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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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49話  2人が初めて出逢った場所

 こう言う時ってランチにパスタとか食べるのかもしれないけど・・・。

 まぁ、それはさて置き、僕等は和風の定食屋さんでご飯を食べていた。


「ねぇ遥、まだ運転できそう?」


『まだまだ、大丈夫ですよ。このかつ丼定食を食べてスタミナつけますから』

遥は、胸の辺りで両手に握りこぶしを作り、笑顔で元気がある所をアピールして見せた。


 遥は、本当に美味しそうに食べるよなぁ。いつも仕事が休みの日は、1人でご飯を食べているから、遥と向かい合って食べてると、うん、何か良い。見ているこっちまで美味しく感じる。

 僕が微笑んだからだろう、遥は、僕の顔見て『どうしたの?』と首を傾げた。


「うううん、何でもないけど、遥がかつ丼をほおばって、じゃなくて、美味しそうに食べるなって」


彼女は、『もぅ~』と言って、恥ずかしそうにほほ笑んだ。


その後、ランチを食べ終えた僕等は、休憩がてらウィンドウショッピングを楽しんでいたけれど、2階の通路を歩いていると、遥は途中で足を止めた。


「どうしたの?」と僕が聞くと、彼女は、スマホに文字を入力して『覚えてます、この場所?』と聞いてきた。


「この場所?」と、僕は聞き返した。


『この場所は、私と片瀬さんが初めて出会った場所なんですよ』


「ここで、遥と?」


 遥は、『うん』と頷いた。

『私が外国の人から話し掛けられて困っていた時、片瀬さんが助けてくれたんですよ』


「言われてみれば、う~ん、そんな事があった、かな?」

 僕は首を傾げて、昔の記憶を辿ってみた。


「そう言えば確か、画材道具の専門店があるらしいんだけど、どこか分かる?って言う会話をした様な気がする」

 

『その時、あたふたしてたのが、私なんです(笑)』

 彼女は苦笑いを浮かべて、面目なさそうに小さく手を上げた。


「あぁ~!!そうそう、思い出した、思い出した。確かに、あたふたしてた女の子がいたよ。そのまま通り過ぎようとしたんだけど、何となく気になってもう1度振り返ったら、その子キョロキョロして困っていた様に見えたから、つい間に入ってしまって」


『でも、嬉しかったんです。声が出せないので、近くを通って行く人に「助けて下さい」って願いを込めて目を見たんですけど、どの人も見て見ぬふりで。後から思えば、ジェスチャーでもして、道を尋ねてきた外国の人に、その場所へ連れて行けば良かったのにって。慌てると駄目ですね』


「そのお陰で、こうして遥と一緒にいられるんだから。ほら、お母さんも言ってただろ。この子、どんくさいからって」

 好意を持っている小学生の女の子に、気を引かせようとする小学生の男の子の様に、僕は意地悪ぽっく笑って答えた。


『もぅ~、片瀬さんの意地悪』

 はにかんだ顔を見られまいと僕に背を向けた彼女は、『ありがとう、片瀬さん』と、声には出さずにひと言呟いた。



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