↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖怪たちの黄昏-森と人間のあいだで―  作者: 智沢蛸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/27

第24章 式神

体育館に飛び込んだ式神は、生徒たちに襲い掛かった。

鳥の形をした式神。

一人の生徒がそれを払いのけようとして触れた瞬間、

電気ショックを受けたような衝撃を受けた。


「痛ぇっっ。」


すぐに真吾(しんご)が彼をかばう。


「触るな、気をつけろ。」


真吾は文化ほうきを手に、式神を遠ざけようとする。


キャー。

ギャー。


あちこちで、悲鳴があがる。


犬の形をした式神が、三枝(さえぐさ)に襲い掛かった。

三枝が手刀を切ると斬撃が飛び、

式神は真っ二つに切れて落ちた。


「やった……。」


だが、次の瞬間2つの破片がそれぞれ犬の形に再生。

再び、三枝に襲い掛かる。


「嘘でしょ。」

「杏奈(あんな)ちゃん、さがって。」


涼子(りょうこ)が三枝をかばうと、冷気が吹き荒れ、式神は凍り付いた。


「ふう。」

「ありがとう。涼子ちゃん。」


しかし数秒後、氷に亀裂が入る。


「しまった。」


再び式神が動き出した。


「2人とも無理するな。さがって。」


真吾の声が響いた。

真吾と景吾(けいご)が並んでほうきを振るう。

叩き落とされた式神が、床を転がった。

大口(おおくち)兄弟の息はぴったりだった。


「景吾、右を頼む。」


そして、小塚(こづか)の方を見た。


「小塚は左だ。」

「了解。」


小塚は、パイプ椅子を式神に叩きつける。


「くそ、切りがない。」


奨(しょう)もパイプ椅子で加勢した。


「触れないんじゃ、どうしようもないな……。たくっ、陰陽師ってのは……。」


そのときだった。


「どいて。」


小柄な男子生徒が前に出た。


「小雨(こさめ)、危ないぞ。」

「俺がやってみる。」


小雨は奨と同じ1年生だが、普段はまったく目立たない。


「あいつも……妖怪だったんだ。」


小雨が両手を合わせる。

次の瞬間。

体育館の天井に小さな雨雲が現れた。

雨に濡れた式神が、力なく地面に落ちる。


「小雨、お前……。」

「俺は小雨坊(こさめぼう)の末裔だ。紙なら水に弱いはずだ。」

「さすがだな。」

「だけど、俺の力じゃこれが限界だ……。」

「小雨、すまん。これ以上は危険だ。」


真吾が叫ぶ。


「みんな体育館の奥に下がれ。」


奨と河田(かわだ)が、体操マットを立てて壁を作る。

式神がそこに激突し、マットが大きく揺れた。


「急げ!」


生徒たちは次々に倉庫に飛び込んだ。

最後に入った真吾が扉を閉める。


ドン!

ドン!

ドン!


倉庫の扉が激しく揺れた。

真吾が声をかけた。


「みんな無事か。景吾、確認して。」

「はい。」


男子生徒たちが倉庫の中の跳び箱を扉に立てかけた。


だが、扉が激しく揺れるたびに、

跳び箱が少しずつ前へ押されていった。

誰も口を開かなかった。


「ここも、いつまで持つかな……。」

【次回予告】

「第25章 油すまし」


「おーい! 助けてくれー!」


体育倉庫に閉じ込められた奨たち。

井上と柳瀬が対峙する中、山倉の叫びが外へ届いた。

駆けつけたのは、用務員の油谷。

果たして、彼らの彼らの救援要請は届くのかーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。