君 パーティにふ しいか 当てて聞いてみろ ~疑惑の剣聖~
相変わらず、暗いシーンがもう少し(あと、2~3話くらい)続きます
『剣聖』クラウ
需給クエスト:残滓討伐、薬草採集
20/20 20/20 依頼完了
クラウ■■■■ ~=!神託
$%’$~!T を授ける
’(たるあなたに祝福を、
不明は不明なり、不明不明不明
この1か月半の間、クラウは、ターニャや、オリビア、時にはエクスと、パーティを組んだり、今日のようにソロで、討伐を行ってきた。6回の討伐の結果は、すべて、何も読むことができないような代物だった。
剣聖としてのスキルは何も発現せず、意味不明なスキルが増えていく。
「クラウさん、今日の結果はどうでした?」
宿のエントランスの椅子にかけ、クラウは、ぼうっと、6枚のクエストカードを見つめていた。クラウは、エイダに黙ってクエストカードを渡した。エイダは、そのクエストカードを苦々しく見つめる。
「ごめんなさい、エイダ様・・・私・・・」
エイダは、少し考える様なしぐさを見せる。きっと叱責する言葉を探しているのだろうと、クラウは感じていた。クラウは、ここ数週間エイダと話をすることも少なくなってきていた。
「クラウさん、次こそはいい結果が出るわ。もう少しやってみましょう。」
「でも、このままではらちが明かないのも事実です。」
いつの間に降りてきたのだろうか?オリビアが、クエストカードを覗き込んでいた。思わず隠したくなるが、ここはこらえた。
「神がお与えになるクラスに間違いがあるわけがございません。クラウさんが剣聖ならば、必ず持っているスキルがあるはずです」
そう、スキルの中には、クラス裁定の時にえることのできるスキルがある。でも、それは、普通はあまりに気にすることもない。
「私が、教会に掛け合いました。明日、鑑定の神官の都合が付きましたので、一緒にスキル鑑定を行いましょう」
「スキル鑑定?」
「ええ、そうです。神の御心に間違いなどありませんから。だから、クラウさん、『剣聖』として、神に選ばれた以上は、その責務を果たさなければなりません。」
「少し待ってください、オリビア様、そんな勝手に・・・」
「エイダさん、これはクラウさんへのお願いではなく、私からの依頼です」
クラウは、エイダを見た。エイダは表情こそ変えてなかったが、苦々しい思いでいるのはよくわかった。でも、何を想っているのかまではわからなかった。
クラウも、もうこんな『剣聖』として、苦しい思いをするのはいやだった。抵抗しない残滓を倒すのも、そして、核を集めて、献上するのも、その結果もらう、意味の分からないスキルももう、いやだった。
もし、自分がそうでないのなら、それでいい・・・エイダ様もそう言ったのだし・・・
「わかりました、受けます」
エイダが、一瞬制止しようとするのをさらにかぶせるように、オリビアが芝居がかった声で
「素晴らしい決断です。神も喜ばれるでしょう。では、明日の朝・・・ああ、そうですね、エイダさん」
こう告げられて、黙るしかなかった。クラウは、もう、どう声をかけていいのかもわからないまま、階段を上っていくオリビアを見ていた。
「クラウさん、少し散歩に出ます。お付き合いなさい」
クラウは、エイダの後ろについて、歩いていった。そこは、喫茶店だった。エイダが来店を告げると、すぐに、清掃中の看板がかかり、店の端の方に、案内された。
「ここでの会話は、内密に」
店主と思しき男性は頷き、そのまま、厨房から、紅茶を2つもってきて頭を垂れ、再び厨房に引き下がった。
クラウは、改めて、エイダを見た。そこには、いつもの強気な面持ちのエイダはなかった。
「クラウさん、もしかして、今日『剣聖』を止めたいとか思ったの?」
心中を見透かされたのはいつものことだった。クラウは、少し、俯き考えるふりをした。
以前、簡単に答えすぎて、エイダから怒られていた。でも、どうしても考えが、まとまらない。
黙って頷いているクラウを見て、エイダは、少し怒った表情を浮かべる。あまり見ない表情だった。
「クラウさん。なんで、あんなことを言ったの?あれじゃ、もう私もどうしようもできない」
エイダの声に涙が混じる。なぜエイダが泣いているのかもクラウはわからないまま、その言葉を受ける。
「クラウさんは、もう、私を信頼していないの?私はそんなに頼りない?」
クラウは、エイダの悲痛な声がわからなかった。ただ、もう、黙っていることはできなかった。
「エイダ様は、クエストをずっとされてますよね?私もしてます。でも、私は何も得られていないんです。」
はっとしたようにエイダが顔を上げる。
「ずっとおかしいんです。でも、誰にも言えない、だれも気が付いてくれない。エイダ様、私はおかしいのですか?」
エイダの顔が赤く染まる。どうやら怒らせてしまったらしい。
ピシッ!!
