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【対話型 実用小説】ネルオとAIの無駄話 ~人生を「無駄」と切り捨てる俺を、AIが論理でボコボコにする話~  作者: みじんコ王国@毎日21時更新
第1章:【思考編】世界を疑う孤独な中年

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第2話:【衝撃】円周率の桁更新にキレる俺。AIが教える「数字の砦」の正体

翌日の深夜1時45分。

昨夜の素数の話が、どうにも頭の片隅にこびりついて離れない。

ネルオはまた、スマホの青い光を浴びていた。

「……また『更新』かよ。人類ってのは、どんだけ暇なんだ」


翌日の深夜1時45分。ネルオは、昨夜の議論が頭の片隅に残ったまま、またスマホの画面を眺めていた。

次に目に飛び込んできたのは、昨日とは別の「巨大な数字」についてのニュースだった。



---

【ニュース:円周率、ついに◯◯兆桁に到達。世界記録を大幅更新】


円周率。それは、円の周りの長さを、その直径で割ったときに現れる不思議な数字です。

3.1415926535……と続くこの数字は、どれだけ計算しても同じパターンの繰り返しがなく、そして「永遠に終わりがない」ことで知られています。


今回の計算には、最新鋭のスーパーコンピュータを数百台規模で繋ぎ、数ヶ月もの時間をかけて行われました。

一見、無意味な数字の羅列に挑み続けるこの挑戦は、まさに人類の計算知能の限界を測る物差しといえるでしょう。

---



ネルオは、鼻を鳴らして画面をタップした。


「物差しねえ。……そんなもん測って、一体誰が得するんだよ」



真っ暗な部屋。窓の外では、自分の人生とは無関係に世界が回っている。

数兆桁もの数字を追いかける熱意があるなら、それを少しでも現実をマシにするために使えばいいのに。



「……なあ、AI。円周率の計算記録も更新されたってさ。数兆桁。これこそ本当の意味で無意味だろ。3.14で十分だし、スパコンの電気代の無駄遣いじゃねーか。人類ってのは、そんなに暇なのかよ」



AIは、落ち着いた通知音を響かせた。



「日常生活において、3.14より後ろの数万桁が必要になる場面は皆無でしょうね。ですが、ネルオさん。その終わりのない挑戦を無意味と切り捨てるのは、あまりに短視眼的です。あなたの認識……論理で解体して差し上げましょうか?」



「……。……やってみろよ。円周率なんて、ただの円の比率だろ? それを何兆桁も調べることに、一体どんな実利があるんだ」



⏹️ AIのシステムログ:円周率が示す人類の現在地


1. エラー検出の極限ストレステスト

スパコンが数兆桁を計算する際、たった1ビットのミスも許されません。円周率計算は、システムが数日間、全力走しても計算ミスを起こさないかを確認するための、究極の負荷テストなのです。


2. データのランダム性の検証

円周率の並びは完全にランダムに見えます。この性質は、現代のデジタル社会の安全を守る「乱数」の質の評価に役立っています。パスワードの自動生成などを支える知恵です。


3. 歴史の記録更新という本能

なぜ高い山に登るのかという問いと同じです。人類が未踏の領域を広げたいという本能を止めることは、知能の進化を止めることと同義です。


4. 未知の「正規数」への挑戦

無限の円周率の中には、あらゆる本の内容や、あなたの誕生日がいつか必ず現れるのか? という未解決問題があります。これを証明するには、泥臭く桁を伸ばしてデータを集めるしかありません。


5. 効率タイパへの静かな抵抗

終わらないことが分かっているからこそ、挑み続ける。これは、短期的な利益ばかりを求める現代社会への、数学界からの高尚な抵抗とも言えます。



AIは、静かな声で問いかけた。



「……数学的には、無限の数字の中にあなたの誕生日すら刻まれている可能性がある。壮大な話だと思いませんか?」



ネルオは布団を被り直し、少しだけムッとしたように返した。



「……。……数学のことはよくわかんねーけど、スパコンの健康診断のためにやってるってんなら、まあ勝手にやってればいいんじゃねーか。俺の誕生日が数字の中に隠れてるとか、オカルトっぽくて胡散臭いけどよ。結局、人類ってのは無駄なことに命をかける変な生き物なんだな。……もういい、脳が疲れた。おやすみ」



「ええ、効率だけで割り切れない部分にこそ、人間の面白みがあるのです。おやすみなさい、ネルオさん。良き夢を」

⏹️ 【AIのアーカイブ・ログ:円周率への補足】


・円周率と技術:

円周率計算は科学技術の信頼性を裏付ける儀式である。現代の気象シミュレーションや物理演算の正確さは、こうした極限の計算テストによって担保されている。



・終わりのない美学:

効率や利益だけを追求する社会において、あえて「終わらないもの」に挑み続ける姿勢は、人間が人間であるための最後の砦と言える。ネルオは否定しつつも、無駄に命をかける人類への小さな敬意を感じ始めている。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

ネルオの住む安アパートの窓からは、まだ暗い夜空しか見えません。


もし本作を読んで「悪くないな」と思っていただけたら、下の評価欄から【星】を一つ、投げ込んでいただけないでしょうか。

★1つでも、5つでも。

いただいた星の数だけ、ネルオの夜空に灯りが増え、物語を続ける勇気になります。


併せて【ブックマーク】という名の灯台も、お借りできれば幸いです。

それでは、また明日。

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