第ニ十話 蠢く悪意
「それでは、行ってきます」
ゲイルは、魔導の女神であるフィーレアにそう言って、転移門を開通する。そこは、魔王城の目の前。転移門は、自身が一度訪れた場所や、目視できる場所にゲートを繋ぐことができる。ただ、魔王城内部には何か細工されているのか、転移門が繋げられなかった。
「えぇ…全員、生きて帰ってくるのよ」
「「「「「「はいっ」」」」」」
「ちょっと待って!!」
ゲイル達が門を潜ろうとした時、クラリスが呼び止める。
「…私も、連れて行って…」
「…」
「…我がままだって分かってる…だけど、私は自分の手で姉さんを助けたいの…お願い、お願いします…」
「…いいよ、一緒に行こう」
「おい、ゲイル…」
「僕らが駄目って言っても、絶対一人で行こうとしそうだし…それなら一緒に居たほうが安全だと思うよ…いいですか、フィーレア様」
「…まぁ、この子が決めたんだったらね…」
フィーレアの最終確認をとって、6人と一人の女神は、魔王城へ向かった…
【複製】
それは、片腕を失いながらもレクサの攻撃を受けて尚、立っていた。
自身をめがけて荒れ狂う刃へ複製した破壊の能力を使い、力尽くで防いでみせた。
そして、男は自身が女神の力を防いだ事に対して声高らかに嗤う。女神とはこの程度なのか、と。
自身に相対する虫ケラを嘲笑うかのように、【複製の魔神】は目を細める。
【吸命】
それは、防ぐでもなく、避けるでもなく、ただ立っていた。
彼女の身体は、無数の刃によって貫かれ、抉られ、斬り刻まれていた。だが、すぐに何事もなかったかのように、その身体からは一切の傷が消えていた。
彼女は自身が生きている事に高揚した笑みを浮かべる。
あぁ、痛くない、私は死を克服したのだと、もう恐れる物は何もないのだと、彼女は理解し、歩みを進める。
こんな物ではまだ足りないと、もっと命を吸い取り、自身の身を守る為、【吸命の魔神】はこの先にいる餌の味を想像し、歪んだ笑みを浮かべる。
【機械】
それは、地面から、様々な金属で作られた自身の身体を“生み出した”。
そして、それは自身が生み出した魔物達が全滅した事を確認し、咆哮を上げる。それと同時に、それの身体から大量の紫色の魔素がまるで煙のように広範囲に放出される。
その魔素の煙から姿を現したのは、ドラゴンやオーガ、その他大勢の魔物達。
その魔物達は、一斉に自身の獲物がいるであろう場所へ走り出す。その光景を見て、【機械仕掛けの魔神】は敵に向けてもう一度咆哮を響かせた。
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『もうすぐ、もうすぐだ…ククククク…』
それは、破壊の女神を黒い水晶に取り込み、自身の目覚めを想像し、嗤っていた。




