2-28.学園説明会
キ→ マ↓グ→レッ↑ トォオオカァアア‼
(*´ω`)ふふふっ
( ̄▽ ̄)もう勝手にやれっ
※気まぐれトーカ!と書いています。
「おはようー」
「おはようございます」
「おっはー!」
アレクが寮の食堂で朝食を食べていると昨日の模擬戦グループがやってきた。
「今日は予定覚えてる?」
「確か『研究会案内』だったはずです」
「研究会ってなんだ?」
「私も詳しく知らないです…」
「おいおい!研究会も知らないのか?」
「なんだよランバート。 知ってるのか?」
「当然だろ! 研究会っていうのはいわば学園公認のグループさ!学校から研究費が下りるし、それぞれ様々な活動をしているんだぜ!」
要するに部活動みたいなものかな?
「どんなのがあるんだ?」
「一番有名な研究会は『生徒会』だな。ほら入学式で生徒会会長のセシリア=フォン=アスラエル殿下が挨拶しただろ?学園の秩序から運営まで全部仕切ってる研究会さ!」
セシリア=フォン=アスラエル…
確かアクアリア=フォン=アスラエルの二個上の王女様だったな。
たしか第二王女だったはずだ。入学式暇すぎて寝かけてたから覚えてないや。
「ほかにも『肉体言語研究会』や『ダンジョン研究会』『攻撃魔法研究会』と色々とあるぜ! ちなみに俺は『肉体言語研究会』に入るんだ!あ、肉体言語研究会っていうのは――――――――」
ランバートが肉体言語研究会の良さを語り始めたが、正直何がいいのか分からない。
アイリスも凄く微妙な顔をして聞いている。
要するにアレだろ… 身体強化魔法を鍛えましょう!って内容の研究会だな。
ダンジョン研究会に攻撃魔法研究か… 色々とあるそうだけど全部面白くなさそうだな。
ん?ダンジョン… ダンジョンって確かこの学園にあったよな… あ!
「あ!そういえばダンジョンって入れるんだよな!」
ランバートの自慢話を無視して話題を変える。
ランバートが「うお!なんだよ」と言ってくるが無視だ。
「確か『パーティを登録すればダンジョンに入れる』って言ってましたね」
「パーティってのは何人必要なんだっけ?」
「えっと… 確か四人組以上だったはずです」
ほうほう… 四人組か。
ならいけそうだ!
「アイリス、ランバート! 俺とパーティ組まないか?」
「ほえ?」
「え?」
「ダンジョン登録用のパーティさ!実力的には問題ないだろ?」
「私は別に構いませんけど…」
「俺も研究会優先になるけど、それでもいいなら別にいいぞ! あ、けどあと一人どうするんだ?」
「そんなの決まってるだろ…」
「ま、まさかよ… アイツか…?」
ランバートの質問にニヤっとして答える。
「お、俺は反対だぜ? アイツは弱すぎる!パーティに入れても荷物持ちにもならんぞ?」
まぁごもっともな意見だ。
アイリスの方は既にわかってました、と言わんばかりにニコニコしている。
「アイツは弱いけど根性あるし、それにこれから成長するぞ?」
「け、けどよ…」
「お、おはようございますっ!」
そこにナイスなのかバットなのか分からないがアイツがやってきた。
「おはようーロイス!」
「おはようございますロイスくん!」
そう俺がパーティに誘おうって思ってたのはロイス=クルヘラだ!
実力的には論外だけど、根性はある。それに攻略に必要な戦力は俺一人いれば十分だしな。
「なぁロイス。俺たちとパーティ組まないか?」
「パーティ… ですか? なんのパーティですか?」
「ダンジョン攻略のパーティさ!」
「ダ、ダンジョン…!? む、むりですよ!僕にはまだ無理ですっ!」
「安心しろって!俺とアイリス、それにランバートが付いてる!」
「だ、だけど… 僕お荷物になりませんか…?」
「そう思うんだったら初めから誘ってないよ。俺は見込みがあるから誘ってるんだ」
「そうですよ。ロイスくん素敵な夢のために強くなるって決めたんでしょ! なら頑張ろうよ!」
「うぅ… お荷物にならないように頑張りますのでよろしくお願いします…」
テッテレー♪ ロイスがパーティに加わりました!
