第6話 遊戯
私は一人、治療院の医師から得られた情報を整理していた。
共犯、あるいは被害を受けている――”例の体調不良”を訴えている者たちには、いくつかの共通点があった。
まず全員が『男性』であること。(年齢は高めの傾向が見受けられた)
そして、『夜遊びや女性関係にルーズである』ということだ。
「夜遊び……つまり、酒場や怪しい夜会に通うような連中ね」
あの医師は「年甲斐もなくはしゃぎすぎて疲れが抜けないのでしょう」と言っていたが、どうしても気にかかる。
それに、頭の片隅に浮かぶ『奇妙な遊戯』の件。
(年若い娘たちに男たちが財を貢いで『遊んで』いるという噂……。もし狙いが魔力なのだとしたら……、まさか事件に関係している?)
ふと、以前窓から見下ろしたあの光景が頭をよぎる。
珍しい桃色の髪の少女と、仲睦まじく腕を組んで歩いていた年の離れた紳士。
あの時は何も感じなかったが、こうして思い返せば違和感がある――父親と娘にしては、どこか浮ついたあの空気感。
(親子でなく、ただの『客』と『遊女』だったとしたら……?)
知らず知らずのうちに、男たちはその少女――あるいは裏で彼女たちを操る何者かに、財だけでなく『魔力』までをも貢がされているのではないか。
一人ひとりの魔力は微々たるものでも、大勢の男たちから継続的に吸い上げれば、爆破を引き起こすほどの巨大な魔力の塊になり得る。
「……事務官を呼びなさい。至急、確認したいことがあります」
私はすぐさま執務室へ戻ると、待機していた侍女へ矢継ぎ早に指示を出した。
☆
*
「エレノア様、お呼びでしょうか」
「ええ。以前、あなたに調査を頼んでいた『奇妙な遊戯』の件ですが……何か進展はありましたか?」
私の問いかけに、事務官は一瞬言葉を詰まらせ、申し訳なさそうに視線を落とした。
「……申し訳ございません。一応、情報の収集自体は進めているのですが……。なにぶん『地雷屋』の捜査と巡回体制の構築が最優先となっておりまして、そちらに人員と時間を割かれ、少しおざなりになってしまっているのが現状です」
「そう……無理もないわね」
人々の平穏を奪い、命まで脅かしている爆破事件の阻止が最優先であることは当然だ。彼の判断は決して間違っていない。
だが、この二つを完全に切り離して考えるわけにはいかなくなった。
「事務官。当然、地雷屋の警戒と対策が最も危険で最優先であることに変わりはありません。ですが……その『遊戯』の調査も、可能な限り優先度を上げて調査してください」
「と、おっしゃいますと……?」
「集められた複数名の歪な魔力、欠乏症に至らない程度の疲労を訴える男性たち、そして若い娘に財を貢ぐ流行……。一見無関係に見えるこれらが、裏で繋がっている可能性があるの。もしかすると、犯人が魔力を集めるための『手段』の一つなのかもしれないわ」
「! 爆破事件の資金源、あるいは魔力の供給源になっている可能性がある……ということでしょうか」
「ええ。だからこそ、地雷の捜査と並行して構わないわ。その遊戯が具体的にどこで行われ、誰が関与しているのか……犯人の足取りを掴む手がかりとして、至急調べてみてください」
「……承知いたしました! 地雷の警戒態勢を崩さぬよう配分しつつ、至急その『遊戯』の実態解明にもあたります!」
私の意図をしっかりと汲み取った事務官は、深く頭を下げると、すぐさま手配のために執務室をあとにした。
足音が遠ざかり、静けさが戻った部屋で、私はそっと婚約指輪に触れる。
(民の平穏を守り抜く……そのためにも、どんな小さな違和感であっても決して見逃さない)
犯人が張り巡らせた糸をひとつずつ手繰り寄せるべく、私は山積みになった報告書の山へ再び手を伸ばすのだった。
☆ミ
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※この作品はAIたんとの共同執筆となります。




