第四章 祖母が遺した秘密
翌朝。
アリヤは一つのことを思い出した。
「……そういえば、おばあちゃんが昔、言っていたことがあるの」
ひかるは顔を上げた。
「どんなこと?」
「困ったときは、古い日記を開きなさいって」
アリヤの祖母は、生前、一冊の日記を大切にしていた。
そこには、家族との思い出や、アリヤへの想いが綴られているという。
「もしかしたら、指輪のことも書いてあるかもしれない」
セラが頷いた。
「調べてみる価値はあるわ」
四人はアリヤの家へ向かった。
祖母の部屋は、亡くなった頃のまま残されていた。
古い机。
写真立て。
小さな花瓶。
そして、本棚の奥に、一冊の日記があった。
アリヤはそっと手に取った。
「……おばあちゃん」
表紙を開くと、懐かしい文字が並んでいた。
アリヤが初めて歩いた日のこと。
学校に入学した日のこと。
一緒に出かけた日のこと。
ページをめくるたびに、祖母との思い出が蘇ってくる。
アリヤの目に涙が浮かんだ。
「……こんなに、私のことを書いてくれてたんだ」
ひかるは隣で静かに見守った。
そして、最後のページ。
そこには、指輪についての記述があった。
『この指輪は、私が若い頃に大切な人からもらったものです』
『特別な魔法があるわけではありません。けれど、私はこの指輪を見るたびに、大切な人を守りたいと願ってきました』
『もしアリヤが悲しみや恐怖に負けそうになったら、どうか思い出してほしい』
『人の心を守るのは、恐ろしい力ではなく、誰かを想う優しい気持ちなのだと』
アリヤは涙を拭った。
「おばあちゃん……」
その瞬間。
指輪がかすかに金色に輝いた。
赤い光の中に、小さな金色の光が混じっている。
セラが驚いた。
「……守りの力が戻り始めている!」
レオンも指輪を見つめた。
「そうか……!」
ひかるが尋ねる。
「何かわかったの?」
レオンは頷いた。
「カインは、指輪の力を完全に奪ったわけじゃない。アリヤの悲しみや不安を利用して、守りの力を覆い隠していただけなんだ」
「じゃあ……!」
「アリヤ自身が恐怖に支配されず、大切な記憶を信じられれば、指輪は元に戻るかもしれない」
アリヤは指輪を握りしめた。
「……やってみる」
ひかるは微笑んだ。
「うん。一緒に頑張ろう」
しかし、そのとき。
窓の外から、不気味な声が聞こえた。
「……そんな簡単に、うまくいくと思うなよ」
四人が振り向く。
そこには、復活した悪魔が立っていた。




