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俯瞰すると酷さがよく分かるのだが、空から無数のミサイルが飛来。
「やっぱり周囲の拠点からだな」
この暗いフィールドでは飛来するミサイルの軌跡がよく見えた。
ただ、映像の中のヨシナリ達の反応は鈍い。
突然の悪魔型による強襲による混乱もあったが、それ以上に発見に間があったからだ。
「これ、こっちの索敵範囲を割ってからばら撒いてんのか?」
ツガルの言葉通りだ。 ミサイルは垂直に飛んで放物線を描くとこちらに直上から襲ってきた。
しかもご丁寧にヴルトム達が離れる判断をした直後にだ。
味方を巻き込むリスクはあっただろうが、それ以上にヨシナリ達に与える損害の方が大きいとの判断か。
「もうほとんどの人が察しているとは思いますが、これはもう一人の仕業ですね」
「最初の話じゃ、不意打ちで一人が襲って来るって話だったからこりゃ酷いな」
「まったくだよ。 クソ、折角用意した資料が台無しだ……」
マルメルの言葉でスイッチが入ったのかタヂカラオがブツブツと不満を口にする。
こうして俯瞰して見れば敵の対処は理には適っていた。
悪魔型による攪乱で混乱を招き、ミサイルで頭を押さえる。
特にこれで高火力のメンバーの大半がミサイルの処理に拘束されるからだ。
そして南と北からエネミーによる挟み撃ち。 両方とも千以上の大軍勢。
こちらは四百を割って動かしている以上、片方を二百で相手しなければならない。
ヨシナリとしては一番、厄介と感じたのは個別ではなくほぼ同時に発生させる事でこちらの処理能力を飽和させようとした点だ。 前回の復刻で思考を止める事の愚かさは学習したつもりだが、実際に目の当たりにしてしまうとまだまだ足りていないと実感させられる。
――まぁ、前よりはまだマシな対応、か。
ここでヨシナリが考えた事は全ての問題を切り離すより、何処を崩せば状況が改善するかだ。
後は自分だけで何とかしようとしない。 味方をもっと頼る事こそが重要だ。
その考えに従ってポンポンに隠れている指揮官機の捜索、タヂカラオには南側に向かった部隊の指揮。
北側に関してはヴルトムがいるので問題はない。
彼は大規模になりつつあるユニオンのトップである以上、指揮能力はともかく牽引力に関しては何の問題もない。 その為、任せていいと判断したのだ。
ここで視点を全体俯瞰からポンポン達の動きにフォーカス。
彼女はニャーコと「豹変」から連れて来たメンバーを何人か連れて移動を開始。
少しの時間、周辺をうろうろしていたが不意に何かを見つけたように動きに迷いがなくなった。
明らかに見つけた動きだ。
「良く見つけましたね。 そこに居るって知ってないと分からないレベルなんじゃないですか?」
「そうだナ。 正直、最初はさっぱり分からなかったが、この手の事が得意そうな奴に相談したらすぐに分かったゾ!」
そう言ってグロウモスに視線を向ける。 ヨシナリは内心でなるほどと納得した。
身を隠す事に関して相談するには良い相手だ。
「隠れ場所の候補で指揮を執るのに都合が良さそうな位置に向かったらいたって訳だナ!」
「判断材料は?」
「ぶ、武器の射程内かつセンサー系――シックスセンスで捉えられそうな距離。 後は接近されても隠れる場所が適度に近い場所」
なるほど。 実際、敵機の潜んでいた場所は戦場から少し離れたクレバスの近くだった。
発見と同時に射程に捉えた機体は一斉射撃。 それに紛れる形でニャーコが突っ込んで行く。
敵機は攻撃を受けた事で発見されたと判断し、即座に隠形を解いて姿を現した。
「本当に分かり易い見た目の奴だなぁ」
頭部と背面に巨大な円盤状のレドーム。
明らかに指揮だけでなく、索敵、電子戦等にも長けているような見た目だ。
ニャーコが肉薄し、仕掛けたが空を切る。 正確には見当違いの場所に拳を叩きこんでいた。
目測を誤ったのではない事は挙動を見れば明らかで、明らかにウイルスによる情報欺瞞だ。
「厄介なのはニャーコが外した瞬間に露骨な欺瞞情報を流してこっちに対処させに行った点だナ」
ポンポンは悔し気に一手使わされたと付け加えた。
敵機もその辺は理解していたのだろう。 ランカー相手にウイルス系の攪乱はいつまでも通用しない。
だから、一時的なデバフと割り切ったのだろう。
比較対象が「思金神」のアノビィしかいない事もあって判断材料としては弱いが、200近く離れている相手に対してウイルス攻撃ができるのは規格外のスペックといえる。
――あのレドームの仕業か?
可能性としては最も高い。 感染範囲が広いが対処自体は変わらない。
機体側の操作でチェックした後、即座に駆除作業。 ニャーコは近接機だけあって最も立て直しが早かった。 恐らくはポンポンが警告するよりも早く理解して操作を実行したのだ。
実際、ここから即座に本体に仕掛けに行った反応の早さは素晴らしいの一言。
「いや、ウイルス攻撃と認識してからの立て直しまでの流れ、お見事です」
「これで結果が出てればよかったんだけどにゃぁ……」
ニャーコは小さく肩を落とした。 接近し、腕のギミックを使用。
エーテルによって生成された拳が襲い掛かるが敵機は片足を上げて突き出す。
次の瞬間、ニャーコが弾かれて大きく仰け反る。
「なぁ、ヨシナリ。 これって……」
「見た感じ、こいつの推進装置って斥力フィールドに近い代物を使ったホバーみたいだな。 だから発生装置のある足裏を相手に向けて起動。 そのままニャーコさんの攻撃をパリィしたんだ」
ニャーコの動きにミスはなかったが敵機の挙動はそれを凌駕した。
片足だけで器用に地面を滑るようにニャーコの背後を取り、立て直す前にナイフを抜いて脇腹を一突き。 上手い。
旋回の仕方もコンパクトでほぼ密着状態で背後を取ったお陰でポンポン達も援護できなかった。
機体構成的にはマルメルやアリスのそれに近いやや重量機寄りのビルドであそこまでシャープな挙動ができるのは流石に想定できない。 片足でホバー移動するバランス感覚もだが、その状態でナイフを抜いて足が降りた頃には突き刺している。
近接スキルに関しても高い事が窺えた。
「あっさり姿を見せると思ったんだよなナぁ」
「それに関しては俺もちょっとおかしいと思ってました」
隠密機はそれを失ったと同時に強みの大部分が死ぬ。
それをあっさり手放している点からも違和感があったが、見つかっても問題ないと思っていたのだろう。
誤字報告いつもありがとうございます。
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