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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 霧ヶ峰の提案には全面的に賛成なのだが、具体的にはどうすればいいのだろうか?

 正直、下手に近づけない上、飛び道具も効果が薄い。

 ヨシナリに思いつく勝ち筋としてはあのウツボを全力で援護して仕留めさせる事だが、規模が大きすぎて現状個々人の携行火力では限界があった。 

 

 「提案自体には賛成ですが、具体的に手があるんですか?」

 『勿論、ありますとも。 何と二つも』

 「二つもあるんですか」


 霧ヶ峰は自信満々に頷く、それだけで妙な説得力があるなと思いながら先を促す。

 

 『まずは前提条件を共有しましょう。 あの個体を仕留める方法は?』

 「あのエネミーは小型の虫みたいなのが集まって形を形成しているので単純にそれを崩せば機能を維持できなくなる」

 『正解です。 大体、四割で機能低下、六割で機能維持が困難になると見ています。 完全に叩き潰したいのであれば七割から八割は砕きたいですね。 ――それを踏まえた上でこちらをご覧ください』

 

 霧ヶ峰はこちらの機体にマーキングした敵のスキャンデータを送る。

 球体状のコアや外殻に無数のピンが刺さっており、よくよく見てみると他と比べると明らかにエネルギーの流動量が多い。


 「もしかしてこれは敵の脆い箇所って事ですか?」

 『その通り、エネルギー流動が多い箇所――恐らくは循環させる際に重要な結節点とも呼べる場所です。 エネルギー流動だけでなく形状の維持も担っている重要部分です』

 「それは分かったんですけどどう見ても軽く500以上はありますけど……」


 そう、ピン留めされている箇所は相当多い。 

 これを全て破壊するのは余り現実的ではないのではないだろうか?

 潰せば破損個所はそのままなら時間をかければ問題ない上、増援を期待できる事もあって仕留められないにしても時間稼ぎを狙える。 


 再生速度も早い。 ベヒモスのレーザーを喰らった開いた大穴も塞がりつつあった。

 ただ、ダメージ自体は簡単に抜けないのか外側の修復は早いが内部の修復速度はそこまでではないようだ。 霧ヶ峰の提示した個所は潰すと治りが遅い箇所と認識するのが正しい。


 手段としては割と現実的でこの500越えの弱点ヶ所をモグラ叩きのように潰していく事。

 少なくとも勢いは削げる事もあってベヒモスの援護にも繋がる。 

 撃破できるかは微妙ではあったが堅実かつ確実に成果が出る戦い方だ。


 「思金神」のプレイヤーはまだまだ生き残っている。 足並みを揃えるのも難しくはない。

 こういった場では大勢が動けば他も流れや糸を察して便乗してくれる事を期待できるからだ。

 

 「一つ目のプランについては理解しました。 それでもう一つは?」

 『あぁ、聞きたいですか?』

 「えぇ、まぁ……」


 その返しに何だか嫌な予感を覚えたが、聞かなければ判断ができないのだ。

 聞かないという選択肢は取れない。 霧ヶ峰の声に少しだけ面白がるような響きが混ざっているのに凄まじく不安を感じながらも教えてくださいと先を促す。


 『まずは確認なのですがヨシナリさんは勝ちたいですか?』 

 「勝ちが何を指すかにもよりますが、負けるよりは勝つ方がいいでしょう」

 『ですよねぇ? それで、あなたは勝利の為にどれだけできますか?』

 

 ――何だ? 俺に何を言わせたいんだ?


 霧ヶ峰の意図を掴みかねていたヨシナリは思惑に乗るしかないと割り切って流れに逆らわない事にした。


 「勝てるのなら大抵の事はする覚悟ですよ」

 『素晴らしい! それが聞きたかった。 では、二つ目のプランを説明しましょう。 こちらに関してはピン刺しした個所をプチプチ潰していくなんて面倒な事はありません。 決まれば一発で終わりますよ』


 その時点で嫌な予感が限界を突破した。 

 決まれば一発、そして話をわざわざヨシナリだけに持ってきた。 

 この二点でもう何となく見えてしまう。 


 「まさかとは思いますけど俺に特攻しろとでもいうんじゃないでしょうね?」

 『流石はヨシナリさん。 その通りです!』

 「その通りじゃねぇよ!? 俺一人が突っ込んだ所で潰れて終わるだけでしょうが!」

 『ご安心を。 そこはしっかりと考えてあります。 仰る通り、あのコアは神経のように接触した物を侵食して操る能力があります。 トルーパーが制御を奪われたり、分解されるのはそれが理由でしょう』


 霧ヶ峰はですがと付け加える。


 『操るには機体内部に浸食して根を張る必要があります。 つまり表面までなら浸食された所で問題ありません。 ところでヨシナリさんの機体には特別な心臓が移植されているそうですね?』

 「機体をエーテルで覆って突っ込めって事ですか」

 『その通り、あなたが過去の侵攻戦の時にやったアレの再現です。 私も見ていましたが、中々に絵になる映画のクライマックスのようなシーンでした。 非常に素晴らしい。 ――まぁ、一回できたのですからもう一回ぐらいできるでしょう』

 「その持ち上げて落とすのいつもやってるんですか??」


 霧ヶ峰は小さく笑って答えない。 この野郎と思いながらも提案を吟味。

 感情的な部分を排除すればなるほど決まれば大きな手だ。 決まれば。

 だが、首尾良く接近したとしても――いや、接近できるかも怪しい。


 まずは接近する所からだ。 ベヒモスを盾にすればある程度までは接近できるだろうが、霧ヶ峰のプランはヨシナリにあのコアを掘り進んで中央部分を完全に破壊しろと言っているのだ。

 つまり殴れる距離まで近寄らなければならない。 仮にそこを突破したとしても掘る為の道具がない。


 『そこはご心配なく』


 霧ヶ峰が小さく手を上げると空に居た機体が何かを投下。 

 地面に突き刺さったのはユウヤのオディウム=イラとヨシナリのイラだった。 


 『探すのに苦労しましたよ』

 

 イラはともかくオディウム=イラは扱えないはずだと掴んでステータスを確認すると機能が制限付きで解放されていた。 

 正確にはユニオンメンバーだけは変形機構へのアクセスができるようにロックが解除されていたのだ。

 恐らくはやられる前にユウヤ自身が解除したのだろう。 


 『信頼されていますね。 さて、これさえあれば大抵の防御フィールドは無視できる上、二本あれば片方は盾としても機能するでしょう。 そしてパンドラを使えば機体を奪われない。 これで掘る所までは解決ですね。 残りの問題である掘り進める為の手段ですが、それはもうあなたの手元にあるんでしょう?』

 

 霧ヶ峰はそう言って笑って見せた。

 

誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
笑顔で鬼のような作戦を叩きつけてくる辺りさすがはタカミムスビが選んだ参謀 良い性格してるぜ霧ヶ峰さん まあこのまま時間いっぱいまで生き残りながらチマチマ撃破スコア稼ぐより、ここらでどでかいボス格を1体…
煽ったり焦らした言い方したりと霧ヶ峰はいい性格してるな もっと事務的で冷静沈着な感じかと思ってた
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