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2-49.アレクの非道

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Σ( ̄ロ ̄lll)ついに原型すらなくなったか!

Σ(・ω・ノ)ノはい! 私も心機一転!頑張っていきたいと思いましたので!

(。-`ω-)そうか、頑張れよ!(棒 (コイツに何を言っても無駄だな…。)

( *´艸`)ありがとう! 頑張るよ… 僕は頑張る!

◇◇◇


「うぉおりゃぁああああああ!!」

「はぁああああああああああ!!」


アイリスとランバートがその時間を使って、模擬戦をしていた。


ロイスはまだ特訓を始めて数日なので、すぐバテる。ロイスがバテた後はロイスの休息を自分たちの自主練の時間に充てていた。まぁ自主練と言っても基本的に1on1の模擬戦なのだが。


ランバートの攻撃は単調だが、剣速も早く、また一撃が凄く重たい。ランバートの剣の型はまさに『豪剣』であり、一撃一撃が致命的な一撃を放つ。それに対してアイリスは敏捷性(スピード)に優れた剣士であり、一撃はランバートに比べると凄く軽い。しかし、アイリスは華麗な身のこなしに脚捌きとランバートの攻撃を確実に躱し、逸らて致命的な一撃(クリティカル)を狙った正確な斬撃でランバートと張り合っていた。


『豪剣』のランバートに対してアイリスの剣型は『柔剣』 お互いに対極の剣戟で模擬戦が繰り広げられていた。


その二人の模擬戦を俺は審判兼分析者としてロイスと一緒に模擬戦を眺めていた。バレたロイスは休息の合間に模擬戦を見て見学してもらっている。実際に見て技術を盗ませるのが狙いだ。そのために俺はロイスの横で二人の模擬戦や剣術、二人の戦術を分析してロイスに教えたりしている。



「アレクさん」


隣でバテて倒れ込んでいたロイスがふいに話しかけてくる。また二人の模擬戦に分からないところでもあったのかな。


「……アレクさん 少し変なことを聞いてもいいですか?」


「…? 別にかまわんぞ」


「僕は何となくですけど、人の嘘が分かります。 親が商人なので人の顔を見て育ってきました。なので、人の嘘が… 本当に直感的にだけど分かるんです。だからこそ… その、思ったんです。 アレクさんにこの前聞きましたよね? 「どうして強くなろうと思ったんですか?」って」


あぁ…確かにそんなことがあったな。アイリスがどうしても『ロイスの夢』とやらを教えてくれなかったから、直接ロイスに聞いてみたら、逆に俺が質問されちまった。


「その時、アレクさんは「護りたい友達がいるから」と言いました。 その言葉に嘘はなかったと思います。きっとアレクさんの護りたい友達っていうのはアイリスさんやランバートさんたちなんだろう、と。だけど、その…なんといいますか、アレクさんに違和感を覚えたんです。」


「………」


「僕もアレクさんと同じく「護りたい友達がいる」から強くなりたいんです。 だけど、ここ数日アレクさんとアイリスさん、ランバートさんとの模擬戦を見学してて思いました。 アレクさんはアイリスさんとランバートさんを友達とは思っていますが、()()()()()()とは思っていないと感じました。」


ロイスは小さなころから父親と過ごしてきた。


ロイスの父親は王都でも有名なクルヘラ大商会の会長だ。当然、毎日のように他の商会の関係者やお偉いさんがロイスの父親の元にやってくる。うまい話やもっと稼げる話がある、などといって父親を騙そうとする者や、コビを売りに会いに来る魑魅魍魎と化した権力者たちを毎日、毎日と、そんな欲深い大人たちの顔を見続けて育ったロイスは知らないうちに、相手の顔や表情からなんとなく相手の考えや思いが直感的に解るようになった。


だからこそ気づいたアレクの違和感。


(……アレクさんは、友達として見てくれているけど… 護りたい友達…いや、大切な友達とは思ってくれていない。 あの()は… 何か欲深いことを考えている大人たちと同じ瞳をしている…っ!)


「アレクさんの本当に思う「護りたい友達(護りたい人物)」は誰なのですか?」


ロイスとアレクの間にしばしの静寂が流れる。それは数秒のことなのだが、ロイスには一時間にも長い(とき)にも感じた。


「……ハッ! 随分と詩人だな、ロイス。 そうだな… 俺にも、もう分からんのだよ」 


「…どういうことですか?」


「そのままの意味だ。 まぁ深くは考えるな、ただの与太話だ。 さて、そろそろアイツラも決着つきそうだから、そろそろやるぞロイス!」


そう言ってアレクは闘技場へと降りていってしまった。


アレクは「与太話」だと言った。

だけどロイスにはそうは思えなかった。


そして日が過ぎていった―――――――――――――



◇◇◇





一学年専用の寮棟の三階にある一室、アレクの寮部屋にアイリスやランバート、ロイスといったパーティメンバーの他に、模擬戦でアレクと死闘を繰り広げたトールとクラスメイトのミルベリアの六人が揃っていた。


