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収束されたエーテルによる闇色の光線が敵のコアに突き刺さるが――
「クソッ!? 駄目か」
一応、効いてはいるが表面を焼いただけに留まった。
長時間の照射で貫けそうではあったが、ホロスコープが保たない。
この攻撃は胸部の吸排気口からエーテルを吐き出すというかなり無茶な使い方の上に成り立っている。
そもそも砲口ではない部位を無理に使っている関係で長時間の使用ができないのだ。
たった数秒の照射で吸排気口がエラーを吐いている。 ちなみに1000%の時はフレームまで溶けた。
射線上の敵機も巻き込んで処理したのだが、数が多すぎる。 これでダメだった以上は下がって味方の援護を期待するべきなのだろうが、こんな高度まで上がって来れる機体はそう多くない。
――つまり、一人でやるしかない。
「まぁ、ここはビビる所じゃねぇよなぁ!」
絶望的な戦力差に僅かに存在する勝ち筋。 全賭けする価値はある。
それにヨシナリには使うと脱落は確定ではあるが、コアを仕留められる可能性のある切り札が――
不意に下から弾体が飛来。 敵機を貫き、コアに命中して僅かに食い込んだ。
ハンドレールキャノン。 誰の仕業なのかは察したが、どうやってここまで?
疑問に対する答えは直ぐに姿を現した。
「待たせたなぁ! 騎兵隊の登場だぜ!」
ガスの雲を突き破り、マルメルが浮遊する板のような物に乗って地上から上がってきていた。
射程に捉えたと同時にアノマリーとリトル・クロコダイルを両手に構えて乱射。
僅かに遅れて無数のレーザーが次々と敵機を撃墜する。
「今回は間に合ったようだね。 何度も君にばかり美味しい場面はやれないなぁ」
タカミムスビのアマノイワトだ。 そしてその周囲から無数の味方の反応。
エンジェルフレーム、ソルジャー+、キマイラ+、そして無数のジェネシスフレーム。
どうやってこの高度まで上がって来たのかという疑問は彼等の乗っている板にある。
反射板。 アマノイワトの反射板に乗ってここまで上がって来たのだ。
自力で飛行可能な機体は板から飛び降り、次々と戦闘に参加していく。
「戦術情報を共有します。 敵の武装の質はそこまで良くありませんが、こちらからの鹵獲品なので注意してください」
霧ヶ峰の言葉と同時にレーダー表示がアップグレードされる。
敵機の位置が強調され、注視すると武装種類、射程などが細かく表示されていた。
恐らくはシックスセンスをアップグレードしているのだろう。 こんな事ができるとは知らなかった。
後で調べておこうと思いながら前に出ようとしたが、何かに肩を掴まれる。
何だと振り返ると見慣れないジェネシスフレームが居た。
背面に大型のブースターを付けた重量機。 配色は赤と白のツートン。
特徴的なのは肩に思金神のエンブレムと赤十字が刻まれている事だ。
「はい、君はちょっと待とうね? 機体のダメージ自覚している? まずは治療を受けて行きなさい?」
「えっと?」
ややダウナー気味な女性の声にヨシナリが困惑していると彼女はあぁと何かを察した。
「自己紹介してなかったわね? 思金神、二軍所属のAランク『イソシン』よ? よろしくね?」
「は、はぁ、どうも」
「すぐ済むからじっとしててね?」
イソシンが拳を握ると腕からニードルが飛び出しそのままホロスコープへと突き刺した。
感触からアイロニーと同様に治療用のナノマシンを送り込んでいるのだろう。
並行して装甲の各所から細かな作業用のアームのような物が飛び出すと機体各所に伸びて変形した部位の修復を始めた。 見ている間に破損個所がどんどん修復されている。
凄まじいのは内部の損傷や欠損に近い部分に関してもエラーが消えている事だ。
機体の修復に特化したジェネシスフレーム。 こんなプレイヤーが居たのかと驚く。
特化している分、修復のスピードと効果はアイロニーよりも遥かに上だった。
「はーい、おしまい? 君はその子に随分と無理をさせるわね? 機体はパートナー何だから労わってあげないとだめよ?」
「はは、善処します」
機体をチェック。
損傷どころかパンドラ使用によってダメージを受けていたフレームまで直っていた。
とんでもねぇなと思いながらありがとうございましたと頭を下げるとイソシンはひらひらと手を振って他の損傷機の下へと向かう。
戦線に復帰する前に派手に弾をばら撒いているマルメルの近くへ。
「来てくれて助かったぜ。 どういう流れだ?」
「あぁ、地上で派手に戦りあってたんだけど、アメリカ組が時間切れでいなくなっちまったからヤベぇって思ってたんだけど、上ですっげぇ爆発があっただろ? それで敵の勢いがかなり落ちたんだよ。 だから地上は何とかなりそうだったからタカミムスビが仲間連れて上がろうとしてたから頼んで便乗させて貰ったって訳だ。 ちなみに他も来てるぜ」
マルメルの視線を追いかけるとふわわ、シニフィエは既に前線で敵と激しくぶつかっていた。
ふわわは次々と敵機を斬り刻み、シニフィエは持ち前の器用さで一機ずつ確実に叩き潰している。
後方ではグロウモスが次々と敵機の推進装置を撃ち抜いて墜落させていた。
この高度なのだ。 無理に大破させなくても飛べなくさせるだけで致命的だ。
マルメルの話では地上ではNPCが打ち上げ用のロケットを用意しているとの事で待っていれば追加の戦力が送り込まれるらしい。 つまり増援が期待できる。
ただ、タカミムスビはそれを待つつもりはなかったらしくこうして上がって来たという訳だ。
自力で上がってくるのもそうだが、反射板にこんな使い方があるとは思わなかった。
アマノイワトの応用力広さには驚かされたばかりだ。
「そんな訳だ。 俺はここで援護してるからぶちかまして来いよ!」
「あぁ、行って来るぜ!」
仲間が後ろにいる事に安心感を覚え、ヨシナリは機体を加速させる。
戦況は味方が優勢だ。 特に思金神の上位ランカーの強さは圧倒的で敵が増えるよりも早く減らされていた。 特にタカミムスビとニニギが凄まじい。
タカミムスビは反射板を貸し出している関係で攻撃手段が制限されているのだが、それを感じさせない動きだった。 腕から突き出た長大なブレードで敵を両断し、自在に動く尾で死角から襲い掛かる敵を悉く返り討ち。 そして大きく開いた口にエネルギーが収束し、極太のレーザーが放たれた。
誤字報告いつもありがとうございます。
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