第7話 更なる悪意
チッ、と心の中で美々子は舌打ちをした。
(うざっ……。私の仕掛けた地雷、すっかりバレてんじゃん)
ここ最近、地雷での被害者は劇的に減っていた。
なんでも、街中に仕掛けられた見えない『魔力の塊』を見つけるため、『魔力視』なる魔法を使って王都中を隈なく巡回しているらしい。
煩わしいことに、その存在が明るみになったことで、一般の人間までもが足元を警戒して生活するようになっていた。
特に人通りの多いメインストリートには、常に目を光らせている騎士が増えたせいで、これまでのように地雷を仕掛けるのも難しくなっていた。
せっかく男たちから吸い上げて溜め込んだ魔力を設置しようにも、警戒網のせいで人通りの多い所へは設置できないし、見つかればすぐに魔法で処分されてしまう。
仕掛けられる数が減り、計画通りに街を吹き飛ばせない。
自分の面白い遊びを邪魔されている不快感に、美々子の顔がわずかに歪む。
「おぉ……。みみたんっ、もう……!」
思考の海から引き戻されるように、目の前の現実へと意識を戻す。
口の中に吐き出される男の汚い欲望。
美々子は、それを受け止めると、顔を上げゆっくりと飲み干した。
彼女は、口元を上品な指先で拭いながら、目の前の太った男――成り上がりの商売人で、上客の一人でもあるゴールドマン男爵へ愛想笑いを向ける。
「んっ……。おじさま、すごかったですねぇ♡」
「いやぁ、みみたん……すごく良かったよ……。はぁ、なんだか急にどっと疲れが……」
男爵は満足感と、そして快楽の余韻による脱力感に、そのままぐったりとソファへ体を預けた。
(ハイ、今日も魔力ご馳走様。ちょろいちょろい)
口づけや肉体的な奉仕を通じた濃厚なスキンシップ。それによって男の意識を完全に快楽と脱力へと沈め、判断力もろとも魔力を奪い去る。
骨抜きにされた男たちは、行為後の虚脱感ゆえに、自らの肉体からごっそり魔力が引き抜かれていることなど気付かない。
これこそが、彼女が編み出した最高に効率的でイケてる魔力搾取システムだった。
とはいえ、どれだけ魔力を集めようが、不発になりやすい今の状況はヨロシクない。
(……威力は落ちちゃうケド……仕方ないか)
彼女が脳裏に描いた次のアイデア。
それは一発あたりの魔力の量をぐっと減らして魔力の塊を希薄化すること。そうすれば、これまでほど簡単には見つからなくなるだろう。
威力を落として、地味に。その代わり、数を増やす。
あちこちの路地裏や広場の片隅に、ぷちぷちと小さな不快感をばら撒いてやるのだ。
「これまでみたいに派手にドカンとはいかなくても、チクチク痛む小石みたいに踏ませてやれば、騎士団の連中も頭抱えて発狂するっしょ。……うける☆」
大爆発を起こせなくてもいい。
この世界の人々の平穏な日常を少しずつ、確実に壊してやる。
美々子は口元を片手で押さえ、嬉しそうにクスクスと肩を揺らす。
目の前のソファでは、だらしない姿で男爵がいびきをかいている。
「……”アレ”も試すか」
彼女は男を冷たく一瞥すると、その口元に静かに弧を描くのだった。
☆ミ
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※この作品はAIたんとの共同執筆となります。




