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沼落ち確定!? 探検ゲーム『アルナック』と大会挑戦への第一歩

「咲ちゃん、今日の夜サークルでボドゲするんだけど、一緒に行かない?」


WGシェアハウスで一緒の相川さんにそう誘われ、私は即答で「行く!」と返事をした。


以前コッヘムへ旅行した時にみんなで遊んだボードゲームがすごく面白かったし、せっかくドイツにいるのだから新しいコミュニティにも飛び込んでみたい。


向かったのは、岩間さんが行っているボードゲームサークル。

部屋に入ると、テーブルの上には見たこともない本格的なボードゲームがずらりと並び、熱気と楽し気な笑い声に包まれていた。ドイツは言わずと知れた「ボードゲーム大国」。みんなの熱量がすごい!


「今日は次のサークル大会で使われる『アルナックの失われた遺跡』の練習会だよ。咲ちゃんは初心者テーブルでゆっくり覚えようか!」


そう笑顔で迎えてくれたのは、なんとここでも頼りになる岩間さんだった。


ーブルの中央に広げられたのは、巨大で美しい無人島のマップボード。

『アルナック』は、プレイヤーが探検隊のリーダーとなり、未開の島を探検し、守護者を退治しながら古代遺跡の謎を解き明かしていくゲームだ。


岩間さんがルールを丁寧に説明してくれるのだが……。


(……えっ、ワーカーを派遣して資材を集めて、デッキを構築して、研究トラックを進めて……自分の手番でやることが多すぎる……!?)


最初はあまりの要素の多さに頭がパンクしそうになり、「私に本当にできるのかな……」と大きな不安が押し寄せてきた。



「大丈夫、まずは1ゲームやってみましょう! 流れを掴めば絶対に面白くなりますから」


岩間さんの優しい言葉に背中を押され、手探りで最初のゲームがスタートした。


1ゲーム目はカードの使い方やリソース(資金や羅針盤)の管理に必死で、あっという間に最下位で終了。

けれど、ゲームが終わった瞬間に「あ、そういうことか!」と頭の中のパズルがカチリとハマる感覚があった。


「岩間さん、もう1回やっていいですか!?」

「もちろん! コツが分かると一気に楽しくなりますよ!」


2ゲーム目に突入すると、1回目とはまるで違う景色が見えてきた。

「今は資材を集めるより、探検を進めて羅針盤を手に入れた方がいい」「次のターンでカードを買うために、このワーカーをここに置こう」と、やるべきことの順序と優先順位が自然と頭に浮かんでくる。


自分の戦略がピタッとハマり、得点板のコマが進んでいくのがたまらなく気持ちいい!


(すごい……よく出来てる……! プレイヤーを夢中にさせる仕組みが完璧に計算されてるんだ!)



結局、今回のプレイでは1位になることはできなかった。

けれど、1ゲーム目よりも2ゲーム目、2ゲーム目よりも3ゲーム目と、プレイを重ねるごとに自分の獲得スコアが目に見えて上がっていった。


「自分が上達している」というはっきりとした実感——それが何よりも嬉しく、最高に楽しかった。


「咲さん、筋がいいですね! 初めてでここまで得点を伸ばせるのは凄いです」

「ありがとうございます! このゲーム、めちゃくちゃ面白いです……!」


ルールを聞いた時の「私には無理かも」という不安はどこへやら、気づけばすっかり『アルナック』の奥深い魅力にどっぷりとハマっていた。


「このサークル、開催頻度も高いから、バイトが休みの日に通えば絶対に腕が上がるよ。せっかくだし、記念に次の大会に参加してみたら?」

相川さんのその言葉に、胸がキュンと高鳴る。


(大会かぁ……! よし、休みの日にはサークルに通って特訓して、絶対に出場してみよう!)



サークルの帰り道、夜風を浴びながらふと思う。


朝のメットブロートヒェン、休日の観光地巡り、ランニングにヘディスフィットネス、そして夜のボードゲームサークル……。


「……やりたいことが多すぎて、時間が足りないよ……!」


ドイツに来たばかりの頃は、「友達ができるかな」「休日は一人で暇を持て余すんじゃないか」なんて心配ばかりしていたのに。

今の私は、休日ごとに「どれに参加しようか」と贅沢すぎる悩みに頭を抱えている。


自分で一歩を踏み出すたびに、世界がどんどん広がっていく。

私は胸の中に広がる充実感を噛みしめながら、次の休みのスケジュール帳をワクワクした気持ちで開くのだった。

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