後はランバートだけだな。
「よし!決定! ランバートもいいな?」
「ハァ… 別に構わんよ」
「じゃ後で、仮登録用紙持ってくるからそれに記入して登録しようぜ」
「分かりました!」「はいよー!」「よ、よろしくお願いしますっ!」
よし!これで最低基準の四人組は揃ったぜ!
ロイスも加えた四人で朝食をとった後、それぞれ教室へと向かった。
◇◇◇
廊下でロイスと分かれ、教室に入るとまだ早いのか誰も登校してなかった。
まぁ寮組である俺やアイリス、ランバートが速いのは当たり前なのだが。
基本的にこのSクラスには王族や公爵家とかいう上級貴族の面々が勢ぞろいしている。
上級貴族は大抵、王都にそれぞれ別荘を持っているのでそこから登校しているのだ。
「やっぱり俺たち一番かー」
「そうみたいですね」
「なぁそういえばランバートー 他にもいっぱい研究会あるって聞いたけど、他にはどんなのがあるんだ?」
「お? 肉体言語研究会に興味が沸いたのか!よーっし! 俺が伝授してやろう!」
「「いや。まったく興味ないです」」
「そんなこというなって!仕方がないからこのランバート次期肉体言語研究会会長が教えてしんぜよう!」
(やっぱり聞く相手間違えたな…)
ランバートの長々しい肉体言語研究会の説明が始まった。
それをうんざりした顔で聞くアレクとアイリス。
「おはよう! ってどした!? 朝から疲れた顔してるな!」
救世主ロベールがやってきた。
藁をも掴む思いでロベールに救いの眼を向けると事情を察してくれたのかロベールが俺の肩をトントンっと叩いてくれた。
おぉ!ロベール様、ロベール様、ロベールさまああ!
「あきらめろ… こうなったランバートは…止められない!」
「「……」」
何いい顔して言ってんだよ!ってマジか。ロベールですらお手上げなのか…
ロベールがさっさと別のところに行ってしまった!オイコラ!逃げるな!
ランバートの弁舌が続くなか、第二の救いの神が降臨した。
「おはようございます!アレクさん、アイリスさん それにランバートさん!」
「あ、おはよう!」
「おはようございます!アクアリア殿下!」
「お、おはようございますっ!アクアリア殿下!」
さすがのランバートの弁舌を辞めてくれた。
さすがは王族!神々しいぜ!
「なんの話をしてたのですか?」
「あ、アクアリア殿下も気になりますか!今肉体言語研究会のすばらしさを説いていたのです!」
おい!ランバートぉお! 口調変わってるぞぉ!
っていうか誰も聞いてねぇーよ! ほらみろ!アクアリアもすげぇ微妙な表情してるぞ!
「肉体言語研究会とは、その名の通り肉体を美として考え、そして鍛え上げることによってさらに肉体美を高めていくための研究会であり、さらにさらに―――――――」
「あ、すみません!そろそろ席に着きますね!ではっ…」
「「(逃げたあぁあああ!)」」
ちょまてえええ!
こいつの弁舌を止めていけええ!