平民二人に貴族の次男坊、大商会の御曹司にして学園最弱、四大公爵家の次期当主、同じ四大公爵家の剣聖の家系にして剣聖の実妹。傍から見たら、とても普通は交わることのないメンバーだ。それが現在、一堂に寮の一室へと集まっていた。


アレクを取り囲むように、みんなが座る。


みんなの顔は真剣そのものだった。そんなに俺の昔話を聞きたいのか、とアレクについ口走りそうになるが、なんとか飲み込む。早く話せとばかりに無言の威圧がアレクに向けられていたからである。


その中、アレクはふぅと一つ息を吐き出してベットに腰かける。


腰かけたアレクはゆっくりと話し始めた。




「…一応確認の為に聞いておきたいんだけど、アクアリア殿下のことについて… 何か知っていることはあるか?」


突然アレクが確認とばかりに、この場にもいないアクアリア殿下のことを聞いてきた。お前とアクアリア殿下に何の関係があるんだよ、と思いながらもアクアリア殿下と幼少のころから付き合いがあるトールとミルベリアが答えた。


「特に何も知っていることはないな。 至高の王族家に生まれた稀代の天才にして神様からの寵愛を受けた『神童』。心根が優しく戦いは悪だと考えている慈愛に溢れたお方である。そのくらいだよ」


「わたくしもトールと同じですわね。 アクアリア殿下…いやリアは、幼少からの付き合いではありますが、そんなに自分のことを語るようなお人ではありませんでしたので…」


それを聞いてアレクはうんうんっと頷く。一体何のために聞いたんだ?とさらにアレクに疑問の視線が集まる。トールとミルベリアからは「それがどうした?」とばかりの抗議の視線だったが。


「じゃ、アクアリア殿下が『転生者』ってことは知っているか?」


「それは、みんな知っているとことだよ。 数十年に一度か、数百年に一度のペースで異世界からの記憶を引き継いだ転生者が創造神様によって導かれる。 そして、創造神様によって導かれたお方がアクアリア殿下であったことは、有名だからみんな知っていることだよ」


トールの返しにみんながうんうんっと首を縦に振る。


「そのことが、何か関係ありますの?」


「いや、ちょっとした疑問さ。 どうしてみんなアクアリア殿下が転生者だと知っているのかな? どうして広まったのかな? アクアリア殿下が自ら「自分は転生者である!」とでも言ったのかな?」


「それは教会の司教様が大々的に発表をしたからだよ。 アクアリア殿下は創造神様が遣わし、導かれた神の使途様である、と。 神の使途様=転生者ってことだ。 だからみんな知っているんだよ」


「ふ~ん。 でもアクアリア殿下は認めたのか? 自分の過去(はなし)を誰かに話したのかな?」


アレクの言葉にトールとミルベリアがハッとなる。そういえば、アクアリア殿下は決して自分のことを放そうとしなかった。


転生者のほとんどはこの世界の産業や文明に大きな変化を齎してきた。そのほとんどが娯楽品の開発や提供であったが、中には世界中の人がハッと驚くような世紀の大発見のような出来事すらあった。


神の使途である転生者はこの世界の文明レベルを上げるために導いてくださっている。


そう誰もが信じていた。


しかし、アクアリア殿下は今までの転生者と違って何も語らないし、何もしなかった。司教様に神の使途、転生者だと公言されても、アクアリア殿下は決して自分のことを語ろうとしなかった。


そのことから、国民や他の貴族、他国からは「本当に神の使途様なのか?」と疑問の声が上がることがあった。これまで導かれてきた転生者たちは自分事をまるで英雄譚の如く話してくれるし、前世の記憶や知識を用いてこの世界を導いてくださっていた。しかし、アクアリア殿下は何もしなかったし、語らない。聞いても教えてくれないし、茶を濁すだけだった。


業を煮やした教国の大司教様がアクアリア殿下とお会いになったそうだが、そこでも何も語らなかったと伝えられている。


実際、トールもミルベリアもアクアリア殿下に聞いてみたことがあった。本当に「神の使途様」なのか、と。しかしアクアリアはうつ向くばかりだったのだ。


「まぁそれはそれだろ。殿下が話したくない、と思っているだけだ。 それに、アクアリア殿下とアレクが何の関係があるんだ?」


ランバートが割り込んでくる。


「それが残念なことに大いに関係あるんだよなー。 アクアリア殿下は自分のことを語らない、ではなく―――――――語れない、だよ。 だってアクアリア殿下は前世で()()()()()()()()からな。それに、()()()()()()()からな。」


その言葉に部屋の空気が凍り付いたように一気に冷たくなった。


「……どういうことだ? その言葉はさすがに冗談じゃ済まされないぞ?」

「そうですわね。 さすがに見過ごせませんよ?」


トールとミルベリアが殺気を出してアレクを睨みつける。アクアリア殿下とは幼少のころからの親友、ましては敬愛する至高の王族。俺の発言に怒りを覚えるのは当然のことだ。


他のみんなも同じように睨みつけていた。敬愛している殿下の侮辱は赦さない、とばかりにトールとミルベリア、ランバートの貴族組が殺気を放ってアレクを睨みつけ、アイリスとロイスがさすがに無礼が過ぎるとばかりに睨みつけていた。


