2-30.模擬戦vsランバート
( ̄▽ ̄)気まぐれトーカでござんすっ!
Σ(゜д゜lll)オマエが言うんかいっ‼
「アイリスさん!あの魔法なんていうんですか!」
「アイリスー!俺にあの魔法教えてくれっ!」
「アイリスよ!卒業したら我が家の使用人にならないか?」
「アイリスですわね。是非ともわたくしにあの魔法を伝授してもらえませんでしょうか?」
「アイリスくん、実に素晴らしい魔法の才能だ。是非とも私にその力を教えてくれないか?」
最初の魔法実技授業が終わり、全員が教室に帰った後アイリスは一気にモテモテになった。アイリスの周りには俺以外のほとんどのクラスメイトたちが集まってアイリスに話しかけていた。どさくさに紛れて実家に引き込もうとしている奴まで居るぞ。
(まぁあれだけ派手にやれば、当然の反応だろうな…)
「い、いいえ…私は、そんなに…ちょ、ちょっとすみませんっ!」アイリスが必死に集まってくるクラスメイトたちの対応をしている。困った表情をして俺の方を見てくる。涙目になりながら必死に俺に助けを求めているようだ。
「まぁ自業自得ってことで! 頑張ってなアイリス!」
「まぁそうだな! アイリスすまねぇーな」
俺とランバートはクラスメイトに囲まれるアイリスを見捨てて教室を出る。
後ろから「待ってくださーい!」と言っているが、無視だ。薄情だと言われても俺には…いや俺たちには何もできないんだよ!それと決して俺の名前は出すなよアイリス!生贄は一人で十分だ!
「しっかし… アイリスのあの魔法、たしか合成魔法っていったか? すげぇ威力だな」
「あぁ、俺も初めて見たよ」
正直俺も初めて見たのだ。
合成魔法自体はそれほど珍しい魔法ではない。俺も使うことが出来るっちゃできるからだ。しかし、出来ると使えるはまったく別の意味に当てはまる。特に俺の場合は戦場で使えるかどうかだ。戦場で一々合成魔法を使う奴はまずいない。普通に初級魔法でも手早く発動できる魔法なら別に何でもいいのだ。すぐに出せて、相手の気を引ける、もしくは隙を作ることさえ出来れば俺はそれで充分なのだ。
アレクの戦闘スタイルは『近接戦』が主だ。
つまり主に剣で近づいて斬り合うスタイルなのだ。そのため一撃で相手を屠る高威力の魔法攻撃より量や手数、発動までの速度を重視した魔法の方が重要なのだ。
アイリスの戦闘スタイルはいまだに定まっていない。
アイリスは『近距離・遠距離両方可能な万能型』なのだ。後方支援に徹して高威力の魔法攻撃を繰り出す職にも着けるし、俺のように近接戦もできるので俺と同じスタイルをとることもできる。
アイリス自身はまだ自分のスタイルを決めかねているようなので、とりあえず両方伸ばす訓練を積ませてきたのだ。近接戦、つまり剣術を教え、鍛えながらも魔法を教え、魔力も鍛えさせた。将来、なりたいものに困らないように、自分で選べる選択肢を増やせるようにっと。
普通の場合なら、まずこんなことはさせない。
その辺の奴に同じ鍛え方をしても中途半端な魔法剣士が生まれるだけなのだ。一般的には魔法か剣かのどちらかを優先的に鍛え、極めることこそが最も強くなれる方法だからである。
しかし、アイリスは剣の才能もありながら魔法の才能もあった。
いやアイリスは間違いなく魔法の才能が凄まじかった。
アイリスは俺と出会うまでは剣しか知らなかったため、剣をひたすら鍛え続けていた。そして俺と出会い、魔法を扱えるようになり努力してきた結果、今のアイリスが出来上がったのだ。
「まぁ結局は…自分の心一つなんだよな」
「ん? アレクなんか言ったか?」
「あ、いや。 なんでもない」
