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勇者とお見合い~お相手は、本屋で見かけた強面の勇者!?~  作者: 夏生たえ


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【幕間SS】17話に続くサイドストーリー:長谷川孝也

「ハグまでは済んだ。次はついに……キス」


明日のデートを前に、パソコンの前で腕を組む。


「一穂さんのあの唇に触れる……。彼女にとって、ファーストキス。ああ……夢のようだ!」


初めてのキス。

俺の場合、酔った勢いだったから、ほとんど覚えていない。


翌朝起きたら、先輩とベッドに寝てて……。


それがきっかけで、彼女と付き合い始めた。


彼女がいる。

その事実が、自信を取りもどさせた。


そう言う意味では、あの人には感謝しているが、束縛が強く、俺は心を病んだ。



『王子様より、勇者がいい』


あのカフェで、そう言った一穂さんの横顔。

あの瞬間、凍っていた俺の心が溶けだした。


少し天然で、素直で、芯が強い。


会うたびに、惹かれていく。


こんな人は初めてだ。



一穂さんのファーストキス。

一生忘れられないような、彼女の心に刻み込まれるようなキスにしたい。

他の男が目に入らなくなるくらい、夢中になるような……。


「どんな反応を見せるのだろう?可愛すぎて……キスだけで止まらないかもしれない!!」


ダメだ。

今ここで、好感度を下げるわけにはいかない。


お馴染みの相談相手のAIを起動させる。


「見合いの日を含めて、会うのは5回目になる彼女。明日のデートで、キスはあり?」


『平均的な交際プロセスにおける、分析結果は以下の通りです。


・5回目のデートでのキス成功率:推定78%


お見合い(結婚を前提とした交際)の場合、5回目の対面は「お互いの親密性を深めるための重要局面的ステップ」に該当します。


判定:条件は十分に満たされています』


「逆に言えば失敗する確率が22%……。結構高いな。失敗の要因は?」


『残り22%における主な拒絶の要因は以下の通りです。


・清潔感の欠如(口臭・髭の剃り残し・服装の乱れ)


・タイミングの誤認(相手が疲れている・体調が悪い・心理的準備が整っていない)


・「早すぎる」と感じる個人差

お見合い経由の場合、より慎重なステップを求める層が15~20%存在します。


補足:相手が「まだ早い」と感じている場合、無理に強行すると交際終了のリスクが急上昇します』



「交際終了!なんて恐ろしい言葉だ……。とにかく、無理強いしなければいいんだな。清潔感か……。そう言えば何を着て行こう?」


寝室のクローゼットを開ける。


ほとんど黒、グレー、紺の服が並ぶ中、一枚だけ間違って注文した、白いセーターが目立っていた。


「清潔感と言えば白だろう。まさか、これを着る日が来るとは思わなかったな」


一穂さんは、何を着てくるのだろう。

何を着ても可愛いけど。


いつか彼女がコーディネートしてくれた服を、着る日が来るのだろうか。

幸せな未来しか思いつかない。


俺は相当浮かれてるな。


ただ仕事をし、生きているだけだった空虚な人生。

あの日、一穂さんに出会ってから、色を取りもどした。


これまで、どうやって彼女なしに生きてきたのか……不思議でならない。


彼女の隣で目覚める日を夢見て……。


確実に、距離を詰めていこう。



挿絵(By みてみん)

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