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Intrusion Countermeasure:protective wall  作者: kawa.kei


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 不意にそれは起こった。 地面が縦に揺れたのだ。

 ヨシナリは即座にシックスセンスを用いて周囲をスキャニング。


 「ヨシナリ! どうなった!?」


 マルメルの叫ぶような質問に調べてると返して結果を表示。

 それを見てゾっとした。 高エネルギー反応。 位置は地底――正確には地底から移動している。

 この情報の恐ろしい所は本来ならホロスコープの索敵範囲外にも関わらず検知できてしまった事だ。


 つまりはそれだけの高エネルギー体が地上に現れようとしている。

 こんな馬鹿げたエネルギーを放つ物体をヨシナリは他に知らない。

 

 「ボスが上がって来る! 地上の機体はマーキングした場所から緊急離脱。 飛んでる機体も離れろぉ!」


 警告に従って地上の機体はマーキングした個所――あの悪魔型の真下から一斉に離脱。

 ベリアルとユウヤ、ふわわだけは逃げずに残ったが。 僅かに遅れて地面が大きく隆起。

 出て来る。 現れたのは巨大な水の柱。 自ら発光するそれはこの光の届かない惑星の地表の悉くを仄暗く照らし、輪郭を浮かび上がらせていた。


 忘れる訳もない。 あの時に現れたボスだ。

 

 「まったく、話と違いすぎるな。 こいつは出ないんじゃなかったのかよ」


 思わず呟いたが、やる事は変わらない。 あの悪魔型を仕留めてあの化け物も始末する。

 それで完全勝利だ。 背後から無数のミサイルや砲弾がヨシナリ達の頭上を飛び越えて巨大な柱に命中。 レーダー表示を確認すると南北に散った味方が戻ってこようとしていた。


 当然だった。 勝利条件の反応炉が地上に上がって来たのだ。 

 もはや敵の拠点を潰す理由がない。 こうなってしまうと総力戦だ。

 持てる火力の全てを用いてあの化け物を仕留めるのみ。 


 「ヨシナリ君! これは――」

 「見ての通りです。 いきなりですがクライマックスのようですよ」


 困惑の強いタヂカラオだったが、ヨシナリの返しに小さく息を吐く。


 「分かった。 前と同じ仕様ならあの液体が肉塊に変わるんだったか」

 「はい、弱点は反応炉。 下手に破壊すると爆発するので可能であれば抉り出して処理しましょう」


 想定と違うのは言っても仕方がない。 理由もどうでもいい。 

 やるべき事はあの化け物を完璧に処理する事だ。 前回は爆発を許した結果、アルフレッドがパーツ全ロストというすっきりしない勝ちだった。 今回は留守番させているのでロストの危険はないが、気持ちよく勝つ為にも爆発させずに処理したい。


 方法に関しては考えてはいた。 反応炉はエネルギーの供給とあの形態の維持に使用されている。

 その為、反応炉を抉り出す、もしくは重要箇所のみを破壊し、供給を断って機能停止に追い込めば処理は可能のはずだった。

 元の水に戻るのかは不明だが、あの巨体を維持する事は不可能だ。


 それがどこなのかはシックスセンスでスキャニングすれば分かる。

 問題の反応炉の位置を掴むのは容易。 あれだけのエネルギーを吐き出しているのだ。

 

 隠すなんて真似は不可能。 位置は地下200メートル地点だが上がってきている。

 普通に1キロ超えの柱なので放置するとトルーパーの限界高度を超えてしまう。 

 そうなると取り付いてよじ登る羽目になる。 そうなる前に片付けたい。 


 やる事は単純で一機でも辿り着ければ前と同じように肉塊を掘り起こせばいいのだが―― 


 「まぁ、そうなるよなぁ」


 肉塊のあちこちに切れ込みが入ると生み出されるように中から謎の粘液に塗れた敵性トルーパーが現れる。 しかもこれまでの既存のソルジャー+のバリエーションだけでなくオビディエンスフレームまで混ざっていた。


 「前になかった要素追加するの止めて貰えませんかねぇ!」


 タヂカラオは叫びながら攻撃を開始。 戻って来たプレイヤー達も敵機群と衝突。

 交戦に入った。 いきなりの乱戦で少し状況の変化に混乱するが、やるべき事は見えている。

 ヨシナリがやる事は反応炉へ向かう事――ではなく、不利を悟ってこの混乱を生み出した現況を始末する事だ。 


 タイミング的にあの化け物が出て来るのはおかしい。 

 少なくともヨシナリ達はフラグを立てていないはずだ。 あの時点で基地の制圧はまだだった。

 なら何故あの化け物は現れたのか? 答えは簡単だ――というよりそれ以外に考えられない。


 形勢不利を悟ったあの悪魔型が呼び寄せたのだ。 

 ふざけやがってと思ったが、そこまでやるという事は追いつめられた結果、切り札を使ったとも言える。 つまり相手はアレを使わざるを得ない状況と判断した訳だ。


 ――妙だな。


 例の強化装備は使わないのだろうか? それとも使えない?

 正直、あんな化け物を呼び出すよりは自力で潰しに行きたいタイプに見えたので、この判断は意外だった。 


 そう考えると使えないと見るのが正しいのだが、タカミムスビの一件以来どうにも疑り深くなってしまっている。 


 「タヂカラオさん、ポンポンさん。 ちょっと気になる事があるんですけど――」


 迷った結果、周りに相談する事にしたのだ。

 

 「――あたしは使えないんじゃないかって思う。 前の時から思ってたけど、相手を過剰に痛めつけて楽しむような奴が仲間を呼ぶなんて真似をするか? そんなのがあんなデカブツを引っ張り出したんだ。 追いつめられると見て間違いないと思うゾ」

 「僕も同意見だ。 仲間を頼るようなタイプなら前の防衛戦の時に要塞内部に戦力を配置しなかった事と矛盾する。 つまり、使わざるを得ない状況になったと判断したんじゃないか?」


 ヨシナリと全く同じ結論だった。 

 正直、ちょっと違った方向性の同意が欲しかったが、状況的にあの悪魔型にはこれ以上の手札ないと判断しよう。 少し不安ではあるが、戦力を振り分けざるを得ないからだ。


 「マルメル! アリスさんとあのデカブツと取り巻きの処理を頼む」

 「任せろ! ――ってか、今回は前とは別の意味で忙しいな!」

 「気持ちは分かる。 どっちにしても反応炉を処理したらミッションクリアだ。 きついと思うが踏ん張りどころだ。 それと――」

 「皆まで言うな。 反応炉はぶっ壊すんじゃなくて機能停止に追い込むって話だろ。 聞いてたよ! 前の時は道を開くだけだったからなぁ。 今回は俺が頂くぜ!」

 「話が纏まったんなら行くわ。 ついてきなさい」

 「う、うっす」


 元気よく拳を握ったマルメルだったが、早々にアリスに行くぞと促されて彼女の背に続く。

 すっかり上下関係が出来上がってるなぁと思いながらヨシナリも自分のやるべき事をやるべく機体を加速させた。


誤字報告いつもありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
また事前調査とは違うことが・・・ タヂカラオが可哀想・・・
死中に活でジョゼを逃がさないように残ったふわわさんたちは流石だなぁ 爆発オチなんてサイテーですからね ここは完全勝利を目指さなきゃなぁ アリスさんとマルメルはすっかり姐御と舎弟みたいになっちゃってまあ…
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