結局誰もランバートの弁舌を止めることが出来なかった。
「みんなおはよう! じゃ朝のホームルーム始めるぞ。全員席に着け」
そんなやり取りをしているとジョナ先生が来た。
やっと解放されたよ…。
「全員いるな。では改めてみんなおはよう!」
「「「おはようございますっ!」」」
「じゃ、今日の予定伝えるぞ。 昨日言った通り午前中は『研究会案内』だ。その後、学園を見て回る予定だ。 昼食後は最初の魔法実技演習を行う。学園案内で教える『第四魔法演習場』に集まるように、特に必要な持ち物はない。 今日の連絡事項は以上だ。何か質問とかあれば今のうちに聞いてくれ」
全員の机を確認するとカバンを持っている生徒はいない。みんな異空間収納を使えるということだ。
「じゃ、そろそろ案内が始まるから全員講堂いくぞ!」
ジョナ先生の声で全員が席を立って講堂へ移動し始めた。
講堂では既に他のクラスが勢ぞろいしており、残るはSクラスのみとなっていた。
入学式と同じような椅子並びでそれぞれ決まった席に座る。
入学式で司会を務めた教員が、また司会を務めるようだ。
「では、これより… 研究会説明を行います。 まず初めに言いますが、研究会とは学校公認のグループですので、参加してもしなくても自由です。自分の長所を伸ばせる、自分の成長を促すための研究会に入ることを進めます。 また入りたい研究会があった場合は、後日、担当教諭に入会申請書を提出してください。それでは『生徒会』から説明をお願いします」
司会の教諭が舞台袖へと消えていき、代わりに三人ほど壇上へと姿を現した。
金髪を肩まで伸ばした女性を先頭に赤色の髪をしたガッチリした青年、丸眼鏡をかけた灰色の髪色をした青年が付いて出てきた。
「ごほんっ!初めまして私たちは『生徒会執行部』でございます」
先頭の金髪の髪の女性が壇上に設置された机から話し始めた。
壇上の机には拡声魔法が組み込まれた魔道具が置いてあり、そこに話しかけて喋っているようだ。
「入学式でみなさん知っていると思いますが、改めて自己紹介をさせていただきます。わたくしはセシリア=フォン=アスラエル、この国の第二王女になります。 といいましても、ここは実力主義の学園のため私の身分などは関係ありませんのでご心配なく。 ではさっそく『生徒会』について説明をさせていただき来ます。 生徒会の主な業務としまして、まず学園の生徒の治安を守ることが主な仕事になります。生徒同士の争いを和解、または武力を持って鎮圧しますので、それ相応の実力者ではないと生徒会役員は務まりません。 次に学園武闘大会の運営も我々生徒会が運営を学園から一任されております。いうなれば、この学園の顔役ともいえる存在が生徒会でございますので、並みの生徒が入れる訳ではございません。生徒会に入るには入会試験を受けてもらいますので、たくさんのご応募をお待ちしております。 以上で説明を終わります。質問などございますでしょうか?」
なるほど。要するに風紀委員と生徒会が合体した組織という訳か。
それに学園のイベント事の運営まで行うあたり、学園の顔役兼雑用担当の部活動みたいなものか。
まぁけど、この学園の生徒会に所属してましたとなれば、卒業後の進路に大きく関わることは必然だな。
生徒たちの生徒会会長へその後ろの役員たちの見る目がキラキラと輝いている。
いやギラギラかな。狙っているみたいだな。ほとんどの生徒が。
「では最後に担当教諭のコールリング先生と後ろの二人の挨拶をお聞きして我々生徒会の説明を終わります」
会長が後ろに下がる。
下がると同時に壇上脇から一人の長身にスーツ、眼鏡といった偉く徳の高そうな先生が壇上にやってきた。あれが担当教諭のようだ。
「ンンッ‼ 初めまして入学生諸君。まずはご入学おめでとう!私が生徒会の担当教諭であるウサマール=フォン=コールリングである。 まぁ多くは語る気はないので、手っ取り早く言おうと思う。まず生徒会はセシリア会長殿がおっしゃった通り、この学園の顔役である! 学園の生徒の代表である! その覚悟がある者だけ、入会試験を受けに来てくれ! では私の挨拶はこれで終わる」
そういい終えると舞台袖に去っていってしまった。
そしてセシリア会長の後ろに控えてた二人の男性生徒が前に出る。
「初めまして、そして入学おめでとう!俺はアルフレッド! みんな知っていると思うがこの国の第二王子だ! まぁ俺もあまりしゃべるのが得意じゃないんでな! コールリング先生がおっしゃったようにここは実力至上主義の学園でその顔役である生徒会だ。半端な実力者はいらん。圧倒的、それもすべての生徒圧倒できるほどの実力者を求めている!自信のある奴は駆けあがってこい!以上だ!」
赤髪のガッチリ体形の人がアルフレッド=フォン=アスラエル第二王子か。
王族率半端なくね…? これだけでも生徒会入る気失せるんだが…。
次は丸眼鏡の灰色の生徒か…
「みなさんご入学おめでとうございます。僕は生徒会の書記を担当しているバニスター=フォン=リルクヴィストです」
(…っ‼)
リ、リルクヴィスト… アイツが…!?
