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ライランドが開けた風穴から外へと飛び出す。
――あんな物をぶっ放すのか。 アメリカのSランクヤバすぎだろ。
同時に最初に現れた大型個体をどうやって仕留めたのかにも納得が行った。
間違いなくアレを使ったのだろう。 時限式か何かで爆発するようにして味方機に乗り移って退避。
そう考えると機体を失って中身だけ無事だった理由にも納得がいく。
もう10分切っている事もあってアメリカ側の戦い方は自滅を覚悟した前のめりな物になっているはずだ。
どの程度離れれば巻き込まれないか分からない以上、距離は稼いでおくに越した事はない。
離れながら周囲に視線を向けると凄まじい光景が広がっていた。
視界の大半を巨人が占め、視線を下に向けるとその腰から下にガスが溜まっており、地表の様子が目視できない。 タカミムスビが吹き払ったお陰で戦場の周辺だけはぽっかりと穴のようになっている。
そして視界の上半分は宇宙だ。 こんな形で宇宙に出るとは思っていなかった。
ぐるりと見回すと他に機影はない。 今だけはこの光景を独り占めできているようだ。
そう考えると中々に気持ちがいいが、いつまでも眺めている訳にはいかない。
「――追って来たか」
ヨシナリが飛び出した穴から次々と敵機が吐き出されていく。
自分だけの戦場で戦える事に少しだけテンションが上がっていた。
ヨシナリは無意識に笑みを浮かべ、ホロスコープを加速させる。 敵を叩き潰す為に。
敵に関してもライランドのお陰でじっくりと観察する時間はあった。
その為、大雑把ではあるが、分析は進んでいる。
基本的にはあの超大型個体が取り込んだパーツや鉱物を使って構成されている。
これまでの寄生トルーパーとの違いは一から組み直しているのでコアが機体の中に納まっている事だ。
その為、コアを狙って一発は通用しない。 次に挙動。
こちらもかなり改善されている。 これまでは寄生元のアバターからデータでも吸い出したのか、元の持ち主の動きを表面的にトレースするだけだったのだが、明らかに柔軟性が上がっていた。
つまりはプレイヤーを相手にしていると判断するぐらいでちょうどいい。
――まぁ、動きが素直すぎるんだけどな。
まだ虚実を織り交ぜると言った高等な動きは出来ないようで、素直に死角を狙って来る事もあってカウンターを当てるのは難しくない。 旋回からの肉薄、そしてブレードによる斬撃を上体を沈める事で躱し、至近距離でアトルムのバースト射撃。 この距離なら装甲を貫く事は可能だった。
コアを破壊された瞬間に行動不能になる点は共通しており、エネルギー流動を視ればどこにあるのかも分かる。 その為、死んだふりは不可能だ。
敵機がエネルギーライフルや突撃銃で銃撃して来るが、精度はあまりよろしくない。
理由は鹵獲品をそのまま使っているからだろう。
武器自体にダメージがあるのか射線が安定していない。
背後から来た敵機の斬撃をその場で横回転しながら胴体に蹴りを入れて近くの機体にぶつけ、バースト射撃で纏めて葬る。 思った以上に出て来ないのは侵入者の対処にリソースを割いているからだろう。
このペースで出て来るなら捌くのはどうにかなるが、そろそろアメリカ側が限界だ。
もう残り時間が一分を切っている。
ライランド達はどうなったのかと巨人を注視すると内部で凄まじいエネルギー反応。
始まった。 次の瞬間、一部がボコりと大きく膨らむと巨大な爆発が発生。
視界を埋め尽くす巨体が内部から砕け散ったのだ。
戦闘しながら距離を取っていた事もあって衝撃で体勢が崩れはしたが、機体にダメージはなかった。
流石に体内で核攻撃なんて喰らえばあの図体でも耐えきれる訳がない。
どうなったんだと巨人に視線を向けたのだが、信じられない事にまだあの巨人は生きていた。
内部に大型のコアの物と思われるエネルギー反応。
剥き出しになった胸部に巨大な心臓のような光る塊が見える。
どうやって防いだんだよと叫びたくなったが、ライランドはこの状況を想定していたのだろう。
だからあんな言葉を残した。 ならば、とどめを刺すのはヨシナリの役目だろう。
機体を変形させて真っすぐにコアの下へと突っ込んでいく。
幸いにもライランドの攻撃で胴体部分、脇腹から胸にかけてが大きく抉れており、コアが完全に剥き出しになっていた。 狙い目ではあるが、アレを喰らって未だに上半身が残っている事が驚きだ。
サイズ差の所為で遠近感が掴めずに近づいているはずなのに中々射程に入らない。
目視よりもセンサー系の数値で判断した方が良さそうだ。
そろそろ射程内だったのだが、ヨシナリの接近に気付いた所為か砕けた上半身のパーツが次々と脱落して機体を構成していく。 まだ残ってるのかよと思ったが少し違う。
コアがバラバラと自身の分体のような物を精製し、脱落したパーツと結合して機体を生み出している。
ボスだけあってしぶとい。 アメリカのプレイヤー達が残してくれたダメージが残っている内に仕留めておきたい。 そんな考えもあって前のめりに行くべく加速。
その間に敵の数が一気に増え、近接機は次々と突っ込み、射撃武器を装備した機体は一斉射撃。
物量が生み出す空間を埋め尽くすほどの圧倒的な攻撃密度はやってられないと言った気持ちにさせてくれるが、タカミムスビの集中砲火に比べればまだ可愛い物だ。
何せ少々被弾しても即死しないからだ。
バレルロールで相手の射線から逃れつつ前進と加速は止めない。
被弾はするが機体をエーテルで覆って保護。 ダメージはあるが致命的な物はない。
突破。 こうして見ると以前のイベントで見た反応炉に近い雰囲気を感じる。
やる事は変わらない。 変形して飛び乗り、アシンメトリーを至近距離で連射。
実体弾、エネルギー弾の順でフルオートで叩き込んだが、表面で弾かれる。
――硬い。
こんな時、イラがあれば良かったのだが下で落としてきてしまった。
手持ちの武装でやるしかない。 弾が切れた所で敵が追い付いてきた。
咄嗟に飛んで回避。
敵機はコアに流れ弾が当たる事も気にせずに撃ち込んで来る点から強度には自信があるのだろう。
シックスセンスでスキャニングするが脆そうな部分は見当たらない。
地道に同じ場所に叩き込んで貫くしかなかった。
「……ここに来て火力不足に泣かされるとはな」
ないなら捻りだすしかない。 パンドラのリミッターを解除。
機体のダメージから500%は危険と判断して300で起動。 ホロスコープの出力が跳ね上がる。
変形してインメルマンターン。 縦旋回を行って敵機群の背後へ。
そのまま敵のコアと敵機を纏めて射線に捉え、胸部の吸排気口へエーテルを集中。
収束したエーテルを解き放った。
誤字報告いつもありがとうございます。
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