アレクはみんなから放たれる殺気にも似た威圧感に気を向けることなく、まるで昔話を子供に聞かせるかのように話し始めた。


「アクアリア殿下の前世の名前は、咲花(さきばな)朱莉(あかり)、俺の幼馴染だったよ」


「…え? じゃあ…アレクは、自分の幼馴染を殺したってのか!?」


「あぁ… 俺を含めた学年中のみんなで殺した」





パァ―――――――――――ンッ‼






乾いた破裂音が部屋に響き渡る。それと同時にアレクが壁に飛ばされてドンッと大きな音が鳴り響いた。その近くには手を振り抜いた姿で固まっているミルベリアの姿があった。


ミルベリアがアレクの頬にビンタしたのだ。


「あなたって人は… あなたって人は…ッッ‼‼ 少し認めようと思っていましたのに… とんだ最低なクズですわねッ‼ 見損ないましたわッ‼」


眼に涙を浮かべながら、アレクを睨みつけるミルベリア。ミルは幼い頃に王城でアクアリアと出会って、小さい頃から護衛兼友人として過ごしてきた。思うことがあったのだろう、それに「俺が殺した」と言い切ったアレクにさすがのミルベリアも怒りを抑えきれなかったのだろう。


いや、誰だって抑えれるモノじゃない、な。


「……これがアクアリア殿下が自分を語ろうとしない理由だよ。 見損なっただろ?」


「あぁ… 見損なったよアレク。 僕は君を赦すことが出来なさそうだよ。正直、今すぐ君を殺したい。だけど、それはこの世界での出来事じゃないし、過去のことで君を捌く権利は僕にはない。 だから、君とは金輪際の縁としようか」


そう言い残してトールが涙目のミルベリアを連れて部屋を出ていく。


「…俺も少し考えるわ。 さすがに、ちょっと俺でも引きモンだったぞ」


ランバートも後に続いて部屋を出ていく。残ったのはアイリスとロイスだった。二人も俺に対する怒りに必死に耐えているようだった。ロイスに至っては手をぎゅっと握りしめていた。


「…僕も考えます」

「私も考えます」


そう言い残し、二人も部屋から去っていった。


誰も居なくなった部屋で一人になったアレクはふぅーっと息を吐き出してベットに横になる。





「………これで少しは()()()()()かな?」





誰も居なくなった部屋でアレクの小さなアレクの独り言が虚しく響いた。





◇◇◇




「…クッ‼ とんだクズ野郎だった、な‼ 一時でも親友と認めた自分の見る目のなさに嫌気がさすよ!」

「そうですわ! あんなクズ野郎に殺されたなんて… リア、つらかったでしょうに… あの平民、リアに絶対に近づけませんわっ!」


部屋を飛び出したトールとミルベリアが先ほどのアレクの話を聞いて苛立ちがピークに達していた。どんな気持ちで今まで学園生活を過ごしていたのか、少しは申し訳ないという自責の念はないのか!?と憤りを感じていた。


「あんなクズ野郎がリアと同じSクラス… ましてや同じ学園にいるとだけでも虫唾が走るな! なんとしてもアイツを学園から追い出さないといけない…ッ!」


「えぇそうですわ! この由緒ある正しき学園にはあってはならない悪鬼ですわ! なんとしてでもリアを守り抜きましょう!私たちの手で殿下を… 親友を守り抜きますわよトール!」


「当たり前だ!!」




◇◇◇





「チッ…‼ どういうことだよ、アレクのヤロウ…‼」


(俺はお前を信じてたってのに… なんだよ!この仕打ちは!)


ランバートはアレクの部屋を後にした後、言葉にもならない怒りとモヤモヤとした気持ちで心が一杯になっていた。はじめは自分の寮部屋に戻ろうと思っていたが、このむしゃくしゃする気持ちを落ち着かせようと知らず知らずに屋上へと上がっていた。少しは気がまぎれるだろう、と。


(何が学園のみんなで殺した、だよ! とんだ外道じゃねぇーかよ! そんな男だったのかよ、アレクはっ‼ 見損なったぜ!!)


ランバートもトールやミルベリアと同じくアレクの非道さと非常識さに憤りを感じていた。


アレクに殺されたアクアリア殿下、そして転生者となって神に導かれてこの世界にやってきたアクアリア殿下に付きまとうように現れて同じクラスの仲間として紛れ込んだアレク。


人じゃない、悪鬼だ。

人の道を外れた、外道だ。


―———————————俺はお前を信じてたのにっ‼


(裏切られた気分だよ…っ‼)


あんなヘラヘラしたような態度で楽しそうに話しやがって… 

俺はお前をぜってぇ赦さねぇぞ、アレクッ‼



次話予告『2-50.仲間の憤り』へと続く。


続くと書いて未定と読む。

そう… 真実は… あやふやな物なのだ!

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