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異世界に於る時間と時計について

 

【主題】

 

 ファンタジー作品の物語の中で、時々気になってしまう事の一つとして『時間』と『時計』の扱いがあります。VRMMOものなどであればシステム的に確認も出来るため問題ないのですが、異世界ものであればこの取り扱いには注意が必要です。

 多くの物語では、人々は夜明け前後に起床し朝日と共に活動を始め、日没と共に終息する。夜間は油や魔法製の明かりを使うものの、節約の為に夜は出来るだけ早目に就寝する、こんなライフスタイルが主流です。

 こんな生活環境の中では、各自が時計でも携帯していなければ当然正確な時間に従って行動するのは困難です。異世界の設定の殆どは中世以降の文明レベルであり、従って時間目安はかなりアバウトにならざるを得ない筈なのです。

 であるにも拘らず、多くの作品の中では「30分後」とか「2時間後に」、「あと1時間程で」などの時間表現が目に付きます。彼等は一体どうやって時間を計っているのでしょうか!?

 

 

【考察】

 

 先ず最初に、中世レベルの文明では時計は非常に高価なものであり、懐中時計は無論のこと置時計ですら富裕貴族以上のもの位しか保有しておらず、小さな町や村程度では鐘を鳴らす為(信徒に祈りの時間を周知)に教会が保有しているのが唯一であったといった現実があります。

 農民や村民、猟師や行商人、町民や一般兵士などの庶民層は、より高価な懐中時計はもとより置時計すらも所有している訳もなく、時刻の目安は村なら太陽の位置(上り/傾き)具合から、町では鐘の音で付けていたそうです。これがファンタジー世界であり時計が魔道具だとしても、その高価さ希少さは変わらず扱い的には同様である事でしょう。

 

 このような生活環境の中で、「30分経ったら」とか「9時になったら」等の言葉が一般的に用いられる筈もなく、普通は「少し後で」「暫くしてから」や「朝一」「午前中/午後の中頃」「昼に」「夕方に」と云った曖昧・抽象的な表現が普通であったのではないでしょうか。

 勿論、ファンタジー世界の登場人物である冒険者達は、中〜高位であれば高価な武具や薬・魔道具を購入する位ですから、高価ながらも利便性の高い時計を所有している事もあるでしょう。しかしながら構成人員層の大部分を占める、駆け出し〜中位の冒険者達が所有している事は先ずあり得ない事でしょう。従って高位冒険者同士でもない限り、冒険者間でも前述の曖昧表現が用いられた事に違いありません。

 

 しかしながら多くの異世界ファンタジーでは、主人公や登場人物達が当たり前のように「15分」とか「1時間後」などといった時計でもない限り分かる筈もない表現を多用しています。おかしくはないでしょうか!

 こういった一般レベルの知識不足からくる矛盾点について、作者は一体どう考えているのかお聞きしたいものです。

 

 

【処方】

 

 時計の扱いについて、時計が比較的廉価であったり低価格の魔道具である等で普及している、と云った表現を作中の何処かで触れておく事をしておかないと、前述のような矛盾を曝け出して恥をかきます。但し現代とは違い何かの理由付けがないと、単純に安いということ自体が非常識ですので注意が必要です。

 もしくは具体的な時間・時刻表現を避け、現実味のある曖昧表現を用いるように徹底する事です!

 

 「町迄はどの位掛かる?→2時間程」 「食事後30分位で」

 

と云った表現を前述の補足なしに安易に用いることは、作者の知識不足を自らひけらかしているだけなので、注意しましょう!!


 

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