2-19.会議
(≧▽≦)キャッハッハッハハ―———————‼
Σ(゜д゜lll)l ̄l_うぇええ…っ‼
※気まぐれトーカ!と喜んでおります。←は?(笑)
「おつかれ~!試験どうだった?」
「お疲れ様です。私はぼちぼちですね… 筆記試験が少し危ないです…」
「あ… 奇遇だな。俺も筆記試験がやべぇわ…」
アレクとアイリスは無事に入学試験を終わらせて校門で合流した。
アレクの方が先に終わったらしく、後からアイリスが合流した形だ。
お互いに実技試験は問題なかったが、筆記試験の方が少し心配が残った結果で終わった。
「ここで落ち込んでても仕方がないな!終わったしパーとどっかで夕食でもどうだ?」
「…そうですね!もう終わったしまいましたし!結果を待ちましょう!」
アレクとアイリスは宿泊を取っている宿に向かわず、宿に向かう途中にあるどこか飲食店で夕食を取ってから帰ることにした。どこかアイリスの足取りが軽かったとだけ付け加えておこう。
試験結果の発表は今日から十日後に一斉に発表される。
発表場所は今俺とアイリスが立っている校門のところに張り出されて合格者のみ学園の敷地内に入って手続きに入る。
◇◇◇
合格者は大きく二つに分かれている。
一つは『一般生合格者』と呼ばれる試験に合格した者たちだ。
一般合格者は実力順に『A』から『D』クラスに分けられる。大体一クラス三十人構成のクラスだ。
A→B→C→Dの順で強い方から実力順に配置されるのだ。
つまりAクラスが一般合格者の中で最も強い人たちが集まるクラスだ。
そして次に『特待生合格者』だ。
一般合格者の中からズバ抜けた実力を持っている者が入る特待生『S』クラスだ。
Sクラスはわずか10人しか入れない。合格者の中で最も強く、優れた者が入れる特別なクラスだ。
入学金免除や図書室の特別室入出許可など、様々な学園内特権を与えられるクラスだ。
当然ながら、合格者はみんなSクラスを目指して日々を努力する。
卒業までの三年間までにSクラスに昇格できれば、まさに未来のエリートコースに乗ったようなモノなのだ。
しかしSクラスは何もメリットだけではない。
この学園は『完全実力至上主義』と取っている。
校内ランキング、学年ランキングなど、自分の地位が数値として表示される。
当然ながら校内ランキング、学年ランキングの順位が高いほど半年に一度あるクラス分けに大きく影響するのだ。
順位が低く、敗北数が多ければ多いほどクラスから滑り落ちる。
逆に順位が高く、勝利数も多ければ上のクラスへと昇進するのだ。
そのため、ほぼ毎日のように学内決闘戦は行われている。
そしてこれがSクラスの生徒にとってはデメリットしかないのだ。
Sクラス生徒は学年で最も強い十名しか所属できない特別なクラス。したがって他のクラス生徒に敗北は赦されない。負ければ降格処分となる可能性が高くなる。それに、Sクラスの生徒は決闘を挑まれたら断ることが出来ない決まりだ。
これ完全実力至上主義の王立アスラエル高等学園の姿だ。
◇◇◇
三日間行われた今年の学園入学試験の結果が全て集計された。
今年の入学希望者は実に四千人近くに上る。この中で合格者は大体二百名までに絞られる。
仕分け方法は学園が定めている基準値に届いているかどうかで一次選抜される。
では、基準に達しているから合格とはならない。その中からさらに実力順に二次選抜される。
それで生き残った中から、それぞれのクラスに配置換えされるのだ。
合格発表までは残り三日。
今日は最終確認のために学園の会議室の一室に教師陣や学園長、副学園長、経営責任者の理事長といった学園のお偉いさんが勢ぞろいしていた。
「今年は豊作でしたなぁ!」
「あぁ何といってもアクアリア第三王女殿下ですな!」
「試験官を圧倒する実力に、頭脳も明晰! さすがは『神童』と呼ばれることはある!」
次々に今年の主席合格者候補である者の評価を述べていく。
「では、満員一致という訳で今年の主席はアクアリア=フォン=アスラエルで決まりということで…」
「「「「異議なし!」」」」
「ではお次は次席候補生を取り決めていきましょう。今年の次席候補生は二名ほど居ます。」
「四大公爵家のミルベリア=フォン=シルヴァとトール=フォン=ヴァーミリアンのお二人ですね」
「いやはや… 二人とも実力は申し分ない。既に教師陣とタメ張るほどの実力者だ。 しかし、ミルベリア嬢は少し実力が劣っている。ここはトールを次席とし、ミルベリア嬢を三席とするのはどうでしょうか?」