「僕は、みんなが楽しく切磋琢磨しあえる学園を目指しております。そのために力を貸してくださる生徒を募集しております。 王族率が高い生徒会ですけど、居心地や雰囲気は凄く楽で楽しいですよ!平民の方でも、私はもちろんセシリア会長も風紀長のアルフレッド殿下も気にしないので、是非たくさんのお方が生徒会に遊びに来てくれることを期待しております。ではこれで挨拶を終わります」
な、なんか…覇気がないな。すごくおっとりした雰囲気を纏った礼儀正しい人の印象を受ける。
本当に俺のことを家から追放したあのリルクヴィスト侯爵家の人なのか…?
その後も次々と研究会の説明が続いていった。
身体強化魔法を極める『肉体言語研究会』
付与魔法を極める『生活向上研究会』
攻撃魔法を極める『攻撃魔法研究会』
伝説人物を研究する『伝説研究会』
全部で五つの研究会がそれぞれ代表者、担当教諭の説明を聞いて研究会案内会が終わった。
その後、続々と生徒たちがそれぞれクラス担当教諭に連れられ学園案内に向かった。
俺たちSクラスもジョナ先生に引率されて学園案内が始まる。
案内されたのは一年生の時に主に使う第八校舎と第七校舎、そして職員室や教諭関係者、研究会教室がある第一校舎だ。
第二校舎から第八校舎まではほとんど同じ作りなので、実験室や演習室、訓練場や保健室など案内されて終わった。
最後に第一校舎に移動して職員室、理事長室や学園長室、会議室が案内されて学園案内が終わった。
研究会の研究所ならぬ教室があるのは特別別当校舎があり、そこが研究会の主な活動場所のようだ。
ちなみに生徒会だけが第一校舎にある。その他は別当校舎にあるのだ。
研究会の教室は階層まるごとが研究会の教室になっていた。
一階が『肉体言語研究会』
二階が『攻撃魔法研究会』
三階が『生活向上研究会』
四階が『伝説研究会』
となっている。
そこも案内されたが、まず一階二階は入る気が起きないほど不衛生な空間だった。まず一階は汗臭い。二階は焦げ臭いのだ。窓を開けて換気しろ!って思ったよ。
三階四階は衛生的にも環境的にも素晴らしかった。綺麗に整理された資料や参考文献の数々、そして清潔に保たれている教室に机や椅子の数々。
一、二階の研究会に是非とも参考にしてほしいものだ。
ちなみにだがランバートは一階を見て「これでこそ男の研究会だ!」と謎の納得をしていた。 それを見てSクラスのほとんどが引きつった笑みをしていたのは必然なのだろう。
そして最後に第一校舎に移動した。
また第一校舎かよ。はじめに説明しとけよって思ったのは俺だけじゃないはずだ。
「第一校舎の一番奥にある大きな扉の先がダンジョンの入り口だ。ダンジョン名は『鍛錬の扉』と呼ばれている。 かつてこの学園を創設した伝説の英雄たち… まぁ俗にいう勇者パーティが自分たちを鍛えるために鍛錬したダンジョンだそうだ。 全階層で百層ある。勇者パーティが残した文献ではな。しかし、学園の超優秀な者たち…まぁ今の生徒会でも四十階層が限度だったらしいがな。 学園長含めたパーティでも五十二階層までが限度だったらしい。まぁ一年生のお前らで十階層超えることが出来れば凄いもんだよ」
厳重に施錠された頑丈な鋼鉄の扉で封鎖されている扉の前でジョナ先生が説明をする。
ダンジョンか… まぁ魔界には腐るほどダンジョンがいっぱいあったな。
それに、百階層ね…
俺は魔眼を使って調べる。
(へー… ふーんっ)
「あ、ちなみにだが… ダンジョンに入るには最低でも四人一組のパーティじゃないと入れないからな。
あとでこの登録用紙を配るから、パーティ決まったら事務所に出して置けよ。ちなみにこれは仮登録証だから、正式なパーティは半年後の長期休暇前のダンジョン試験を終えた後に正式な登録用紙を発行する予定だからな。今のうちにメンバーある程度見繕っておけよ」
「じゃこれにて学園案内を終わる。」とジョナ先生が言って学園案内が終わった。




