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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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117話  夢の中で(3)



真っ暗な暗闇に包まれ、上を向いてるのか、下を向いてるのか分からず、体が宙をさまよっているかの様だ。


死んでしまったのか!?うん?あの光は・・・。


しかし今度は、遠くの方で見えていた小さな光の点が徐々に大きくなってきたかと思った途端、僕の体は、まばゆい光に包まれていた。


 大学に入学してから3日。午前中の講義が終わり、午後からの講義に備えるべく僕は食堂で時間を潰そうと思い廊下を1人歩いていた。すると・・・。


「前を歩いている白のシャツを着ている人」


 突然、僕の背後から女の子の声が聞こえてきた。


 白のシャツを着た人って・・・。


 歩きながらチラッと自分の服を見て見る。


 えっ!?俺の事か?


 そう思い、僕は、声がした方へ振り返ってみる。


 その女の子は、膝より少し長めのカーキ色をしたカーゴパンツに、小花が描かれているティーシャツ。その上からは、白のシャツを着ていた。髪型は肩より少し長めで、背丈は僕の身長よりも若干低いぐらいだと思うけど、体型はとてもスラッとしているので長身に見える。


「えっと~、若しかして・・・」と言うや否や、彼女は右手を差し出して僕の言葉を遮り、両手を頭の後ろに回し、髪の毛をひとまとめにくくってから僕の問い掛けに答えた。


「ここには、あなたと私しかいないでしょ」


 僕は周りを見渡してから、彼女の言葉に納得した。


「そうだね」


「でしょ」と言って、幾つか額に掛かっていた髪の毛を右の耳の後ろに回した。


「それで、何?」


「え~とぉ、私の名前は高科 麻衣。麻衣って呼んで」


 そう言うと麻衣は、右手を出して握手を求めてきた。


 僕は、少し戸惑いながらも手を出してそれに応えた。


「えっと、僕は片瀬。片瀬 悠」


「じゃあ、悠ね。よろしく」


 彼女は満面の笑みを浮かべて、挨拶をしてきた。


「えっ、あ~、こちらこそ」


 積極的な子だなぁ。


「あっ、今変な奴って思ったでしょ」


 僕の心の中を見透かしたかの様に聞いてきた。


「そんなこと、ないよ」


「嘘、今顔に書いてあったわよ。変な奴だって」


「変な奴だなんて思ってないよ。ほんとに、嘘じゃない。ただ・・・」


「ただ何?」


「ただ、積極的な子だなって思っただけで」


 麻衣は、僕が真剣に弁解している姿が可笑しかったのか、クスクスっと微笑んだ。


「ごめんね。私、余り人見知りしないから誰とでも気楽に喋れるもので」


「そう、それは良い性格だね。人見知りする僕にとっては、何とも羨ましい限りだよ」


「え~、そんなの絶対勿体ないわよ」


「勿体ないって?」


「だってほら、諺にも一期一会って言う言葉があるじゃない。悠とすれ違った人とはもう2度と会えなくなるかも知れないのよ。もし悠が、一握りの勇気を出して相手の人に話し掛ける事で、一生涯付き添っていける運命的な女性と出会えるかもしれないのよ」


「ふぅ~ん、例えば、今の僕と君みたいに」


「そう!!私と悠みたいにね」


 何か僕の胸が、ギュッと締め付けられる想いを感じたのだけれど、それも束の間、心の奥底に消えて行ってしまった。




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