頬に痛みが走ったような気がして、思わす、顔をそむけた。きっと、エイダ様を怒らせてしまったのだろう・・・
「いつの間にあなたは・・・そんな心を持たないような物になってしまったのです?少しは悲しみなさい、少しは嫌がりなさいよ。クラウ。・・・それとも最初からそうだったの?」
もう、クラウは答えることもできなかった。
「あなたは、最初から、そうだったの?おばばに取り入るために、子供の御姿を借りて、そして、みんなに取り入るために、愛想よく振舞って。社交性を見ようと思って、取り巻きたちの子をけしかけたときも完全に無反応だったのは、そういうことだったの?」
クラウは、エイダの問いに答えるすべを持たなかった。そういわれればそんな気もするし、そうでもない気もする。
気まずい沈黙が流れた。
不意に、エイダは、突然笑い始めた。不穏な空気を感じたクラウは、エイダを見る。
悔し気に寂し気に涙を流していた。
言いたい言葉があるはず、でも、言いたい言葉は、胸の内から出ないと知った。エイダに伸ばしかけた手は、空を掴み、顔を伏せてなく、誰かのかつての光景が重なって見えた。
エイダが、顔を上げた、涙の後で、化粧が崩れていた。それでも、しっかりとクラウを見ていた。
「出て行って!!この言葉くらいはわかるでしょう・・・あなたには理解できないかもしれないけど・・・お願いだから、一人にして」
クラウは、もうかけられる言葉もなかった。きっと、ここで出ていくと・・・でも、
「エイダ様、失礼します」
口から出たのは、心にもない冷たい言葉だった。そのまま、クラウはその場から立ち去ることしかできなかった。ドアを閉めると、後ろで何かが割れる音が聞こえた。
きっと、取り返しのつかないことをした。クラウはそれに気が付いていたが、それが何なのかわかることができなかった。ずっとそうだった。
その夜、帰ってきたエイダは、すっかり変わっていた。
「クラウさん、ごめんなさいね。取り乱して。もう、こんなことはないようにするわ」
「あのエイダ様」
「ああ、もう、様はいいわ。お互いにさんで呼びましょう」
「ええっと、」
エイダの表情が、全く変わらなかった。いつもは、クラウの前だけではほんのわずかに変わる表情も、すべて微笑みの裏に隠されてしまったかのように、もう何があるのかもわからなくなっていた。
「あの、」
「さあ、行きましょう。クラウさん。」
クラウは、差し出された手を取ることしかできなかった。ただ、あの時感じていた暖かさだけはそこから伝わってきた。
その翌日、クラウは、オリビアとともに、教会に向かった。教会には、ほかの勇者パーティのメンバーもそろっていた。
教会についたクラウは、そのまま壇上に案内される。あの時と同じように、神官たちが、クラウを取り囲む。
「これより、『剣聖』クラウのスキル鑑定を行う。」
神官の手が、クラウの額に乗せられる。クラウは、目を閉じて、その時を待った。
「剣聖クラウのスキルの数は、9
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の9つである」
おおよそ、人の言葉ともいえない言葉が神官の口からほとばしった。それを聞いたクラウは、愕然として、ただ、その言葉を聞いていることしかできなかった。
周りの記録官たちがざわめく中、神官を押しのけて、オリビアが、壇上に登った。そして、クラウの前に座り込む。いつもの、慈愛に満ちた視線ではなく、冷たい眼光が、クラウを射抜いていた。
「クラウさん?」
「はい?」
「どうやって、『剣聖』詐称したのですか?」
それは、責めるような声だった。
「神を欺くなんていい度胸してますね?異端として、告発しましょうか?それとも、さっさと処刑されるために魔女裁判でも開くよう猊下に進言しましょうか?」
オリビアの冷たい声に、クラウは、信じられないと、首を振った。
「そんなことしてません。神を欺くなんて」
「さっきのは冗談ですわ。さすがにそんな強権を振るう権利は、今のわたくしにはありませんし。それに、知っていますわ、田舎娘のクラウさんにそんなことができないことなんて。ただね。」
クラウをオリビアが下からのぞき込む。
「『剣聖』でもないのに、私のパーティを2か月近くもここに止めたことは、許されないと思いません?」
オリビアから、殺気が放たれる。
ひっと、クラウは、引く。しかし、オリビアの右手が、クラウの左手を掴み放さない。
「あら?この程度の殺気で引かないでください、あと、手も振り払えないのですか?」
そんなことを言われても、クラウはもう、蛇に睨まれた蛙のように、その場に座り込んだまま動くこともできなかった。
万力のように握りしめられていた手が離され、殺気が消える。ただその目の光に侮蔑を宿し、オリビアは立ち上がった。
「せいぜい頑張ってくださいね、『剣聖』さま?」
クラウはせかされて、立ち上がり、降壇する。そこには、刺し貫くような4つの視線があった。
「あのすいません・・・」
「クラウさん、まだチャンスはありますわ」
エイダの声に、クラウは驚いた。
「7日後に、裁定を行おうと思っていますの。クラウさんなら、きっと、私たちの眼鏡にかなうと信じていますわ」
エイダの表情は、微笑みのまま、何も見出せない。不意に、後ろから、肩を叩かれる。
「ターニャさん・・・」
「まあ、あれだ、クラウ・・・」
ふと、ターニャが、顔を伏せる。その表情は重く暗い。
「すまない」
すこしの沈黙ののちに、絞り出したのは、その言葉だけだった。
「ディ=フォルトには俺から伝えておく。クラウ・・・ここで逃げるなよ」
エクスが、声を絞るように、つぶやいた。クラウは、もう、頷くしかできなかった。
オリビアが、降壇してくる。その顔には嫌な笑みが張り付いていた。
「さて、『剣聖』さま、いえ、クラウだったかしら?7日の猶予を上げるわ、がっかりさせないでね」