「うむ。私もそれに納得だ。」
「ええ… それが現在の妥当だと思われますね」
「血筋に家柄、そして実力全てにおいて似合っております」
「しかし、ミルベリア嬢は『剣聖』の実の妹君でございますよ。」
「首席のアクアリア殿下には劣りますが剣の腕は今年の中ではピカ一かとっ!」
・
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「では!満員一致としまして『トール=フォン=ヴァーミリアン』を次席、『ミルベリア=フォン=シルヴァ』を三席とします。意義はありますか?」
「「「「異議なし!!」」」」
この調子で、会議室では次々と今年の入試順位が決定していっていた。
しかし、ここである議題が大きく分ける。
「では次に… 第七席の候補生に入りますが候補生は全員で四名います」
「ほぉ… まだ名の上がっていない侯爵家の嫡男やまだまだ優秀な者がいますからな!」
「さて、その候補生は誰なのでしょうか?」
「…私どもが考えだした第七席候補生は『アレク』という平民出身の者が妥当かと思われます」
議題の進行役である人が言いにくそうにその名を口に出す。
他にも優秀で有名な貴族の候補生たちはたくさんいる。しかしそれを差し置いて平民がまさか第七席とはいえ、Sクラス生徒の候補生を決める議題に出るとは前代未聞であった。
「な…‼」
「へ、平民だと…?」
「バカな!まだアーシア嬢やグレルなどの優秀な者たちがいるではないか!」
「それを差し置いて… アレクという平民が第七席にと…」
「皆様方のご意見はごもっともでございます。しかし私どもの見解では実力的には恐らく学年一の実力所持者だと思っております」
「ほぉ?なぜそのように思われたのかな?」
「アレクという平民出身の候補生はあろうことか試験官を瞬殺しております。見ていた試験官もやられた試験官もまったく反応することすら出来なかったと言っています」
「な… 瞬殺だと…?」
「はい、そうです。それもやられた試験官が元Sランク冒険者であったバカナモード試験官だったのです」
「…なるほど。それなら納得だが、なぜ首席ではないのだ?それほどの実力者なら問題なく首席候補に選ばれるはずだが?」
「はい。実力だけなら間違いなくダントツの主席です。しかし筆記試験があまりにもひどい結果でした…」
そう言って司会者がアレクの筆記試験結果が記された書類を配る。
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入試番号:『武官科ーA-001284』アレク
【実技試験】100/100 +加点100
【筆記試験】11/100 +加点0
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「…ちょっとまて…。筆記試験ひどすぎないか…?」
「今年の平均点はいくつでしたっけ?」
「平民でも60点はとれるテスト内容だったはずだが…!?」
「手元の書類に書いてある通り、アレク候補生は実力はともかく、頭がかなり弱いようです」
「じょ、【常識認識問題】はどうじゃったのだ?」
「ゼロ点です。」
「では【魔物認識問題】は!?」
「ゼロ点です。」
「逆に解答欄が見てみたくなってきたんだが…」
「唯一【計算認識問題】だけが満点でした…」
「「「は?」」」
「それに…【戦術知識問題】での彼の回答は全て『討伐する!』や『俺一人で十分だ!』などと回答されておりました」
「「「そいつ… 別の意味で問題なくはないか?」」」
「しかし彼の実力から察するにおそらくこれは可能なのでしょう。よって私たちは彼を第七席とすることに決めました」
「異議は… みな、なさそうじゃな…」
「うぬ…」
「では第七席をアレクに決定します。意義はありますか?」
「「「「異議なし!!」」」」
「では、次の八席の話に移りますね。第八席候補生に私たちはアイリスという平民を押します」
「また平民か!?」
「ってことはまさか…」
「はい。こちらのアイリスさんもまた… その試験官を一瞬で倒しました…」
「またか!今年はヤバくないか!?」
「今年の入学生怖くないか!?」
「まさに… 豊作ですね…」
この会議に参加した者は思った。
今年の学園は荒れる!
間違いなく荒れる。と、全員が悟った。




