48話 さぁ、練習開始!!(2)
運転席に座った遥は、ドア、ロック、座席と習った順番通りにこなしていった。
しかし、シートベルトをしてギアをパーキングからドライブに変えようとした時、チェンジレバーが中々動かないので、僕の方を見て『動かないんですけど』って言う顔をしてきた。
すかさず僕は、「ブレーキペダル踏まないとね」って言うと、『あ~』と言ってからチェンジレバーを操作した。
次に遥は、運転席と助手席の辺りをキョロキョロするものだから、「ハンドブレーキじゃないんだ、左足でパーキングブレーキを解除するんだよ」と、その場所を指で指した。
そんな彼女は、首をすくめて苦笑いを浮かべた。
「遥、大丈夫!!一緒に深呼吸しよ」と僕が言うと、彼女は、深く吸って「ふぅ~」と長い息を吐いた。
車を動かす前は、緊張した面持ちだった遥も、時間が経つにつれて徐々に運転をする感覚を取り戻してき、いつしか僕の指示通り運転する事が出来る様になってきた。
そうして、最初の目的地である大型ショッピングセンターへと辿り着いた僕等は、車が殆んど止まっていない屋上の駐車場に車を止めた。
「はぁ~」と深い溜息をついた遥は、次第に緊張がほぐれ、笑顔がこぼれた。
すぐさまスマホに文字を入力して、今の気持ちを伝えてきた。
『あ~、緊張しました~。車の運転て色んな所に目を配らないといけないんで、運転が終わるとドッと疲れが出ますね』
興奮冷めやらぬ遥の頬は、ほのかに火照っていた。
「うん、確かにね。でもこの感じだと、直ぐにでも遥にアウトレットまで連れて行ってもらえそうだね」
『はい、いつでもいいですよ。でも、命の保証はしませんから(笑)』
僕等は車から降りると、遥は空に向けてめいいっぱい腕を伸ばして背伸びをした。
それから、少し前を歩く僕の右腕に遥の両手が伸びてきて腕をからめてきた。
そんな遥に少し驚いた僕は、彼女の方を振り向くと、まるでかまって欲しそうにするじゃれた子猫の様に、満面な笑みを浮かべていた。
僕は、腕を組んで歩く彼女を連れて、お互い遅めのランチを食べに出掛けた。




