表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
PR
92/136

92話  相原の野望(1)


 はぁ~、やっと仕事が終わった。

 

 僕は疲れた足取りで、ロッカー室に入り、帰る準備をした。


 僕等の勤務は、3日出勤して1日休みと言うローテンション制で、早番は9時から18時、遅番は10時から19時が定時となっている。ただし、この勤務に2時間の残業を入れるので、早番なら20時、遅番なら21時まで大抵の人は働いている。


 今日は、何だか特に疲れたなぁ。定時にしといて良かった。

 

 僕は私服に着替えて、ロッカー室を後にした。


 さぁ~てと、何を食べようかな~。作るの面倒だし。遥の手料理、美味しかったなぁ~・・・・。


 そんな事を考えながら、職員用の階段をゆっくりと下りて行くと、ドカッドカッドカッドカッと階段をけたたましく下りて来るどこか聞き覚えのある足音が、僕の直ぐ後ろから迫って来た。

 

 あの音は!!と思い後ろを振り返ってみると、ばれたかぁ、といった感じで苦虫を噛んだ様な顔をして立ち止まっている相原の姿が目に入った。


「何だよ、その顔。又、脅かすつもりだったんだろ?」


 相原は、「ハッハッハッハッ~」と無理に笑って誤魔化した。


 僕はそのまま駐輪場まで歩きだすと、相原も駆け寄って来て、僕の隣に並んでついてきた。


「あれ、今日は早番だから20時じゃないんですか?いつも残業して帰っているのに。今日は定時の18時なんですね?」


「まあね」と、疲れているせいか僕はぶっきらぼうに答えてしまった。


「てか、相原も今日は定時なんだ」


 すると相原は元気良く、「そうで~す」と手を上げて答えた。


 駐輪場まで辿り着いた僕は、手にしたヘルメットを被ろうとした。


「じゃあ、気をつけて帰れよ」


「所で片瀬さん」


 相原に名前を呼ばれたので、被ろうとしたヘルメットを1度バイクのシートに置いて、死んだ魚の様な目で、僕は彼女の方に目を向けた。


「うん?」


「今から帰るんですよね?」


「そう、だね」


 相原は、自分の電動自転車の側から離れて、僕の所まで近寄って来た。


「ほら、1人で家にいると色々考えてしまうでしょ。そんな時は、パァ~と美味しい物でも食べて、グビッと飲んで、それからぐっすり眠るのが1番ですよ」


「別に悩んでなんかないんだけど」


「だったら別にいいんですけどね。それじゃあ何ですか?私と一緒だったらご飯を食べに行けないって言うんですか?」


 相原は、頬を少し膨らませた。


「何だよ、半ば脅しだな」


「で、どうするんです?」と、相原は少し怒り口調で、更に顔を近付けて詰め寄って来る。


 そんな相原の威圧感に押されて、僕は屈してしまい、「お、おう、じゃあ行くけど。直ぐ近くのファミリーレストランか?」と答えた。


「チッチッチッ、私に任せて下さい。ここからえ~とですね、10分か15分ぐらいの所にこじんまりとしたお店があるんですよ。前に雑誌に載ってたのを見てて、そこでご飯でも1度食べに行きたいなぁ~て考えていたんですよ」


「ふ~ん。だったらもっと早くに言ってくれれば良かったのに。何でこんな急に言うんだよ」


「何でって、それは今日、11月の8日ですよ」と、ニコニコしながら僕に言ってきた。


 何が言いたいのか分からないけど、取りあえず「うん」って頷いとこう。

 

 すると相原は、意味ありげな笑みを浮かべながら更に聞いてきた。


「ここまで言っても分からないんですか?」


 僕は腕を組み、目を瞑って首を傾げた。


 う~ん何だろ?11月8日って。何かあったっけかなぁ。


 本気で考えている僕の仕草を見て、相原は「こりゃ駄目だ」と言いたげな感じで頭をうな垂れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