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勇者とお見合い~お相手は、本屋で見かけた強面の勇者!?~  作者: 夏生たえ


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【幕間SS】11話に続くサイドストーリー①:長谷川孝也

11話に続くサイドストーリーです。

「真剣に付き合いたいと思ってる」


一穂さんの年齢なら、その意味が分かっているはず。


その上で、俺でいいと言ってくれたんだ。

彼女の前で、情けない姿まで見せたのに。


三十五歳にもなって、こんなに浮足立つような気持ちになるとは、思いもしなかった。



未だに信じられない。

まさか、「勇者」が俺だったなんて……。


目つきが悪くても、漫画が好きでも、ありのままの俺を好きになってくれた。


今までの彼女とは全く違う。



――最初の彼女は大学の先輩。

思い付きで作ったスケジュール管理アプリで収益を上げると、向こうから声をかけられた。


初めての彼女。

浮かれた俺は、彼女の言いなりだった。


「アプリ開発で起業しなよ」


そう言って行動を制限する彼女。

せっかくできた友達とは疎遠になり、俺の傍には彼女しかいなくなった。


次第に俺の心が病んでいくと、「そんなに根暗だと思わなかった。面倒見切れない」と去っていった。


「システムエンジニアなんですか?将来安泰ですね」

「二十代で係長なんて、すごいですね!」


レッテルだけを見て寄ってきた彼女たちは、素の俺が見えた途端、去っていった。



****


少し寂しそうに笑う一穂さんを見送り、俺は実家へと車を走らせた。


信号待ちの合間、さっきまで一穂さんが座っていた助手席に目を向ける。


俺が初めての彼氏。


あんなに隙だらけで、よく今まで……。


もしかしたら、隙を見せたのは俺だけ?


さすがにうぬぼれが過ぎる。


彼女の周りにいた男の目が、節穴だったのだろう。


「一緒に帰ることができたらよかったのに……」


予約を変更できないかと問い合わせたけれど、ダメだった。


「次に会うまで一週間。長すぎるだろ……」


一時間と経っていないのに、もう会いたい。

ずっとそばにいたい。



結婚まで、何か月待てばいい?


すでにお互いの両親と顔を合わせてるんだから、色々すっ飛ばしてもいいんじゃないか?


待て待て。


俺が初めての彼氏なんだ。


恋人同士の時間も、大事にしなきゃだめだろう。


理性が持つかな……。


いきなり襲い掛かることがないよう、気を付けよう。


絶対に、一穂さんを離すものか。





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