君 パーティにふ しいか 当てて聞いてみろ ~???side~
あるキャラの、一人称視点です。
かなり説明パートです。説明シーン嫌いな方は、ブラウザバック推奨。
「・・・ようやく見つけた・・・」
少女は、大陸の東の果、大倭の廃寺で一人座って月を眺めていた。目の前には、斬られた鳥居の後に苔と草が生えていた。
そこは、あの人との思い出の場所、少女にとって大切な場所だった。
「ma khatib abnatak?」
突然、覚えのない言語で話しかけられた。
「aintazar lahzat wasawf 'atarjamuha.」
少女はそう答え、言語を入れ替える。
「すいません、もう一度、言っていただけますか?」
少徐から発せられた言葉に、その男は、驚いたように答える。
「私の言っていることがわかるのですか?お嬢さん、どうしました?と聞いたのです」
男の服は、少しゆったりした、白い上等な服で、民族衣装のようでありながら、その振る舞いから、少なくとも敵ではないとわかる。
「ええ、わかりますが、ただ、あまり難しいことを言われると、困ります」
ふうっと男が息を吐く音が聞こえた気がした。
そう、首元の黒い球に話しかける。声だけは聞こえたが。
『相変わらずそこだけは教えてくれないのよね・・・』
言語も論法も全く不明の声だった。だが、少女の怒りと無関係に、周りの竹林ががさがさと動くと、そこから、奇妙な服装の集団が現れた。全員がまるで、夜の竹林に溶け込むように模様を統一した服装で、帽子、シャツ、ベスト、トラウザーズの統一性のとれた集団だった。
「いつものお仲間?」
少女は、ふてぶてしく問いかけた。少女の問いに、
「昔と未来は信用できませんが、今は信用できる仲間です。」
というあいまいな答えだった。少女は、少しため息をつくように息を吐き出す。
「そこの人、クルーズっていうみたいね。クルーズさん、これは一体どういうことか、説明してくださいな」
少女の声に、クルーズと呼ばれた人物は、一瞬驚いた表情を浮かべた。「ワィ」とか、「モンスター」と聞こえた気がした。少女は、息を吐き、クルーズを見定める。クルーズが、少し後ろに引きながら、奇妙な鉄の棒を少女に向けながら、その側面を右手の指ではじく。
「へえ?」
戦意を感じた少女から、重い波動が突き抜けていく、一瞬即発になったその時だった。
「双方、そこまでだ!!
若く太い男性の声がその場に不意にこだました。いつの間に現れたのか、そこには、深い緑をあしらい、菊の花の小紋が誇らしく刻まれた肩章を両肩に抱く偉丈夫と称するにふさわしい人物だった。
「・・・・シンノウ・・・カッカ」
クルーズが驚き、鉄の棒をの側面を今度は右手で抑え、その先を股の位置まで下ろす。
その人物は、クルーズに何か2、3言伝えると、再び少女の方に向き直った。
「・・・全く、貴方様には、事前に御社に連絡いただければ、すぐにお迎えに参りますと、前に申し上げたはずです・・・礼を失してでもここに来られた・・・本日は何用ですか?」
穏やかでありながら、有無を言わさないものの言い方があった。それでありながら、帽子を深くかぶっているため、その顔はおろか、感情すら読み取れない、底のしれない人物であることが見えた。
「この者たちは、我が友人である故、友人の非礼は詫びるつもりではあるが、詫びるべき非礼ないときには、あなたといえど、赦すわけにはまいりませんな。」
眼光が鋭くなり、短めのマントを祓われ。、腰の刀に手をかける。きがつけば、奇妙な集団は、全員が臨戦態勢に入っていた。少女は、それを見て、ふぅっと息を吐いた。
「ここに来たのは、私の大事な人へ今日までの報告と気持ちの整理のためです。あなた方の怒りはわかっていますが、挑発した気はございません、ねえ、ウィールズさん?」
少女の死角にいた、大きな体躯の男が、立ち止まる。それを、目の前の男は、手で制した。
「そろそろ、そういうことは止めた方がいい、それを見て、友人たちがあなたに敵意を持ってしまう。」
男はそういうと、刀から手を放し、その手を頭の上に持っていくとくるっと回した。それを合図に、竹林にいた気配が消えてなくなる。
