 確かにヨシナリはこれまでもチームメンバーや協力者、対戦相手のいいところを組み合わせた戦い方をし…
これはww いくら欲望に忠実なタカミムスビとは言えゴミ屋敷ギリギリ たしかに思兼神ならジェネシスフレーム作成実績豊富ですよね~ メーカーいいとこ取りの融合フレームか!! たしかに。そうじゃなかったら…
いいねいいね!こういうの読むのめちゃくちゃ楽しいわ 100以上の開発チームから一気にカタログ送られてくるとかAは合成だなぁ いずれマルメルやモスちゃんやシニフィエも同じように悩むことになりそう ふわわ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