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  は     ~邂逅~

「そんなこと、今はいいの!!あなたのために作られたこの料理を、私、)((&$#$+~が奪っちゃうのだから。本当は、あなたが噛みしめるはずだった幸せが、亡くなっていくその表情を見せて頂戴」


クラウは、少し考えた。不意に、ある考えにたどり着く。


「あなたは、あの黒い剣の妖精さんなのですか?」


「そう、妖精!って、妖精、違います!!妖精ではないです!!!#)です!!いい加減にして!! ’(%!~{*?は、わたしをからかっているの?」


「だって、私にしか見えないみたいだし、それに、すごく神秘的でかわいい。顔も姿も、昔教会で読んだ、妖精さんにそっくりなのですもの」


えっ?という顔で、その妖精と呼ばれた少女は、クラウをじっと見る。


「いや、あなた『’(』きちんと、クラスもそうなったのでしょ?」


「いえ、私は、『偽剣聖』のクラウです、妖精さん、これが私の幸せというのなら奪ってください。その代わり、わたしもあなたとお話する幸せをもらいっていいですか?」


「ええと?私が?#(になった私が、『’(』と、本当にいいの?」


少女は、顔を真っ赤にして、何かを訴えるようにあわあわと、手を動かす。


「あなたを、剣の妖精さんと呼んでいいですか?ときどき、聞き取れないのはきっと、私が妖精の言葉になれていないからですね。もっと、勉強していればよかった。」


「いえ、 ’(%!~{*??あ、あの、’(?ちがッ、あなたのことは、なんて呼べば」


「クラウと呼んでください、剣の妖精さん」


すこし、剣の妖精は、俯いていた。何か気に障るようなことを言ってしまったのだろうかとクラウは心配になった。


「わかった、クラウ。じゃあ、幸せ奪っていくね。アムッ!」


クラウが、噛み切るのすら大変だった、大きな肉の塊が一切れ、一瞬で、口に入っていくのを見て、クラウは驚いた表情を浮かべた。


「ちゃ、ちゃんと噛まないと」


慌てたように言う、クラウに剣の妖精は、大丈夫と、笑みを浮かべる。


「ススッ」


剣の妖精が、こんな味のないもの飲めるかと、渡してきたスープと、白パンをクラウは少しずつちぎって食べながら、目の前で起こっている、怪現象を見ていた。


「バリッ、ソグッ、バキャ!!ムグムグ、サクサク!!!」


あんなに食べるのに苦労した黒バンが少女の一噛みで砕かれ、辛いと思ったマリネがフォークで一巻き一口で皿から消え、お肉が骨が付いたまま、口に頬りこまれ、骨がサクサクと砕かれる咀嚼音が、部屋の中に響いていた。


「剣の妖精さんって、前衛職なんですか?」


豪快な食べっぷりに、少し驚きながら、クラウは、聞いてみた。


「全然。私、『$%&##=)~=%*+>#(』だから、全然、前衛っていうことはないわ。むしろ、『’(』の方が前衛的なんだけど」


「?」


「いや、クラウは、きっと前衛だと思うって、私よくわからないけど」


やはり、妖精の言葉が特殊すぎて聞き取れないんだと、クラウは思った。


やがて、食事も終わりに近づく。あれだけあった、食材たちは、ほどんどが、剣の妖精の腹に納まり、クラウもスープを最後の一口を飲み干す。


「はあ、満足。すこし、赤いワインが欲しいけど。クラウ?どう、幸せが奪われた気持ちは」


「わたしも、満足です。あ、でも、少し待って、」


クラウは、半分残していた白パンを手に立ち上がると、剣の妖精に近づく。剣の妖精が一瞬怯えたように後ずさるのが見えた。


「な、なにを?」


「手を出してください」


困惑したように、剣の妖精が両手を出す。クラウは、その手をそっと、ちぎった白パンで拭っていく。


「ええと、『’(さん?』何しているのです?クラウ?」


「剣の妖精さん、顔にふれるのを許してください。」


再び、白パンを、ちぎり、口の周りについている肉汁や、野菜の汁をふき取っていく。


「はい、きれいになりました」


クラウは嬉しそうに、微笑んだ。


「あ、私が、『 ’(%!~{*??』に、私の顔を?」


剣の妖精は、顔を真っ赤にして、ぶつぶつとつぶやいていた。


「あの、ご迷惑でした?」


「そんなことはない!!だって、『’(』、いや、クラウがだって、」


プレートをまとめ、クラウは、立ち上がる。


「妖精様、今日はありがとうございます。気が向いたら、わたしの幸せを奪いに来てください。わたしも、幸せを、あなたから、もらいたいです」


剣の妖精の目が、驚きに開かれる。黒い瞳が、少し震え、そして、


「クラウ、また、明日の朝に出て来るから。」


そういうと、剣の妖精は、消えていった。クラウは、少し驚いたが、


「ありがとう」


少し、重かった胸の内が少し軽くなった。


お盆を、水道で洗い、食後の運動をかねて剣技の練習をする。


打ち込む、パリィ、なぎ払い、よける。レオがお手本になる。打ち込みはパリィされ、自分のパリィは相手のフェイントに惑わされて、タイミングをずらされる。

闘気の刃は、力を込めたなぎ払いからも、威力を奪われる。次から次に、自分の手から、木剣が跳び、首元にレオの木剣が付きつけられる。そして、よけたはずの剣劇は紙一重で当たっている。足は、泥の中にいるように重く、近づくことも躱すこともこともままならない。


