十五歳②
弾む足取りで、帰りの馬車を待たせている離宮の裏手へと向かうと、庭から稚くはしゃぐ声が聞こえてきた。
かつて王侯貴族の子女が遊んだ庭も、今や政府高官が回廊を行き来する際に目の端に捉えるだけの背景と化している。
そんな場所で珍しく子どもの声を聞いて、クレアは思わず視線を向けた。
「でね、リリがおひめさまするから、おうじさまやってほしいの!」
そこにいたのは遠目にも目立つ容姿の、リーフェフット家の第一子であるリリアンネだ。
人懐っこさは二年前から変わらないまま、ますます口達者になった彼女は、全くの初対面の相手にも物怖じせず話しかけてまわる。
その可愛らしさがまた見る者の笑みを誘うのだが――。
「分かった。王子役なら任せてくれ」
今リリアンネがおままごとを持ちかけた相手は、声からして男性だろうが、それ以上のことは分からない。
体格も分からないほど分厚い生地の外套を身にまとい、フードを目深に被っている。顔の上半分が光を反射しているのは、径の大きなレンズの色眼鏡をかけているからか。まともに見えているのは、白い顔の下半分、口元と顎先くらいのものだ。
(ふっ、不審者がいる――!?)
知り合いの幼女が不審な男に自分からのこのこと近づいて、おままごとに誘っている。これを止めずにいてどうする!
クレアは慌てて駆けつけて、彼らの間に割って入った。
「ちょっとっ、何やってるんですか!」
「クレアちゃん、こんにちは!」
「こんにちは、リリ。ねえ、このお兄さんはリリの知ってる人?」
「ううん、しらないひと!」
「知らない怪しい人と話しちゃダメ!」
リリアンネの体に腕を回して持ち上げ、男から遠ざけると、宙を飛んだ彼女はキャッキャと笑った。
クレアは両手を広げてリリアンネの前に立ちはだかり、不審者を睨みつけた。
珍妙な色眼鏡のレンズ越しに見つめ返してきた男の顔には、怒りも動揺も浮かんでいない。表情が薄いからこそ、思いのほか若く端正な顔立ちが際立っていた。
「そこのあなた、いったい何を……!」
「これは失礼した。僕はブランカ。一等医官イェルチェ・ツァルトの……まあ、とりあえず身内だ」
「イェルチェ・ツァルトって、女性医官の?」
「ああ。王都小離宮への入場許可ももらっている」
ほら、と示された正規の許可証には、彼の身分を保証する『イェルチェ・ツァルト』の署名があった。
ツァルト医官の名前はフレッドからも聞いたことがある。彼女の身内だというなら、信じてもいいのだろうか。
戸惑うクレアの前で、ブランカは重苦しいフードをひょいと引き上げてみせた。
「我ながら怪しい風体だと思うが、肌と瞳が日差しに弱くてね」
薄青色のレンズを通して見るブランカの瞳は紫色で、フードの隙間からは白く輝く髪が覗く。
体中の色素が薄く、日に焼けるとひどく痛むから、日差しを遮るために外套を身につけているらしい。
「そうだったの。ごめんなさい、事情も知らずに失礼なことを言ったりして」
「いや、幼子に声をかける不審者には警戒しすぎるくらいでいいと僕も思う」
「そう言ってもらえると気が楽になるわ」
クレアの謝罪を寛大に受け入れたブランカは、家人の仕事が終わるのを待っているのだと言った。
待っているうちに、やってきたリリアンネに捕まっておままごとに付き合うことになったらしい。
「リリはどうしてここに来たの?」
「リリもね、おとうさまを待ってるの!」
「ヴィル兄様のお迎え?」
