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勇者とお見合い~お相手は、本屋で見かけた強面の勇者!?~  作者: 夏生たえ


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2話 再会

物語の中なら、勇者に出会った主人公は、





1,一緒に冒険に出る。


2,恋に落ちる。





だろう。



けれど、現実はそうじゃない。


いや、物語の中だったとしても、あの迫力ではとても近寄れないだろう。



降ってわいたお見合い話を、一瞬忘れさせてくれたこの出来事。


翌日には、きれいさっぱり忘れてしまった。



****


師も走るほど忙しい十二月。


あっという間に一人ぼっちのクリスマスが過ぎて、連休がやってきた。



部屋の大掃除もそこそこに、連休初日、最終の新幹線に飛び乗る。


猛スピードで走る新幹線の中で、書店おすすめの小説を読み終えた時、


私は、実家近くの駅に到着した。


深夜にもかかわらず、迎えに来てくれた弟の祐樹が、改札の向こうで手を上げた。



****



「母さん、張り切ってるよ」


運転しながら、ニヤニヤと話し始める五つ年下の弟。


高校生の時から付き合っている彼女と、来年結婚することが決まっている。


もうすぐ既婚者になる彼は、恋愛や結婚に関して、私より格上。


他人事だと思って、楽しんでいるらしい。



「それにしても、どうして急に、お見合いなんて言い出したの?」


「パート先に新しく入った人と、意気投合したらしい。いい年した子供が、未だに独身だって」


「仕事先で話題にされるなんて……嫌だな」


「姉さんのことだけじゃなく、僕のことも話してるよ。だから、あのスーパーには寄らないようにしてるんだ」


「正解ね。あれが噂の娘さん?なんて思われるのは、御免だわ」


「あはは。まあ、母さんはおせちを作らなくて済むから、ラッキーと思ってるみたいだよ」


「なんだ!それが狙いだったのね」



元日から、ホテルの料亭でお見合いなんておかしいと思った。


少しばかり軽くなった心で、実家の門をくぐった。



****


「なんで私だけ着物なの」


「時々やってないと、着付け方を忘れちゃうのよ」


「だったら自分で着ればいいのに……」


「結婚式のときは着るわよ」



母はこの日のため、新しく買ったというワンピースの裾を揺らして、軽やかに歩いていく。

その後ろを歩く父は、少し緊張した顔をしていた。




――「まあ、そんなに急がなくても」





帰省した翌朝。


母と見合いについて話をしていると、父がそう漏らしたことを思い出す。


二十九歳になっても、私を嫁に出したくないらしい。


大切に思ってくれているんだと、嬉しくなった。


とはいえ、甘えてばかりはいられない。




お見合い相手は、長谷川 孝也さん。


三十五歳のシステムエンジニア。


婚姻歴なし。


国立大を卒業後、大手企業に就職。



電話で話していた通り、ちゃんとした人らしい。



頭良さそうだな。


マチアプの時みたいに、話が弾まなかったらどうしよう……。


ぎゅっと絞められた帯の苦しさのせいなのか、それとも、緊張のせいなのか……息苦しさを感じる。



予約された個室に入ると、先方はすでに席に座っていた。




「あけましておめでとう、長谷川さん!」


母はパート仲間にそう挨拶すると、世間話を始めてしまった。


相手方のお父様が困ったように、「どうぞ、どうぞ」と勧めてくれたおかげで、着席することができた。


腰を落ち着けたその時、お見合い相手が目に入った。




「ひっ!」





走馬灯のように、記憶が戻ってきた。


あの殺し屋……いや、勇者!


目の前に座る男性は、まぎれもなく大人買いしていた、あの男性だった

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