93話 相原の野望(2)
僕は幾つか思い当たる事を言ってみたが、相原は目を瞑り、首を横に振るだけだった。
観念した僕は、相原に素直に聞いて見る事に。
「私の誕生日でしょ~が~~~」
まるで散歩をしている犬が、通りすがりの人に行き成り吠え出すかの様に、相原は声を荒げてそう言った。
「あっ~、そっか、そっか。確か誕生日、次の日だったもんな、相原と」
相原は呆れた顔で、「もぅ~」とひと言言うと、「やっぱりね」と心の中で呟いた。
「誕生日おめでとう、相原」と、僕は無理に笑顔を作って、お祝いの言葉を述べた。
「ありがとうございます。でも、何だか嬉しさが半減しましたね~」
そんな彼女は肩を落とし、苦笑いを浮かべて答えた。
「ごめん、ごめん。よし、それじゃあ、長谷川さんも呼んでパァ~としようか。長谷川さんも今日、早番だし」
「あ~、長谷川さんなら、この後用事があるんですって」
「えっ、そうなの?」
ふ~ん。年中、「暇や、暇や」って言ってる長谷川さんがね~。
「それじゃあ相原は、今から自転車で家に帰ってから、後でスクーターで来るの?」
相原は目を瞑って頭を振ると、僕のバイクを見るなり腕をビシッと伸ばし、人差し指をバイクに向けた。
「えっ、2人乗り!?」
相原は無言で、コクッと頷いた。
「べ、別に良いけど、ヘルメットは?」と、僕の問い掛けに対して、まるでその答えを待ってましたと言わんばかりに、相原は大き目のリュックの中からゴソゴソと何かを取り出した。
「ジャジャ~~~ン、半キャップのヘルメット~~~」と言うやいなや、ヘルメットを被りだした。
な、何だぁ~!?
「さぁさぁ、ヘルメット被って、バイクに乗って」
「えっ、あっ、はいはい」
驚いている僕の様子をよそに、相原は、「ほれほれ」と言いいながら、両手で急かす仕草をするので、僕は返答する間もなくバイクに跨った。すると相原も、後部座席用のステップを取り出し、直ぐさま後ろのシートに跨り、準備が出来た事を知らせる為に右手を高く上げ、「しゅっぱ~~~つ!!」と大きな声で叫んだ。
その掛け声を耳にした僕は、スロットルを2回空ぶかしをした後、教習所を後にした。