「うん! おとうさまはリリのこと、せかいでいちばんかわいいとおもってるから、リリを見たらよろこぶから!」
「確かにそうね」
実際にリリアンネは人間離れした愛らしさを持っているし、ヴィルベルトが妻子を溺愛していることは周知の事実だ。
幼い愛娘がわざわざ自分に会いに来たと知ったら、彼が鋭い眼光を和らげることは想像に難くない。
合点のいったクレアが頷きを返していると、背後から小さな声が聞こえてきた。
「……ヴィルベルト・レネ・リーフェフットか?」
振り返れば、自問自答のようにブランカが呟いていた。
その声が聞こえたらしく、リリアンネがぱっと顔を向ける。
「おとうさまの名前!」
「リリのお母さまの名前は? 『エフェリーネ』なのか?」
「うん。なんでしってるの?」
不思議そうに首を傾げるリリアンネを見て、ブランカは微笑んだ。彼女の幼い顔の中に、何かを見出したかのように。
「……いや。僕の昔の知り合いの名前と同じだから。そうか、リリは彼らの娘なのか」
感慨深げに言いながら、彼はリリアンネの頭を優しく撫でた。
クレアが周囲を見渡すと、回廊の物陰からリーフェフット家の護衛が目礼を返してきた。少し離れてリリアンネを見守っていたらしい。
リリアンネの頭に触れても彼が止めないということは、ブランカは少なくとも危険な人物ではないのだろう。ひとまずは安心して良さそうだ。
「クレアちゃんはひま?」
ローブをくいと引っ張りながら上目遣いにねだる子どもに逆らえるはずがない。クレアは微笑んで答えた。
「暇よ。一緒に遊ぶ?」
「うん!」
「何をするの? お姫様と王子様ごっこ?」
先ほど始めかけていたごっこ遊びに混ぜてもらおうかと尋ねると、リリアンネは頭を横に振った。
「んーん、ちがうのがいい。えっとね、かぞくごっこ!」
「家族ごっこ?」
「あのね、クレアちゃんがおかあさまの役なの。それでね、おじさまがおとうさまの役」
「おじっ!?」
それを聞いたブランカは奇声を上げて固まってしまった。
彼もまだ若く見えるから、リリアンネからの『おじさん』扱いがよほどだったのだろうか。
「リリ、ブランカさんはたぶん私と同じくらいの歳よ!? 私のことは『クレアちゃん』って呼ぶでしょう?」
「むぅ……おじちゃん?」
「そうじゃなくて」
「いや、どちらでも構わない」
「えっ? いいの?」
「じゃあ、『おじさま』ね!」
「ああ。リリからすれば、僕は叔父さんだからね」
おじさまおじさま、というリリアンネの呼びかけに、ブランカは嬉しそうに応えていた。
「リリは何の役をするの?」
「赤ちゃんの役! リリはすぐ泣く赤ちゃんだから、おかあさまもおとうさまもよしよしっておせわして!」
「それが家族ごっこ? 変わった遊びね」
いつものリリアンネなら『お姫さま』とか『竜退治の騎士』とか花形をやりたがったはずだ。『家族ごっこ』自体はともかく、『すぐ泣く赤ちゃん』の役を自分からやりたがるなんて――。
「今日はそういう気分なのかしら」
「……リリに弟妹はいるか? たぶん、まだ赤子の」
「いるけど……っ、まさか」
ふと漏れた独り言に、囁きが返ってきた。
確かにリーフェフット家には先日第二子のアルベルトが生まれたばかりだが、リリアンネはそれを気にしているというのか。
「ねえ! はやくしよ?」
「ごめん。リリは上手に赤ちゃん役をできるかって話してたんだ。近くで赤ちゃんを見たことはある?」
「できるもん! リリ、おとうといるから!」
「弟はいつ生まれたんだ?」
