表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢が、追放先の詰んだ領地を“現代的な内政改革”で再建し、 気づけば王国の生命線になっていた話   作者: 蒼井リリス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/90

第67話 決断の前

 王都は、静かに揺れていた。


 制度が広がる速度が、速すぎたからだ。


 地方の領地では、国家制度の命令順序が導入され始めている。

 番号。

 優先順位。

 統制。


 速い。

 確かに速い。


 だが――


 順番ではない。


 王城の一室で、カイゼルは窓の外を見ていた。


 王都は今日も忙しい。

 馬車が行き交い、

 役人が走り、

 命令が飛び交う。


 国家は速い。


「殿下」


 レオンハルトが入ってきた。


「北部の報告です」


 カイゼルは振り返る。


「どうなっている」


「制度は広がっています」


「順番は?」


 レオンハルトは、少しだけ間を置いた。


「……命令です」


 カイゼルは小さく息を吐いた。


「やはりか」


「アルヴェリックは止まりません」


 レオンハルトは続ける。


「彼は正しい」


「そうだろう」


 カイゼルは頷く。


「国家としては」


 秩序。

 速さ。

 統制。


 どれも必要だ。


 だが。


「順番はどうなる」


 レオンハルトは答えなかった。


 答えがないからだ。


 少しして、彼が言う。


「リリアーナは守っています」


 カイゼルは笑った。


「だろうな」


「彼女の領地だけです」


「だから残る」


 レオンハルトが眉を上げる。


「国家は広がる」


「順番は残る」


 カイゼルは窓の外を見た。


「どちらが強いと思う」


 レオンハルトは、少し考えた。


「国家です」


「そうだろう」


 カイゼルは頷いた。


「だが国家は、壊れる」


 沈黙。


「順番は?」


 レオンハルトが聞く。


 カイゼルは小さく笑った。


「壊れにくい」


 それが問題だった。


 国家は強い。

 だが壊れる。


 順番は弱い。

 だが残る。


「殿下」


 レオンハルトが言った。


「決断が必要です」


 カイゼルは静かに頷いた。


 アルヴェリックの制度。


 リリアーナの順番。


 どちらも正しい。


 だが――


 同時には存在できない。


 窓の外で、鐘が鳴った。


 夕方の鐘だ。


 王都の人々が一斉に動く。


 それは命令の順番だった。


 カイゼルは、その音を聞きながら言った。


「まだだ」


「殿下」


「まだ決めない」


 彼は振り向いた。


「もう少し見よう」


「何を」


 カイゼルは、遠くを見た。


「どちらが残るか」


 国家か。


 順番か。


 決断の時は、近づいていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