2-18.実技試験inアイリス
( *´艸`)GYOUUUUUUUUU!!
( ゜Д゜)キャーキャーキャー!! ゼェゼェ…。
※気まぐれトーカ!と吠えています。←え?(笑)
アレクが筆記試験を第二校舎視聴覚室で受けている頃。
室内訓練場グランドAでアイリスは実技試験を受けていた。
「では、これより実技試験を行います。今回の実技試験内容は『試験官との模擬戦』になります。試験官相手にどこまで戦えるのかを見させていただきますので、みなさんは全力で戦ってくれても大丈夫です。質問などはございますでしょうか?」
(なるほど… アレクくんに聞いていた通り、模擬戦形式ね)
アレクに鍛えてもらっているときに、アイリスは今回の学園入学試験について少しだけアレクに聞いていたのだ。
「あの… すみません!質問よろしいでしょうか?」
私のすぐ横に待機していた黒髪を角切りカットした青年が手を挙げて試験官に話しかける。
「魔法の使用などは大丈夫なんでしょうか?あと、制限時間などはありますでしょうか?」
「はい。魔法行使していただいても構いません。制限時間は五分です。武器などは受験生の愛用している武器を使ってもらっても大丈夫です。 試験官は全員、冒険者ギルドでいう『Aランク』相当の実力を持って居りますので遠慮などはご無用です。 ほかに質問などはありますでしょうか?」
黒髪青年の後に質問する受験者は無かった。
試験官の言葉に表情が変わった。相手が格上だと知って安堵する者、燃え上がる者、それぞれだ。
ここは第一校舎にある室内訓練場『グランドA』だ。
室内と言うだけあってそこまで広くはないが、全部で闘技場は六個ある。闘技場の一つ一つに二人の試験官が配置されており、一人はスケッチブックのような紙を持って居り、一人は戦うようだ。
「それでは受験者諸君!武運を祈る! 各自それぞれ対戦したい試験官を選んで模擬戦を始めてくれ!」
説明を変わるとばかりに後ろに控えていた男性の試験官が前に出てきて拡声魔法で放し始めた。
その声に反応して受験者がそれぞれ思う試験官の場所に模擬戦を挑みに向かった。
(…これは戦う相手が重要だ!)
アイリスは確信する。
実技試験の説明では『試験官相手にどこまで戦えるのかを見ます』といった。
つまり相手の試験官は負けることはないと踏んでいる。意図的に格上をぶつけてどこまで戦えるのかを見るための試験だ。
だけど、もし… 試験官が受験生に負ければどうなる?
明確な採点基準が公表されていない以上、相手の試験官は負けることは前提に含まれていない。
その相手の試験官に勝つことこそがここでの評価点を稼ぐ良い手だ!
(大丈夫私は… アレクくんに! 鍛えられたんだから負けない!)
アイリスはこの試験日までの十日間、アレクに頼み込み鍛えてもらったのだ。
今こそ、その成果を発揮するときだと意気込んでいた。
アイリスは鍛えた魔力察知で訓練場内に居る試験官の魔力を察知する。
察知した魔力から強い試験官と弱い試験官を確認する。
どうやら第二コートの試験官が最も強くて、第六コートの試験官がこの中で一番弱いようだ。そう思っても、正直そこまで大差があるわけじゃない。みんな確かにAランク相当の実力所持者だと分かった。
アイリスは迷うことなく第二コートの試験官へと向かっていった。
(やっぱり一番強い人倒した方が、評価高いよねっ!)
