表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄から…てか婚約破棄されない。これでは、私のハッピーエンドは?え、道連れって?  作者: 安藤昌益


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/33

最終決戦に2

 ルイス率いる約6万5個師団半の軍は、ルアンの平原で共和国軍と激突した。平原と言っても、何もない真っ平らなところどころではない。かなり高い丘や川、湖沼、そして、深い森もあった。伏兵を隠す場所もいたるところにあり、進撃が止められる場所も、天然の要害にできる場所もある。それでも、定石通りの布陣、そして、砲撃から始まった。

 事前の偵察も充分行っている。それは、双方ともおなじ条件だった。王太子軍は、事前に先遣部隊が、到着していたが、共和国軍には地元の将兵が多くいたから、条件に差はあまりなかった。

 弾薬不足の共和国軍は、一日当たりの消費砲弾を制限しようとしたが、

「今日負ければ、明日はありません。まず、今日勝つために砲弾を使うべきです。」

 作戦立案、指揮には口を出さないイサベラの例外的にした主張が認められ、共和国軍は王太子軍と砲撃戦を続けた。イサベラは、軍の要請で、司令官として従軍していた。悪名高い女元帥達も、無理矢理加わって、首都から出ると消えた。それなのに何故か、長く彼女らがイサベラの指揮の下で戦った、彼女を支えたと信ずる歴史家がいた。

 衰えない共和国軍の砲撃音を耳にしながら、ルイスとルシアは無言で戦場を見つめていた。

 二人が今できることは、将軍達の作戦を、将兵の奮戦を信じることであった。前線からの伝令が次々来る。死傷者や破損した大砲の数、どこまで進めたか、進めていないのか。どこどこに、共和国軍の伏兵がいた、こちら側の伏兵が攻撃をかけたとかも届いてくる。

“完全に押し気味だ、全ての場所で。共和国軍の反撃は全て退けた。あと、策があるか?”

間断なく聞こえる小銃音、大砲の砲撃音を聞き分ける余裕が出てきた。

“旧式なものばかりだな。しかも、かき集めという感じだ。支配下の砲兵工廠も、指定業者の工場も開店休業状態に、かなり前から、という情報は確かなようだな。最近、梃子入れで動きを始めたという情報もあったが間に合わなかったか。だが、。”

 伝令の報告では、戦線はじりじり進んでいることがはっきり分かるが、まだ、共和国軍はまだ戦意旺盛、崩れる兆候は見えないようだった。

“兵力も、兵の練度も差がこれだけあるのに、まだ、頑張っているか。”

 不安と賛美が、入り交じって浮かんでいた。

 「右翼側面から、敵軍約1000人が出現。迂回攻撃のようです。」

 索敵部隊の伝令が来た。将軍達が既に、テキパキと指示を出している。想定通りである。重厚な予備隊の一部が投入される。

「この後は、どうなると思いますか?」

 ルシアが、耳元で囁いた。“考えてもいない奇策はかけてくるかしら?”少し不安だったが、重厚な予備隊で対応できるというルイスや将軍達の言葉を信じたかった。

「何時でも、大砲や銃を撃つ準備は出来ていますわ。」

 二人は、笑った。

 その後、今度は左翼の横合いに議会軍約2000人の部隊が現れた。どちらも予備隊から投入した部隊に押し返された。その直後、中央の共和国軍が大攻勢をかけてきた。大砲もここぞとばかり、砲撃をしてきた。予備隊を全て投入したのだろう。

「あらあら、想定通り。」

 二人の顔は、少し複雑だった。その時、ルイスの軍の騎兵の一部が、その好機を待っていたかのように共和国軍の後方に襲いかかっていた。それから、しばらくたってから、

「和平交渉に。私が帰らなければ、私の奇策であなたの軍を全滅させますよ!」

 ルイスとルシアの前に引き出されてきた女は、金切り声で叫んだ。

 会戦前に、早々に、喜ばれながら、軍を去った共和国軍の女元帥の一人だった。混乱の中道に迷い、王太子軍の前に出てしまい、囚われてしまったのである。捕らえた兵士が、あまりの大言壮語に戸惑って、ここまで連れて来てしまったのである。ルシアは、女を見ながら、“アンダルシア公がこの女を愛人に?悪趣味というか、無節操というか…。”若くなくとも、知的な美人が王の寵愛を独占したとか、世を動かしたとかいう話しは度々ある。少なくとも、聞いている。それ程の美人とは見えないし、知的なそれは全く皆無である。“まあ、大言壮語して恥ずかしさを一片も感じない所は、流石だけど。”としか彼女には感じられなかった。ルイスの対応を注視した。

 彼は、跪き、半ば力づくで地面に座らせられている彼女の顔を正面から見た。“口が臭い。”と顔をしかめてから、

「では、和平交渉の使節を送るように、共和国軍に、自ら使者になって伝えてくれたまえ。」

 立ち上がると、

「この方を、前線までお連れして、解き放してさしあげよ。戻るようであれば、撃ち殺せ。」

 兵士達は、それを聞くと、女を立ち上がらせて、連れて行こうとした。女は当然抵抗し叫んだ。

「し、使者を、使者をだして!あなたには、まだ話しが。」

「早く。そうしないと共和国軍が全滅しますよ。」

 淡々と彼は答えた。

「待って…ゆっくりお話しを…寛いで…。」

 何を思ったのか、服の胸元を緩めて見せた。“わ、わた、私の体をよ、分かるでしょう?”心と態度で示したつもりだった。

「早くお連れして差しあげろ。」

 やはり彼は淡々として、兵士に命じただけだった。兵士達は、泣きさけぶ、哀れな女を引き摺っていった。

「どういたしますか?」

 幕僚の一人が、念のためという感じで質問した。

「変更などありえんだろう。予定通りだ。」

「は!既に、第一騎兵旅団が出撃いたしました。」

 ルイスは、大きく頷いた。“臭い女だった。あの距離でも臭ったな。”“何で、あんなの臭い女を抱いたのかしらね、あの人。”戦場で何日も生活している中では、臭くもなるが、そんな臭さではない。香水をやたらにつけても誤魔化せない、いやかえってひどくなる初めから持つ臭さだ。2~3㍍からでも、色々な臭いがある、火薬などの臭いが立ちこめる戦場でもはっきり分かる。“あんなののどこがいいんだ?”二人の認識は一致していた。軽量な、機動性のある、比較的小型の大砲なども装備した騎兵が投入された。崩れかけていた共和国軍は、その騎兵に突き破られていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