「アルはねぇ、このあいだおかあさまのおなかから出てきたの。まだ赤ちゃんで、リリが見にいくといっつも泣いてるの」
「赤ちゃんは泣くのが仕事だからね。アルも頑張ってるんだろう」
「……リリのこときらいだからじゃないの?」
「えっ?」
「だって、リリと会うと泣くからっ、おかあさまもみんなもアルのおせわばっかりする!」
幼い少女は地団駄を踏み、目には涙を滲ませていた。
年齢の割にませたリリアンネの子どもらしい癇癪は久しぶりに見る。
考えてみれば、いくらしっかりしているとはいえ、彼女自身も幼い子どもで『姉』になってから間もない。
泣いた赤子の世話に手がかかるのは当然のことだが、それまで独り占めにしていた周囲の関心と愛情を弟に奪われたと感じているのかもしれない。
「リリは、アルのこと、好きかい?」
目をごしごしとこするリリアンネの手を押さえて、ブランカが静かに尋ねると、リリアンネはぽつりと言った。
「……すき。ちっちゃくてかわいいもん」
「そうか」
「でもっ、アルはすごくかわいいから、アルがいれば、みんな、リリのこと要らないっておもう……っ」
「思わないよ」
「おもう! リリのほうがかわいくないしっ、リリはぜんぜんおとうさまに似てないから、よその子になれっていわれるかも……っ」
「そんなことにはならないよ」
「……ほんと?」
「本当だ」
ブランカに力強く断言されると、リリアンネは瞳の奥からじわりと新たな涙を湧かせた。
「おとうさまはっ、リリのことを『せかいでいちばんかわいい』って言うの」
「彼ならいかにも言いそうだな」
「だから、リリ、おとうさまのおむかえに来たの」
父なら自分のことを愛してくれるはずだから――子どもらしくない悲壮さを漂わせた声の前では、どんな慰めも空虚な気がした。
リーフェフット家の面々だってリリアンネを愛しているはずだ。今日だってリリアンネが家の護衛もつけて家の馬車に乗ってここに来た以上、彼女を放っておいているわけでもない。
だが、リリアンネはこれまで愛情を一身に浴びてきたからこそ、弟が生まれて以来それが『半分』になってしまったように感じるのだろう。
彼女の気持ちばかりは外野からどうすることもできない。
「でもっ、おとうさまもアルの方がかわいいっていうかも……」
「だから僕たちと『家族ごっこ』をしたいのか。本物の家族の代わりに」
「だめ?」
「そういう理由なら、リリの『お父様』の役はできない」
「なんでぇっ」
「リリは僕の子どもになりたいわけじゃないだろう?」
その人じゃないと駄目なところに、無理やり他の人を当てはめても意味がない。――ブランカの言葉は、あくまでもリリアンネを諭すためのものだったが、傍で聞いているクレアの胸にも沁みた。
「それに、僕にも好きなひとがいるんだ。僕は、家族になるならそのひととがいい。僕も彼女じゃないと駄目だ。だから、ごめん」
「おじさま、恋をしてるの?」
「『恋』だなんて、リリは難しい言葉をよく知っているね」
「えらい?」
「偉い。賢くて可愛くて、リリは僕の自慢の――……友達だ」
「えへへ」
リリアンネの涙を拭いて鼻をかませてやりながら、ブランカは背中越しに言った。
「クレアさん、だったか。そういうことだから悪いな」
「なんで私があなたに振られたみたいになってるんですかっ!?」
納得がいかない。ごっこ遊びには協力するつもりだったが、別にブランカの妻役を積極的にしたかったわけではない。
それなのに、なぜ『お断り』されなければならないのか!
