表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

838/894

838

 ――誘い込まれているな。


 ユウヤは何となくだが、嫌な物を感じていた。

 あの敵機――オペレーターに関しての話は聞いており、ヨシナリの印象では痛めつける事に重きを置くサディストとの事だったが、余裕を剥ぎ取るとその傾向は薄まったとの事。


 それを聞いたユウヤの印象としては勝てる相手には舐めプで遊んで余裕がなくなって本気を出す。

 要は自分に自信があって、格下を嬲り殺しにして気持ちよくなりたいだけのカス。

 

 ――なのだが、今回に関してはその傾向は薄まっていた。


 明らかに初手から戦い方に余裕がなかった。 少なくとも最初から勝ちに来ている点だけは明らかだ。

 地表に露出した施設内部に飛び込んだ敵機を追いかける形で内部に侵入したのだが、構造は以前のイベントで入った時と変わらない。 この先は敵の特殊機と戦った広い空間のはずだ。


 転移を扱える以上、ベリアル以外は振り切れるにも関わらず付かず離れずの距離を維持している点からも狙いがあるのは明らかだった。


 ――この面子で後ろからの横槍がなければやれるとでも思ったのか?


 初見であるからこそ、聞いていた話との差異がよく分かる。

 ふわわは不明だが、ベリアルは思う所があるのかやや前のめり、ツガルはどうやらリアルで何か問題があったのか、それをぶつけたがっているように見える。 つまりは余り期待できない。


 アルフレッドが居ればもう少し視野が広がるが、このマップの特性を考えれば連れては来れなかった。

 敵機は通路を抜け、広い空間へ。 縦長の構造は以前に来た時と変わらない。

 あの時はヨシナリ、ベリアルと三人で戦ったのだが、そこまで時間は経っていないが大昔の事に感じる。 


 「なーに? 鬼ごっこはおしまい?」


 ふわわがそう言って煽るが、敵機は無反応。 

 ただ、武器を短剣から剣に持ち替え、空いた出て手招き。 安い挑発だ。

 だが、ふわわ相手には覿面に効いた。 ノータイムで斬りに突っ込んだのだ。


 上段からの斬撃を剣を滑らせるように流すが、織り込み済みだったふわわはもう片方の手に持った小太刀で腹を抉りに行く。 

 敵機は上昇しながら押し返し、強引にふわわの体勢を崩すと肘を戻しながら膝を上げる。 


 何をしたのかというと、肘と膝で小太刀を白刃取りしたのだ。

 それだけに留まらず、そのまま圧し折った。 パキリと嫌な音がして小太刀が砕け散る。

 敵機はその場で半回転。 蹴りを放つ。 ふわわは太刀で受けたが衝撃を殺しきれずに吹き飛ばされた。 敵機は蹴りを放ち終わると転移。 

 

 ベリアルの爪が空を切る。 即座にその背後に出現。 

 武器は短剣に変わっており、振り返ったベリアルが両腕の爪で打ち合いに行く。

 二撃、三撃と打ち合っている内にベリアルの爪が砕ける。 たまらずに転移。


 敵機の胸部装甲の一部が解放。 電磁パルスのような物が撒き散らされる。

 僅かに遅れて敵機の周囲で小さな爆発がいくつか発生した。

 一瞬だけプセウドテイの姿が見えた所を見ると爆発したのは分身だろう。


 当然ながらユウヤも黙って見ているつもりはなく、ベリアルに追撃しようとしている敵機に散弾砲で牽制。 ここに来て回転が上がったのは鬱陶しい後衛と切り離して自由に動けるようになったからだろう。

 短剣しか使ってこなかったのは攻撃の回転を上げる為だけではなく、自身のダメージを可能な限り抑える為の防衛策だったと見ていい。 


 ――期待していたのは味方の援護か?


 もう一機、エネミーの指揮に特化していたレドーム付きの後衛機が居たらしいが、恐らくはそいつの支援を期待していたのだろう。 

 防御に徹していた点から当初のプランとしては指揮官機が後衛を引き剥がすまで粘るといった所か。


 誤算だったのはそのお仲間がヨシナリ達に撃破された事だ。

 それにより、ボスを引っ張り出す事でユウヤ達前衛と後衛を分断する事にした。

 ここまで分かれば見えてくるものがある。 こいつに後はない。


 ヨシナリから聞いていた追加装備は何らかの事情で使えないとみて間違いない。

 この状況に持ち込めた時点で敵機は勝てると踏んでいるのだろう。

 攻めに転じた点からもここが勝負所と見ていい。 


 ――舐めやがって。


 思考が着地した時にユウヤが考えたのはそんな事だった。 

 この敵は今の戦力なら返り討ちにできると判断した訳だ。 


 「やるな! だが、その程度で我が闇を看破したと思うな!」


 ベリアルのアタックに合わせてユウヤが電磁鞭を振るう。 

 躱させて挙動を制限するとベリアルへの処理が遅れる。 

 正面からの殴り合いでは分が悪いと判断したベリアルは打ち合って一撃目で敵機の短剣を掴む。


 敵機が鬱陶しいとばかりの残りの手に握った短剣で刺突。 そちらも掴み取る。

 放電によりエーテルのボディにダメージを受けているが離さない。


 「厨二野郎! そのまま掴んでろ!」


 できた隙を逃さずに散弾砲を叩きこむが敵機は短剣を諦めて空間転移で回避。 

 転移先に同様に転移で追いかけたベリアルが先回り。 

 掴んだままの短剣を投擲。 回転しながら飛来する短剣を躱すが、狙いはそこではなかった。


 「ほい、いただき!」


 背後に迫っていたふわわが短剣を掴んでそのまま斬りかかりに行った。

 手の中で器用に回転させながら刺突と斬撃の組み合わせた攻撃を繰り出す。

 喉を狙った薙ぎにコックピットを狙った刺突を敵機は前者を上体を傾け、後者を手で払う。


 お返しとばかりに敵機は蹴りを繰り出すがふわわも同じタイミングで蹴りを放つ。

 両者の胴体に蹴りが入り、弾かれるように互いが離れる。 

 空いた所でツガルが高速回転しながら突撃。 


 流石にこれは防げないと回避を選択するが、ツガルの動きが急に変わった。 

 ミサイルのように直進する動きからブーメランのように横に回転する動きへと。

 流石に想定できなかったのか、僅かに反応が遅れる。 ツガルの機体はあちこちにブレードが付いている関係で掠っただけでも突っ込んで来た速度と併せてかなりの損傷を受ける威力だ。


 敵機は既存機に比べてかなりの高性能機だが、これを無傷で耐えるのは難しい。

 回避が間に合わずに胸部に斜めの傷がざっくりと刻まれる。

 

 「っしゃぁ! もう一発喰らいやがれ!」


 ツガルは当たった事に気を良くしたのか追撃に入るが、ユウヤとしては止めておけといいたかった。

 勢いも大事ではあるが、それだけでは勝てない相手だからだ。


誤字報告いつもありがとうございます。


宣伝

パラダイム・パラサイト一~二巻発売中なので買って頂けると嬉しいです。

Kindle Unlimited、BOOKWALKERのサブスク対象にもなっていますのでよろしければ是非!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
短剣ごっつぁん! ベリアルたちの連携が光るねぇ ツガルは前回ジョゼに重力軌道がまだまだって言われてあっさり落とされたけど 今回は一発かましてやれたな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