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残夏の園(改訂版)  作者: ずんだもち
二章 軋轢
13/26

到着

※ここから少しずつ、残酷描写をいれていこうと思います。苦手な方はご注意下さい。

麓の里に着いた。


目が霞む。

少女を背負っている両手の感覚すら、

もう感じ取れない。


時刻は夕方ということもあり、

本通りの露店商は皆、

店じまいの準備を

始めているところだった。


「誰か!誰かこの娘を病院に!」


ずっと怪我人を背負って休憩無しに

山を下ったので、

私の体力は限界だった。


ここで倒れてしまうかもしれない。

なら、そうなる前に

誰かにこの娘だけでも

引き継がなければ・・・!


「誰か!誰かお医者さんを!」


思うように声が出ない。

自分の声とは思えない程、

私の声はしゃがれていた。


だが、

行き交う人の内、

何人かが私に気付いたようだ。


「どうした?」


私の形相を見て、

もう店じまいしかけていた露店の店主が

声をかけてくれた。


前、お世話になった山県さんだ。


私の後ろに背負った娘を見ると、

山県さんの顔は

みるみる険しくなっていく。


「子供が!重症っ・・・なんです!」


必死だった。


満足な手当てもできず、

次第に息遣いがゆっくりになっていく

背中の女の子を、

どうしても助けてやりたかった。


「わかった!背中の子だな!

お前もボロボロじゃないか!

とりあえずその子を俺に貸せ!」


半ば引ったくるように

店主は少女を背負いあげる。


「お、重っ!」


少しよろめきながらも、

山県さんは里の奥へと消えていった。


あぁ、よかった。


ふと、安心した瞬間。

私の意識はどんどん薄れていく。


瞼が重い。


昨晩からずっと歩きづめだったせいか、

私は崩れるようにその場に倒れた。


周囲から悲鳴が上がる。


何人かが私を心配してか、

駆け寄ってきてくれた。


ああ・・・。

土の香りが心地よい。


口に幾らか砂利が入ったが、

吐き出す気力も、私にはもう無い。


いつの間にか私の周りには

大勢の人がいて、

口々に何か言っていたようだが、

私は迫り来る睡魔に勝てず、

そのまま意識を失った。


身体がふと浮く感覚がしたが、

もう、何も聞こえないし、

なにも見えなかった。

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