ランバートと二人で歩きながら第一校舎へと向かう。
第一校舎にある事務所でパーティ仮登録用紙を貰い記入する。用紙には『名前/クラス』を記入する欄があり、そこに名前とクラスを書き込めばいいようだ。『アレク/S』と記入し横にいたランバートに手渡し、同じように書いてもらう。あとはアイリスとロイスの二人を書かせて提出すれば一時的に仮パーティ登録が完了し、ダンジョンに入ることが出来るようになるのだ。
ダンジョンに入る条件として『パーティ登録』をしておくことが必要なのだ。
「ほらっ 名前かいたぞ。 一応改めてよろしくなっ!」
「おう! こちらこそ、よろしく頼む!」
第一校舎を出て野外訓練場グラウンドγへと向かう。
今日もそこでロイスと待ち合わせをしているのだ。俺たちはSクラスでロイスはDクラスと別々のクラス所属のため待ち合わせ場所は野外訓練場グラウンドにしようってことで朝の朝食の時に決めたのだ。
野外訓練場グラウンドγは全六個の訓練場が用意されている場所だ。
到着したのはいいが、まだ他のクラスは授業中なのか、誰も居なかった。
「誰もいないな…」
「そりゃアイリスがやらかしたからな… 俺たちが速く終わりすぎたんだろ」
当のアイリスは今教室でクラスメイトから質問攻めを食らっている。
「このまま待つのも癪だし、アレクぅ! 俺と模擬戦ろうぜ!」
ランバートがアレクの方を向きながらニヤっとする。
「ほぉ? ルールはもちろん『アリアリ』でいくのか?」
アレクがランバートの方向き、ニヤっとした笑みを返す。
「別にアリアリでも構わんけど…やっぱり男は剣だろっ!ってことで剣のみな!」
模擬戦でのルールは基本的にお互いの合意によって決められる。
アレクとランバートが言う『アリアリ』とは魔法も剣術もありということだ。
アレクとランバートが訓練場Aグラウンドに降り向かい合う。武器は普通なら模擬戦場に設置されている模擬戦用に刃引きされた模擬剣か自前の訓練用の武器を使うかだが、アレクもランバートも自前の武器を取り出して向かい合っている。
ランバートがアレクの実力をアイリスとの模擬戦で薄々気づいていた。
「自分が逆立ちしても絶対に勝てない」と。
だからこそランバートは自分の使い慣れた愛剣を使って望むことにした。
それに引き換えアレクは異空間収納から木で作られた剣を取り出す。
アイリスとの模擬戦でアレクが使っていた武器だ。
「その剣… 魔法剣だろ。 魔力感じるぞ!」
アレクがランバートの持つ剣を指摘する。
ランバートの剣は柄部分に魔石がはめ込まれており、魔法剣であることを物語っている。
「別にいいだろ。魔法は使わないからさ… 使い慣れた武器の方が使いやすいってモンよ!」
「まぁ別に構わんけど。 その武器折れちまっても知らないぜ?」
「ハッ!折れるモノなら折ってみやがれええええ!!!!」
普通の模擬戦では開始を告げる人によって模擬戦が始まるが、今回はいないのでお互いが準備できたと感じたら自然と始めるのがセオリーなのだが、ランバートが一気にアレク目掛けて斬りかかって模擬戦が始まった。
ランバートが上段から斬り下ろす。
その一撃をアレクが下段から切り払おうと片手で切り上げる。
お互いの剣がぶつかり合う。
「……ッ‼」
しかし、アレクはランバートの一撃を切り払いきれなかった。
ランバートが【贈与】筋力強化《強》を使い、腕の筋力を上昇させて斬りかかってきたのだ。
「いきなり筋力増加かよ…ッ‼ 飛ばすじゃないかランバートォ!」
「俺の一撃を木剣で防いでいるアレクの方がどうかしてるぜっ!」
(このままでは、押し切られる!)
