猫の獣人が甘えてきます
「……シャルトさん?…あの、こ、この状況は??」
「?座っているだけです。」
「いや…その、どうして私が、…シャルトさんの……ひ、ひひ、膝の上に……!?」
「少しでも僕に気を向けて欲しかったので、膝に乗せました。」
「隣に座るから、お、降ろして…ください…。」
「いやです。また他の男のことを考え出しそうですので。」
「………そ、そんなことないですっ…!」
「だめです。」
あれから私とシャルトさんは王宮の私室にいた。
二人掛けソファーの真ん中に座ったシャルトさんの膝の上に、横抱きで私が座らされていた。
シャルトさんは両手を私の腰に回し、私の肩に顔を擦り寄せていた。拗ねている顔と言葉遣いなのに、すり寄ってくる姿は甘えているようで少し猫らしく可愛い。
余りの可愛さに負けて、シャルトさんの首に両手を回し抱きしめた。
すると、シャルトさんの動きが止まる。
そのまま動かない様子に不安に思い両手を離そうとすると、力強く抱きしめられた。
間近に見えたシャルトさんの表情は、寂しそうに瞳を揺らしながら真剣な眼差しをしていた。
「サラは女性で国王からの使命もありますし、いずれ婚約者が複数人出来るかもしれません……。ですが、僕と居る時は僕だけを見て欲しいのです。」
「だめでしょうか」と掠れた苦しそうな声で囁かれたら、だめとは言えない。
返事の代わりに、シャルトさんを抱きしめ返した。
その時、シャルトさんの耳がピクッと動きこちらをじっと見つめてきた。
どうしたのだろうかとシャルトさんを静かに見守っていると、彼の視線が私の首へと移る。
そのまま彼の顔が私の首に近付きペロッと舌で首筋を舐められた。
「………っ…!!?」
声にならない悲鳴が漏れる。
……えっ!?
脳内パニックを起こしている私は、シャルトさんにされるがままになっていた。
首筋を舌でペロペロと舐められた後、髪で隠れないギリギリの首の側面に、シャルトさんの唇が触れた感触がした。
そのまま唇で首元を強く吸い上げられチクリと痛みが走る。
一箇所だけではなく、数センチ離れた場所にもまた、唇が触れた感触の後に痛みが走る。
同じことを数回繰り返したシャルトさんは首元から顔を離して私を見つめる。
そのまま今度は私の唇に、彼が唇を重ねてきた。
何度も角度を変えて優しく重ねられる。
恥ずかしくて今にも突き飛ばしてしまいそうなのに、何故か拒絶することが出来なかった。
それはシャルトさんの寂しそうに揺れていた瞳と、掠れた苦しそうな声が脳裏に強く焼き付いていたからだ。
今ここでシャルトさんを突き飛ばして拒絶したら、彼が壊れてしまう気がした。
恥ずかしさに耐えている私の顔は、きっと真っ赤になっているはずだ。
心臓もドクドクッと激しく鳴っている。
それでもシャルトさんからの口付けは止まらない。
角度を変えて、何度も、何度も…。
そんな状況に私の心臓が止まらないことを祈った。
結局この日は夕食まで私室で二人で過ごし、シャルトさんからの口付けが止むことはなかった。