「無粋なことはするつもりはない、存分に語られよ。終わったら、迎えをよこす、その時は、こちらの意に従ってはくれまいか?」
男は、そういうと、後ろを見せ、去っていく。そのあとに、不思議な衣装の団体が付き添った。
「・・・はぁ、見つかった以上はそうしないと・・・全く、ここが天領じゃなければそうしましたよって」
少女はそういうと、崖の方へ歩き生えていた白いつつじの花を2つ、3つ手に取るとそのまま、寺の脇を抜け、小さな鳥居をくぐり山の方へと歩いていく。
石畳は、わずかに苔むしてはいたものの、整備はされているようだった。それは、非常に歩きやすく、少女の足取りの軽さと相まって、さほど時間もかからずに、その墓石の前にたどり着く。
「名はいらぬ、銘もいらぬ」
と、いわれ、その墓石からは名前は削ってある。誰の墓かもしれない、のっぺりとした石、その墓前には、その主を示すように、多くの朽ち果てた刀の残骸が、無念そうでありながら、そして、誇らしげに錆びた刀身をさらしていた。
少女は、持ってきたつつじを、墓前に供え、手を合わせた。そのことに意味があるのかは少女は知らなかったが、眠りについているであろうものに、そのまま、語り掛ける。
「次来るときは、二剣できますと言いましたが、今日は果たせませんでした・・・。でも、ようやく見つけられました。それと、あなたが教えてくれたあの技、だいぶうまくなったんですよ。この姿になってから、もう、3年がたってしまいました。あなたの訓えの意味は、いまだに雲上の彼方ですが、私にも、少しだけわかってきた気がします。」
そういうと、少女は、立ち上がり、墓石の前の通路に立ち、すっと右手で刀を抜くような姿勢を見せた。その瞬間、まるで見えない鞘から引き抜かれるように、赤黒い刀身の刀が少女の手に握られていく。
「・・・本当はあなたと同じ長さで試したいんですが、私の体躯ではこれが限界でした。」
刀身の長さは、少女の身長の3分の1、片野の基準で行けば脇差と言ったところだろうか、いったところだろうか?少女は、その刃の腹を左手で撫でると、まるで踊るように、剣技を繰り出していく。
その動きは、まだ粗削りなところがあるものの、だいぶ洗練された型を作っている。
墓前で、30分も披露しただろうか、少女は、墓石に一礼すると、墓が見下ろす広場へと移り、激しい動きの剣技を披露していく。
一振りで、3メートル近くの距離を飛び、目にもとまらぬ剣を繰り出し、刀を鞘に納め、高速での抜刀2段、ある程度の広さがなければ行えぬ技を次々に繰り出していく。
そして、少女は動きを止め、もはや、供養する者もいなくなった墓石の墓場刃を向け、その刃をを天に向けて突きあげた。息を整え、目を見開く。
「ようやく、お見せできるところまで来ました・・・これが、あなたと私の作り上げた、最大の業です」
それは、一瞬の出来事だった。少女の声にもならないような叫び声、その後、いつ振り下ろしたのかもわからぬ刃が、地に着こうとした時、その剣が振り下ろされた先にあった墓石が、まるで、斬られたかのように一瞬、斜に滑る。その光景は、刹那をもって、まるで、幻のように消え失せるが、その墓石は、切られたことすら解せず、無残に、地面に滑り落ちた。
「まだまだです、あなたならば、その先の林と丘まで切れたと思いますが、私では・・・今の私では、これが限界らしいです」
少女は、刀をしまうような姿勢を取る、その刀身は、見えない鞘に収まるように消えていき、やがて、刀身が消えたのを確認し、少女が手を離すと、そこには、歩いてきた時と変わらない姿があった。
バタタタタタタタタ・・・
その広場に、爆音を立てながら、四角い鉄の塊が、降りてくる。
ふぅっと、少女は少し、ため息をついた。せっかくの穏やかな気分が台無しだ。その四角い箱の側面には、四角い白地に、太陽の印の紋が書かれている。その紋がスライドし中から、一人の少女が降り立ってきた。
「あれ?浮岩様?」
その浮岩と呼ばれた少女は怒った表情で、一気に近づき、少女の前に立つと、
ガツン!!
