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ただ、君だけをみつめて  作者: 新木 そら
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103話  まさかの出来事(2)


 バッティングセンターを後にした遥は、信号待ちの時に、「今がチャンスだ」と思い、素早くスマホに文字を入力して長谷川に行き先を尋ねてみた。


『これからどこに行くんですか?』


「お腹も空いた事やし、ご飯でも食べに行くで?」


『それは良いですけど、どこ食べに行くんですか?』


「う~んとなぁ、実はお店じゃないねんなぁ、これが~」


 歯に物が詰まった様な言い方で、薄っすらと口元に笑みを浮ばせながら長谷川はそう答えた。


 じゃあ、どこなんだろう?


 キョトンとした顔をしている遥の横顔を見て、長谷川は、「え~と、仕事場の後輩がやな、今日、誕生日なんやわ」と、話しの続きをし始めた。


 遥は長谷川の方を向いて、静かに話しを聞いていた。


「それで今から2人でバースデーパーティをするらしいんやけど、そこにお邪魔しようと思ってんねんやわ」


『えっ!?、良いんですか。行き成り行って』


「え~ねん、え~ねん、そんな細かい事気にせえへんでも」


 この揺るぎない強気はどこから出てくるのだろう?そう言えば、以前、片瀬さんとドライブに行くって言う話しも、結局は、5人で旅行に行くはめになっちゃたし。これが長谷川さんの長所なんだわ、きっと。

 

 1枚の葉っぱが小川の上に舞い落ち、川の流れに身を任す様に、こうなったらどうする事も出来ないのよね~、と彼女は半ば諦めて心の中でそう思いながら、信号が変わって走り出した車の窓の外の景色を見つめていた。


 暫く走行していると、何だか見覚えのある景色が目に入ってきた。


 あれ!?この辺り、片瀬さんの家の近くじゃ・・・。


 国道から交通量の少ない住宅街の道路を20分程車を走らせた所で、長谷川は、あるハイツの近くにあるコインパーキングに車を停めた。


「ほい着いたで、遥ちゃん」


 車から降りてドアを閉めた後、遥は周りを見渡して見た。


 やっぱりこの辺りは・・・。初めて片瀬さんの家に来た時に、2人で周辺を歩いて通った場所。


 遥の頭の中で、その日の楽しかった出来事がよみがえってきた。 


 しかし、3年前の出来事を思い出すと片瀬との対面には、そんな事は直ぐかき消されてしまった。


 そんな不安な気持ちを抱きながら、11月の冷たい夜の風が彼女の頬を撫でて行った。




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