第二コートでは、もうすでに先に来ていた受験生と試験官が模擬戦を始めていた。
茶髪の受験生は杖を持っていた。どうやら魔法使いのようだ。
「荒れ狂う水流よ!この手に集い、敵を打ち倒せ! 《水球》‼」
おー凄い!一度に三つの水球を生み出して、それを時間差をつけて試験官に発射している。かなりの魔力制御と操作技術が求められる芸当だ。とアイリスは関心しているが、試験官はそれを難無く避け切る。
「まだまだ甘いぞ!この程度じゃ… オレは倒せないぞ!ガーハッハッハ!」
「…三分経過です」
もくもくと紙をチェックしながら時間測定している試験官と、遊んでいるようにしか見えない試験官。
受験生真面目に戦ってるのに、居に返さない試験官とのこの温度差は…一体。
茶髪の受験生は必死に魔法を行使するが、それをするすると躱していく。
茶髪の受験生の魔法行使や制御操作は凄いけど、敵が低能な魔物であるなら問題ないが、人間であるなら別だ。もちろん詠唱したほうが威力が出やすいと言われているが、実際はそんなに大差ない。
『魔法には詠唱が必要だと言われているけど、本当は必要ないんだよ!頭の中でしっかりとイメージしていれば魔法は発動する!詠唱はあくまでイメージの補填でしかないからできる限り無詠唱で打てるように練習しよう! 強い敵と戦うときには無詠唱は必須! とにかく無詠唱だ!』
アレクくんの言葉が脳内に再生される。
そういえば必死に無詠唱を押して来たけど、こういう時のためなのかな?どこか別の必死さが見えた気がするけど。
「…残り三十秒です」
試験官の感情の篭っていない声が響き渡る。
「ガーハッハッハ!よくここまで戦ったな青年よ!」
まだまだ元気そうな試験官。
「ハァハァ… まだ、まだ…戦えます…っ!!」
息を切らして荒い呼吸をしながら魔法を行使しようとする受験生。しかし、前半のようなキレはない。
詠唱もたどたどしい。それをみた試験官が一気に受験生の懐に入り込んで剣を思いっきりぶつけた。
受験生は防御の構えを取ることすら出来ず、吹き飛ばされ気を失って倒れ込んだ。
近くいた医療スタッフの試験官が近寄りすぐに治療を開始していた。
「ガーッハッハッハ!なかなか見どころのある奴だったじゃないか!俺の判定はCだ!」
「…私もC判定だと思います」
試験官二人が話し合って判定結果を決めていた。
どうやら戦った試験官とみていた試験官の二人が判定を下すようだ。
「さぁ次の受験者は誰だ! かかってくるがいいぞ!ガーッハッハッハ!」
私と一緒に見学していた受験生たちは、誰も前に進もうとしなかった。
それどころか、この試験官はヤバいと思ったのか別の試験官の居る場所に向かっていってしまった。
「では私がいきます!受験番号B-1285番のアイリスです!」
誰も前に進もうとしなかったので私が名乗り上げた。
さきほどの模擬戦を見ていた他の受験生たちは、突然声を上げて前に出た私を見て憐れむような表情をしていた。
「おー!君が次の相手か!ガーッハッハッハ! なかなか強いな…」
「ではアイリスさん、私に受験票を見せてから模擬戦の定位置についてください」
アイリスは言われたように受験票を見せて、模擬戦の定位置に着いた。
お互いが定位置について、試験官の「開始」合図を待つ。
開始の合図がかかるまで、アイリスは相手の観察を辞めない。
向かい合う試験官は思ったよりも大きかった。でかい図体だが、さきほどの模擬戦から考えるに敏捷性は優れている印象を受けていた。武器は片刃の大剣。刃は落としてある模擬戦用だと分かるが、当たったりすれば致命傷になるだろう。それに衝撃波には警戒が必要だ。
『敵を侮るな、敵を見くびるな、敵を格下だと決めつけるな。少し臆病なくらいが丁度いいかもしれない。敵に敬意を払い、敵の全てを警戒すること出来る人は必然的に隙が無くなる。だからアイリスもしっかり敵の観察を忘れてはいけないよ』
確かアレクくんはこう言ってたよね。
相手の武器は強大。相手の力は未知数。先程の模擬戦から考えるに、おそらく試験官はこっちの実力を見るためにあえて攻撃してこず、こっちの出方を窺うだろう。
―――――――――ここが付け入りどころ…隙だ!
「それでは模擬戦… 開始っ!!」
その声を同時に私は飛び出した。手に持っていた木剣で狙うは試験官の胴。
試験官は大剣を肩で担いでいる。その状態から防御に移るのには時間がかかる!そこを突く!
「ガーハッハッハ!さぁかかってこ… ぬっ!!」
突然目の前に現れたアイリスを見て、試験官が急いで防御態勢を取ろうとするが、そもそも大剣は防御に向いていない。
リーチが長く、そして一撃が重たいのが特徴の武器だ。どうしてもリーチが長い分返しが遅くなる。
その隙を逃さず、一撃で決める!
アイリスの木剣が見事に試験官の胴に入った。
「ガハッ…っ!!」
木剣が試験官の腹に命中する。
メキメキッと不快な音を立てながら試験官は吹っ飛んだ。
「や… やったー!!」
吹き飛んだ試験官は白目をむいて気絶していた。
その光景を見たチェックしていた試験官は口を大きく開け驚きを隠せてなかった。見ていた受験生も同じような表情をしていた。
やがて、少しづつ思考が回復してきた試験官が「…それまで!勝者アイリス!」と告げ実技試験が終わった。
「ち、治療班!すぐにマクレーンさんの治療をお願いします!」
冷静な雰囲気を醸し出していた試験官の人が必死に治療要請を出している。
「あ、アイリスさん。おめでとうございます。これにて実技試験はクリアとなります。では次の筆記試験会場に進んでもらっても結構ですよ…」
少し怯えながら次の筆記試験会場がある校舎を指さしていた。
(あー少しやりすぎちゃったかな…)
少し後悔したアイリスは、すぐに切り替え、次の筆記試験会場へと向かっていった。
花粉症の季節ですね…。
私、花粉症なので咳とくしゃみと涙止まりません!