「わっ、私だって! 私にだって夫がいますから!」
「夫?」
ブランカは驚いたようにクレアの頭の先からつま先までを眺めて、首を傾げて言った。
「あなたに夫が? 婚約者だというならともかく……筋金入りの幼女趣味の男なんだな」
「幼女!? 私はもうとっくに十五歳よ!?」
「どちらにしろ子どもだろう」
「判定がザルすぎる! あなただって大して変わらないじゃない!」
「僕はもうすぐ十九歳だ」
「それこそ誤差よ!」
リリアンネとクレアのことを『子ども』だとまとめるなら、大して齢の変わらないブランカだって十分同じ枠に入るだろうに。自分だけは『大人』になったつもりだなんて、卑怯だ。
「年上で落ち着いた賢い女性の方が話して楽しいに決まっているのに。僕には理解できないな」
「それはあなたが年上趣味なだけじゃないの?」
「そうかもしれないが、大人が子どもに手出しすることには問題があるだろう」
「……ないから」
「何?」
聞き取れずに訝しんだブランカのことは、もはやクレアの意識の外にあった。思い出した怒りにふつふつと燃えていたからだ。
「まだ、手は出されてないからっ!」
「えっ」
絶句して動きを止めたブランカは、ぎぎ、とぎこちない動きでリリアンネを振り返った。
「おじさまはクレアさんと話があるから少しだけ待っていてくれるか? その後で一緒に遊ぼう」
「はあい。わかったわ、おじさま」
それから彼はクレアに向き直り、語気荒く凄んで言った。
「幼いリリの前で破廉恥なことを言うな!」
「ごめんなさい。でも、リリとは他人のあなたがそんなに怒ること?」
「それはっ……別に、いいだろう」
「なんでそんなに親身になって……? もしかして、あなた」
「違う、リリとは赤の他人だ! そんなことよりさっきの話でもしようっ! あなたは結婚したばかりなのか?」
「もう結婚三年目よ」
「……それはなんというか、難儀な男だな」
「本当にそうなの!」
日頃から己がフレッドに対して感じていたことを言葉にされて、クレアは深々と頷いた。
「幼女趣味ではないが、家の事情で早く娶らざるを得なかったとか?」
「いいえ、私には姉もいたの。私より賢い姉も美しい姉も、彼との結婚には乗り気だった。その中で私を選んだのだから、彼の趣味なのは確かよ」
「彼が選んだということは、あなたの家の方が弱い立場だったのか。それで幼い子どもを指名して……最低だな」
「だから、手は出されてないって!」
「それが何だ? 実態がどうであろうと、あなたが結婚によって失ったものは返ってこない。『子どもでいられる時間』とかな」
その言葉に既視感があった。
同じようなことを、前にも誰かの口から聞いたはずだ。
「……ああ、そっか」
『君の覚悟を急がせた罪滅ぼしだ』
確かに、あの時フレッドはそう言った。『罪滅ぼしとしてクレアに不幸を回避する手段を教える』と言っていた。
罪滅ぼし。それが彼が成した『罪』を償う方法だと――。
「罪……悪いことを私にした、って思っていたのね」
「気を悪くしたなら謝る」
「いいえ。あなたのおかげで、私の旦那様にも人並みの罪悪感があると分かってよかったわ」
「罪悪感? ああ、そのせいで手を出さないと。そういうのは独りよがりの自己満足というんだ。自分で選んで結婚しておきながら、何を今さら――」
「そうなのよ! 『自分で好き好んで幼い妻を娶ったんだから腹をくくって手を出しなさい』って話よね!?」
意気投合したと誤解したクレアは、ブランカの手を握りしめて飛び跳ねた。
本来『悔やんだところでどうせ罪は消えないのに』と続くはずだった言葉は、『どうせ罪は消えないのだから悔やまずに一歩踏み出せ』に書き換えられる。
「そうは言ってない」
「旦那様ったら、前にも『そういうことは好きな人とした方がいい』とか言ってたの」
「もっともだな」
「そうだけど、夫婦になっている二人に当てはめたら、『好きになったときに自分から申告しなさい』ってことじゃない? それって、私にばかり求めすぎよね?」
「いや、知らないが」
