第ニ十一話 烈火の如き闘気
「…おい、防がれてんぞ、レクサ」
「はぁ…頭が痛いです…」
面倒な事になったと、額を抑えるレクサの肩を叩いて励ますアグニフェルは、思考を巡らせる。
(あのレクサの絶剣をどうやって防いだ?アレを喰らったら流石に私でも瀕死にはなる…とすると何か仕掛けがあるな?)
そう考え、アグニフェルは此方へ迫るニ体の魔神へ意識を傾ける。片方は全くの無傷で、もう片方はダメージを負っているが、それもあと少しで再生するだろう。
「レクサ、役割り分担だ。あのひょろい男は私が潰しておくから、あっちは任せたぞ?」
「分かりました、では…」
レクサが一気に加速して敵に先制攻撃を仕掛けたのを見て、アグニフェルは男…ラディスの前に立つ。
「君が僕の相手をしてくれるんだね?」
「相手だぁ?誰がてめぇみたいなヒョロヒョロの相手をするかよ…ッ!?」
ラディスの掬い上げるようにして振るわれた手を、アグニフェルは受け止めようとしたが…その腕に黒い魔力を纏っていることに気付き、回避する。
「おい、レディアスッ!!守護領域の対象から私を外せッ!!巻き添え喰らうぞッ!!」
その言葉に、レディアスは小さく頷きアグニフェルに纏われていた光が薄れるようにして消える。
「ふひひ…気付かれたかぁ…」
「きもっ…まぁ、二度と喋れねぇように叩き潰せばいいか」
「ふひぃッ!?」
直後、アグニフェルから溢れ出した烈火の如き闘気に、ラディスが悲鳴をあげる。常人ならば気絶しても可笑しくない程練り上げられた闘志を見ても、悲鳴だけで済んだのは流石魔神というべきか…
「どうした、そんなに怯えて?」
「ぐ…殺す殺す殺すぅッ!!」
ラディスは黒い破壊の力を纏い、一気に距離を詰める。それに対して、アグニフェルは…
「〈闘気開放:多重装甲覇気〉ッ!!」
アグニフェルの左腕に紅蓮色の闘気が纏われ、その拳が何倍にも大きくなる。ラディスはそんな事知った事ではないと破壊の力を振るい、アグニフェルの“拳の闘気の一層を破壊するだけに留まった”。
「はへ…?ぐぎぃッ!?」
「フッ飛べやオラァッ!!!」
掬い上げるようにして振るわれたアグニフェルの拳が、ラディスの顎を打ち捉え、上空へ大きく吹き飛ばした。さらに、アグニフェルは全身に闘気を纏って跳躍。上空にいるラディスを回し蹴りで地面へと一気に叩きつけるとそこを中心に大きなクレーターが出来上がった。
「…おい、こんなもんか?」
軽く地面に着地したアグニフェルは、まだ闘志に満ち溢れていた。




