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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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15話  1泊2日旅行(3)~ショッピングセンター編(1)~

 向日葵畑を後にした僕達は、バーベキューの食材を調達する為に、国道沿いのショッピングセンターまで買い出しにやって来た。


「片瀬、こっちは俺達に任せて、着替えの服いるんやったら買ってきていいぞ」


「あ、はい。お願いします」

 汗かいたから、早くシャワー浴びてさっぱりしたいや。


「よっしゃ〜、欲しい物が有ったらこのカートの中にドンドン入れてや〜。今日はじゃんじゃん食べるで〜。じゃあ、戦闘準備開始〜〜!!」


 長谷川さんは、僕達4人にそう言うと、肉や野菜等をカートの中に片っ端から放り込み足早に突き進んで行った。

 

大丈夫かなぁ、長谷川さん。今日は、何だかいつもより異様に気合いが入っているんだけど。材料やお金の事なんかお構いなく放り込んでいるようにしか見えないんだけどなぁ?

 

 少し不安になった僕は、長谷川さんから目を離さないようにしながら、相原にこの胸の内を打ち明けた。


「なあ、相原。俺にはどう見ても、長谷川さんが何も考えずに材料をカートに入れているようにしか見えないんだけど。相原はどう思う?」


「ほんと〜に、長谷川さんには困りましたよね〜」

 

おっ!久し振りに相原と意見が合ったなぁ。と思いつつ、相原の方を振り向いて見ると、相原は僕の話しに上の空で、自分の買い物かごにお菓子をポイポイと入れて歩いていた。

 

 お、おいっ!!言ってる側からお前もかよ。う〜ん、だったら仕方がない、高野さんに頼むか。

 

 そうして、長谷川さんと相原の姿を見失わないようにしながら、今度は高野さんの側まで近付いて話し掛けてみた。


「ねえねえ、高野さん。ちょっとお願いがあるんだけど・・・」

 

 話し掛けている最中に、彼女の方からガサガサとする音が聞こえてきたので振り返ってみると、苺のショートケーキを手に持った彼女が、僕と目が合うなりニコッと笑みを浮ばせながらこう言った。


「甘い物は別腹ですから」

 

「ははっ・・・、そ、そうだね」

 彼女の笑みに僕は、苦笑いで答えるだけだった。

 

 う~ん、こうなったら最後の頼みは遠藤さんだけだ。

 そう思い、隣の棚に居る彼女の側まで行き、右肩を軽くトントンと叩いて呼んでみた。すると彼女は、僕の方に振り返ると、右手にはシュウクリーム、左手にはプリンを手に持って、首をかしげながら笑顔で「どっちにします?」って聞いてるんだろう、僕にアイコンタクトをしてきた。

 

 駄目だわ。ここで目を離せば長谷川さんと相原が暴走するのは時間の問題だ。そして、その余波は遠藤さんや高野さんまでも。何とかここにいて暴走を食い止めなければ。


 そんな決意を胸に、長谷川さんと相原の行動を近くで見守っていたが、突然の濁流してきた河の水を咄嗟にせき止めるのが無理なように、無情にも僕の言葉は、この2人には届かなかった・・・。

 



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