何度もなんども今日の動きを再現するが、勝ち筋が全く見えない。完全に暗闇の中を歩いているよう・・・


キャリアの差はなくて、クエストも同じくらいこなしているはず。それでも、


「ダメ・・・どうやっても勝てない」


クラウは、ただ木剣を振ることしかできない。繊細な剣技もない、豪胆な戦技もない、不意を突けるようなスキルもない、体裁きを補完する体術もない。


「完敗か、2か月の間に、私弱くなったんだ。そうだよね、こんなに弱い『剣聖』誰もいらないよね」


汗は出ていないが、クラウは、たらいに水を張り、タオルを浸す。体をそっと拭き上げていく。


「『剣聖』返せるものなら、返したいな。」


ひとり呟いた言葉は、月しか聞いていなかった。



「つぅ、は、」


クラウは、勇者パーティと、ギルドの全員から嘲笑される夢で目が覚めた。バラバラの肉塊になった自分を、踏みつけののしってくるいやな夢だった。


部屋の中は、昏く、さほど寝付いてから、時間がたっていないように感じた。


クラウは、額に手を当て、大きく息を吐きだした。


「こんな夢で、目が覚めるなんて・・・」


いつも見る夢ではなく、なぜ、こんな夢を見るのだろう?とクラウは不思議に思った。

そして、久しぶりに、椅子に掛けたまま眠ってしまったらしい、ふと、指を首に這わせると、チョーカーが首にあった。今朝出るときに、宿に置いてきたはずなんだけどなと、クラウは、思ったが、外す気も起きなかったので、ベッドに移り寝ようと考え、少し眠気が来るまで待つことにした。


こん、こん


不意にドアが、ノックされる。


不思議に思ったが、納得する。これは夢なのだと、この建物には誰もいない。


「妖精さん?」


いや、彼女がいた。もし、現実なら、またお話ができるかもしれない。


こん、こん


夢でも、現実でもいい、そう思い、クラウは、立ち上がり、ドアに手をかける。


扉を開ける。そこにいたのは、剣の妖精ではなかった。


黒い何かが立っている。クラウよりも背が高いが、見下ろしている感じはなかった。


不意に、月を覆っていた雲が晴れる。


そこにいたのは、黒いドレスを着た女性が立っていた。厚手のベールに顔が隠れて見えないし、上半身はストールのようなものを緩く巻いてるから、体形もわからないけど、

きっと、すごく美人なのだろう。


とクラウは思った。


その来ているドレスも、黒一色であるにかかわらず、喪服のような湿っぽさはなく、ウェディングドレスの様な華やかさすら感じるそれでいながら、清楚さが全身からあふれている。


もし、聖女と呼ばれる女性がいるのならば、彼女こそそうではないかと、思わせる雰囲気が狭い廊下と、クラウを包み込んでいた。


「クラウ様でしょうか?」


ベールの奥から、凛とした清々しい声が響く。大きな声ではないのに不思議と、クラウの耳に入ってくる。


「はいっ」


その一声を聞いたとき、命令されたわけでもないのに、クラウは、すぐに返事をしないといけないと直感した。思い出されるのは、おばばからの呼びかけのようなものだろうか?

おばばは元気だろうかと少し考えた。このことを伝えたらどういわれるだろうか?

そんなことを一瞬考えたが、今は口に出せる状況でもなかった。


ただ、その女性の声は、清らかな声の中に、荘厳さと慈愛が詰まっているそんな声だった。そして、どこかで聞き覚えのある懐かしい声だった。


「クラウ様、ようやくお会いできました。是非にあなた様にお願いをしたいことがあり不躾ながら、お伺いした次第です。こちらを・・・」


黒のグローブの下、驚くほどに白く、細い指に紙が握られている。クラウは、一瞬面食らったように見比べて、意を決したように、その紙を受け取る。いつも使っている雑な造りの紙ではなく、きちんとした紙だった。驚くほどの貴重品を、クラウは受け取る。


「そちらがお願いです。詳細は、クラウ様の都合が良いときに、この町のギルドにてご説明いたします。ただ、依頼主からの説明とさせていただきますね」


「え、どういうことですか?」


「依頼主たる友人が、今は動けないので、私に代理を頼まれました。どうぞ、よしなに」


いつでも説明するという、意味の分からない依頼。


「あの、私は、1週間は・・・それに、討伐の依頼でしたら、」


ほかのと言いかけたところで、その人は、確かに、口角をほんのわずかに上げた。なぜか、クラウにはそれがわかった。微笑み・・・私を信じてくれている?

なぜか表情が見えないのに、声色も大して変わっていないのに、それを感じることができた。


「いいのですよ、友人は、クラウ様、あなたに頼みたいのです。」


ゆっくりと、女性はクラウに背を向け、階段の方をむく、そして、顔だけを横に向ける。



「そして、私も、あなたのことを、信じていますから」



その声色は、優しく、まるで親しい友人か家族を相手にするような穏やかなで柔らかい言葉だった。クラウが聞いたことのないような言葉に一瞬だけクラウの手が止まる。

その女性は、すっと階段の方へゆっくりと歩いていく。


「あ、少し待ってください!!ランプを、」


急いで、机に紙を置き、重しをする。部屋に戻り、マッチを擦り、ランプに火をともす。時間にして1分かかっただろうか?


「お待たせしました」


そこには、すでに誰もいなかった。


クラウは、階下も見回ったが、そこに、誰かがいた形成はなかった。


ああ、これは夢だと、クラウは納得し、部屋に戻りランプを消すと、ベッドに飛び込み、シーツをかぶった。


まだ、眠気はやってこないが、そこから起きようとは思わなかった。目が閉じられるときまで、そのままでいるつもりだった。


クラウは、さっきのことを思い出す。本当にかわいい妖精のことを。


「今度の夢は、妖精さんが出てくるといいな」

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