そう判断し、すぐに両手で持ち直して木剣に魔力を纏ってランバートの一撃を耐えたのだ。
アレクが剣を少し傾け、ランバートの一撃を受け流す。
受け流されたランバートの無防備な背中目掛けてアレクが木剣を振り抜くが、ランバートの【贈与】で強化された脚力ですぐに距離を取られ、一撃を躱される。
思ったよりランバートの【贈与】は厄介なシロモノのようだ。
さすがは戦闘系ギフトだ…
剣の方が好きだ!と言っていた意味が理解できたよっ!
今度はアレクの方からランバートに斬りかかる。
さっきのお返し、とばかりに上段から斬り下ろす!
斬り下ろされた一撃をランバートが剣背に手首を付けて、受け止める。
「ホントッ!どういう筋力してやがるんだっ!俺よりも重たい一撃って… お前やっぱ異常だわっ!」
「さすがは筋力強化のギフト持ちだな… 今の一撃で沈めてやろうって思ったんだがな」
地面が割れ、ランバートが膝をつくが、それでもギリギリ防御しきった。
手加減したと言えアレクの一撃を防御しきったランバート。
さすがは序列十位でSクラス入りしたこの学園の実力者だとアレクが関心する。
アレクが一撃を切り上げてランバートから距離を取る。
「力勝負はこのくらいにして、そろそろ剣技で勝負といこうぜランバート!」
「上等だぁあ! 俺の剣技見せてやるっ!」
ランバートがゆっくりと立ち上がり剣を下段後方に構える。
下段からの斬り上げからの斬り下げ、手首を返しての中段横払いからの切り替えし。同世代でここまでの剣技を披露できる実力者はそうはいない、さすがは実力至上主義のアスラエル高等学園に合格、しかも特待生クラス入りを果たしただけの男だ。見事な剣技を繰り出してくる。
しかしそれを全てアレクが完璧に防ぎきる。
「ハァハァ… ま、まじかよ…ここまで差があるのかよ…ッ‼」
すべての剣戟を完璧に見切られ、そして防がれたランバートが息を荒げながら言葉を絞り出す。
息が乱れているランバートに比べアレクはまったく息が乱れておらず平然とそこに立っている。
「いい剣技だったぞ! しかしまだまだキレが足りないな。そんなもんじゃないだろ?」
アレクが挑発にも似た声を掛けてくる。
「ハハッ‼ 言ってくれるじゃねぇーかよぉ!俺の剣技はまだまだこれからだぜぇええ!」
ランバートがさらに激しい剣技を繰り出してアレクに斬りかかる。
アレクはそれをその場から動かずに全て捌き切る構えで臨む。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「おりゃあああああああああああ!!!!」
二人の剣技がぶつかり合う。
ランバートの一撃をアレクが切り払う。
しかしすぐに返し別の角度から振り抜く。
それもアレクが見事な反応速度で切り払う。
負けじとランバートがさらに斬りかかる。
まさに剣戟の応酬。
その応酬は数分間にも上り、ランバートはひたすら繰り出し続けた。
アレクはランバートの一撃一撃を完璧に見切り、捌き続けた。
やがてランバートの一撃に重みとキレが無くなってきたところで、アレクが横に剣を薙ぎ払う。
その薙ぎ払いを防ぎきれずにランバートの横腹に命中し、吹き飛ばされる。
この一撃が勝負を分けた。
吹き飛ばされたランバートが途中で訓練場フィールドの観客席前まで転移させられた。つまり、今のアレクの一撃は致命傷だと訓練場に付与された魔法が判断したのだ。
「勝負アリッ‼ だな」
息一つ乱れずに全て捌き切ったアレクに対し、ゼェゼェと荒い息を立てて観客席前で座り込むランバート。二人の模擬戦の決着はアレクの圧勝で幕を下ろしたのだった。
戦闘シーン頑張って描いてみたっ!(*´ω`)
戦闘シーンというより模擬戦シーンを真面目に描いてみた!が正しいかな。
けどやっぱり「バトルシーン」を上手に描ける人は本当に凄いと思います。
次話『ロイスの特訓!』ご期待ください!
※タイトル変わると思いますけど、ロイスの特訓編に入ると思います。




