語らいの獣人
どう反応してよいのやら、なんかここまでテンプレのような展開が続くと混乱してしまう。
世界か……。そんなことを思っていた神崎だが明確に一個思いついてしまったことがある。創作の世界では若干やってはいけないような疑問なのだろうが……。
「君の世界を救うことで何かメリットが?」
「案外、そういうのきっちりしてるのね……。でもあるわよ、メリット」
「それは?」
「君の世界も救われる」
全く理解ができない。先ほど『私の世界が』と言ったばかりである。果たしてどういうことなのだろうか。神崎はもう少し、突っ込んで聞いてみることにした。
「危機なのはあなたの世界なのですよね? 俺の世界と何の関係が?」
「そうね。平行世界についてもう少し説明するわ。よく聞いていて頂戴」
「平行世界とは、似ているようで似ていない。世界形態はほぼ同一、実は生きている生物もほぼ同一。人間は各平行世界にそれぞれ同一の人間が存在している」
「えっとつまり?」
「つまり、この世界に住む『神崎直人』という人間はこの世界に存在している。だけど、それと同時にほかの平行世界にも『神崎直人』という人間は存在している。多少の性格の違いはあるようだけど、人間関係も世界ごとによって違うみたい。後は、発展してきた科学体系が全く違う。これについてはこの世界にきてはっきりした。それで重要なのはここからなんだけど……」
「平行世界間の同一存在はリンクしている。これの意味が分かる?」
問いかけられるが当然分かるわけもなく、分からないという表情を彼女に向けた。
「つまりね、例えば別の世界の『神崎直人』という人間が体調を崩したら、別の世界の全ての『神崎直人』という人間が全て体調を崩す、どこか怪我をすれば必ず他の世界の神崎直人も怪我をする。死んだ場合も同様に死ぬ。不思議なことにね。そして、それは生物に限らない。何かモノが消えてなくなって消滅したら、他の世界のモノも消滅する」
「これが、今のところ分かっている平行世界についての大体の情報」
「そして、私たちの世界でこの地球を滅ぼしつくしてしまおうとしている奴がいる。もし、私たちの世界の地球が滅べば、他の世界の地球も同じ末路を辿る。全ての平行世界に与える影響がとてもじゃないけどでかすぎる。だから、それを阻止するのを手伝ってほしいの」
神崎はいろいろと話されたが、頭が混乱してきたので軽く整理をした。
『平行世界が存在する』、『平行世界をそれぞれ同一の存在がいる』、『平行世界はリンクしている』『科学的な発展の仕方が全く違う』、主な得た平行世界の情報はこの4つだ。そして、地球を滅ぼしてしまおうという奴がいて、それが成功してしまうとほかの平行世界の地球も滅び、甚大な影響を与えてしまう。
と、そういうことだ。
ある程度の整理が出たところで今度はこちらから話しかけた。
「要件は分かったし、状況も分かった。話が本当なら全時空レベルで中々にやばい状況みたいだな。だがまだ一つ分からないことがある」
「何かしら?」
西園は疑問の表情を浮かべている。とりあえず開示すべき情報はすべて話したはず。あとは何が疑問があるのだろう。やる気か、はたまた別の何かか思考していると言葉は続いた。
「何故俺なんだ?」
そう。根本的な問題だ。わざわざ俺のところに、しかも俺だからこそ頼みにきている風な感じをさっきから受け取っている。そうまでして俺にこだわる理由とは何なのだろうか?
その答えを彼女は言った。
「そうね……。その世界を滅ぼそうとしている人間の名を教えてあげる。……神崎薫よ。」
「!?……まさかそんな」
あまりにも想定外の名が飛び出てきて神崎直人は現実を受け入れることを一瞬拒否しようとしてしまった。
そんな様子も察しながら西園はさらに認識させるように言ってきた。
「誰か分かるよね?」
「ああ……。俺の母親だ」
To Be Continued.