「いっそ強引に奪ってくれても私はやぶさかじゃないというか、政略結婚なんだから、子どもが生まれなきゃ始まらないし、いつそういうことになってもおかしくないどころか、全くしないのはむしろまずいと思うの。彼には協力してもらわないと困るわ。仕方ないから私から動くべきかしら。そう、王女の義務として」
「興味も無いし、聞きたくもないが!? 取ってつけたように”王女の義務”だと言われても、そんなの建前で、あなたは自分の欲望にまっしぐらなだけだって見え見えで……待て、『王女』だと!?」
ぶんぶんと振り回されていた手をようやく解いたブランカは、弾かれたようにクレアの顔を見る。
まじまじと見られたところで、彼には分かるまい。
クレアの容姿や立ち居振る舞いが『王女らしい』と無縁であることは自他ともに認める事実なのだから。
「自己紹介がまだだったわね。私はクラウディア・ハウトシュミット、結婚前の名前はクラウディア・フォン・バルトール。バルトールの第九王女でスヘンデルの護国卿の妻よ。『クレア』って呼んでくれると嬉しいわ」
名乗れば、ブランカは目を大きく見開く。単に『クレアが王女であると知った』以上に驚いているように見えた。
「クラウディア・ハウトシュミット……!? じゃあ、『幼女趣味のくせに往生際が悪い夫』というのは護国卿で、彼の『育てている女の子』というのは、あなたのことなのか!?」
「確かに私は、フレッドには先生をたくさんつけてもらっているけれど、どうしてそれを知っているの?」
「それは、……っと!」
「ねえっ! おじさま、まだぁ?」
脚に思わぬ衝撃を受けて、ブランカは視線を下に向けた。
頰を膨らませたリリアンネが彼の脚にしがみついていた。長引く話が終わるのを待ちくたびれたのだろう。
「ごめん、リリ」
「おそいわっ!」
「お詫びに何の遊びでも付き合うよ」
「ほんと? それならね、お花のかんむり、」
「――ああ、いた。リリアンネ嬢ですか? リーフェフット卿がお呼びですよ」
だが、結局ブランカがリリアンネに花冠を作ってやることはなかった。
子どもの体温で萎れてしまったを受け取ると同時に、リリアンネに迎えの声がかかったからだ。
警備隊の制服に身を包んだ男に名前を呼ばれて、リリアンネは表情をぱっと明るいものに変えた。
「おとうさまにあえる?」
「仕事が少し立て込んでいるらしく、リリアンネ嬢から部屋に訪ねてきてほしいと仰っていました」
「どこのへや?」
「護国卿の執務室にいらっしゃるので、そこまでご案内しますね」
「わかったわ!」
いそいそとスカートについた汚れを払って立ち上がるリリアンネを微笑ましく見ながら、クレアの脳内に一筋の疑いが掠めていた。
「護国卿の、執務室……?」
クレアが国民議会の見学に赴いた時、フレッドは『執務室には入れない』という話をしていた。
その部屋には機密書類があるから、と――。
「待って。本当に執務室にリリを呼んでいるの?」
機密書類がある部屋に、幼く十分な分別がついていないリリアンネを入れるだろうか。
クレアはただ『場所を伝え間違えたのかもしれない』と感じただけだった。それだけを思って発したクレアの声に、男はぴたりと動きを止める。
その隙に、男の方に駆け出しかけたリリアンネの肩に手を置いたブランカが囁いた。
「リリ、この人はリリの知り合いか?」
「ううん、しらない。ここではたらいてる人よね?」
「そうか」
その答えを聞いたブランカは、リリアンネの体を男から遠ざけるように押しやった。
「おじさまっ? なに?」
「僕の知る彼のまま変わっていないなら、ヴィルベルトは愛娘が訪ねてきた時に初対面の人間には任せない」
――人の群がる王太子には目もくれずに姉上の傍から離れず、他の者を寄せつけない男だったんだから。
「そこにいたはずのリリの護衛はどうした?」
「……んだよ、余計な手間取らせやがって。スヘンデル王孫の誘拐の目撃者は全部消さなきゃならなくなる」
隊服姿の男は舌を打つと、腰の剣の柄に手をかけた。