頭に拳骨を食らわせた。少し痛そうな表情を浮かべる少女。
「また、墓石で遊んで!ちょっとは、死者を敬え。剣技を試したいのなら、訓練場でやれ!!」
「やだ!!前に浮岩様、想い人はあそこで見てるって言ってたもの、せっかくだから、見てもらいたいもの!!」
少女はむくれながらも反論する。その姿は、年相応より幼く見える。
「お前は、3歳児の駄々っ子か!?この、年齢数えるのがめんどくさい、なりだけ女子が。」
「へん、実年齢ばらしたら引かれる、女子に言われたくないですよ!!」
バチバチっと、火花が散っている。そんな折だった。
「ウキイワ、いちいち、そいつの言うことに反応するな。」
その四角い箱から、眼鏡をかけた長身の男が降りてきた。その後に、先の男より、少し歳が上に見える男も続いて降りてくる。
「そうだな、ウキイワ。あと、お嬢さん。そういつ物言いは、男性の前ではしない方がいい、お互いに傷つくだけだからな」
浮岩殿と言われた少女は、フンっと鼻息を荒くすると、
「カッカに伝えてくる。こっちの受け入れの準備をしとく。10分後には、神社寺跡にいるから、それまでどうぞ、ご自由に。好きにすればいいよ!!」
そう言い残し、鉄の箱に乗り込んでいく。その箱は、あっという間に、上昇し、空に消えていく。
その爆音が聞こえなくなって少したってからだった。
「ようやく、お前の探し物は見つかったわけだ。」
「うん。これも、みんなのおかげ。この6年間、私、何も自分じゃできなくなってた。アッシャーナに迷惑ばかりかけて、でも、何もできなくなってる自分がどんなに頑張っても、何もできなかった。でも、少しずつ変わってきたの。だから、あの時のお礼を、今日言いに来たの」
少女が、頭を下げる。しばらく後、ふっと、頭に、大きな手が置かれる。近づく気配すら感じなかった。まるで、夜がそのまま降りてきたような、暗い瞳がそこにあった。
「そのまま、消えようとか思っていないよな?お前ひとりの問題じゃないんだ。」
歳が上だと思った男は、厳しい視線を少女に投げかけていた。
「お前には、力がある。ならば、お前の行動には常に責任が付きまとう。力がないなどと、卑下せずに責任を果たせるように、心掛けろ」
「ああ、リッチマン。それはそうだが、せっかく、一度折れた奴が、もう一回闘いたいとここまで戻ってきたんだ。まずは認めてやることが必要じゃないか?」
軽く聞こえる声の裏に、ほんのわずかに笑い声が混じっていた。
「全く、お前は、ずいぶんと楽観的だな。希望でも見えているのか?」
リッチマンと呼ばれた男は、少女のそばから離れる。
「ああ。さて、ここに来たということは、皆との協力も少しは、協力してくれるのだろう?」
少女は頷き、その目を覗き込む。
「ええ、チェアマン。今日はみんなに会いたくて、そして、私も、みんなのために役に立ちたくて来たの。嘘なんか言わないわ」
チェアマンから、伸ばされた手を、少女は握りしめる。そして、その手に、リッチマンの手が重なった。
「パスポートやビザは、今日からは、不要だ。君は今日から名誉市民だ。歓迎するよ。御使い様」
「御使い様は止めて。私には、今世では、レヴァーティンっていう名前があるの。大事にするつもりだから」
ほうっと、リッチマンが驚きの声を上げ、チェアマンが、少し眉を顰める。
「北欧神話の最後のヴィラン、スルトの剣の名を冠しているとはね。この世界に来てずいぶんと長くなってきたけど、やはり仮説は正しいらしい」
「やはり、この問題は、どっちが悪いという単純なものではなくなってきたな。情報を整理しておく必要がある。と、今のは記憶したか?」
チェアマンが、眼鏡の右側のレンズ近くを押し、何かを確認している。その内容には、納得がいく内容だったのだろう。
「すぐにでも、何人かの、博士たちが、お前に会いたがっている。時間は取れるか?」
「ええ、もちろん。3日間は、開けてきた。」
「しかし、レヴァーティンは呼びにくいな。愛称でレヴィとかどうだ?」
「愛称?れヴぃ、レヴぃ、レヴィ・・・うん、いいかも。今の私の分かれが、クラウだから、レヴィっていいわね」
「ほう、それが、探し人の名前か。」
少女は、嬉しそうに頷いた。
「そう、『聖剣』クラウソラス。私の大事な仔。ずっと、話がしたかった仔なの。そして、私の大事な子、私に大事なことをいつも教えてくれる仔なのだから、せめて、彼女だけは・・・彼女だけは自由でいてほしい。私が見れなかった世界を見てほしい」




