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クレーマーキラー  作者: 大窟凱人


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6/10

お年魂

 正月。ばあちゃんの家に親戚一同集まるとLINEが来ていたので、俺はお年玉を妻と用意してからばあちゃんちに向かった。


 親戚たちに軽く挨拶してから家に上がると、子供たちが走り回っていた。中学生になって落ち着いてる子もいる。もうあんなに大きくなったのか。


 さっそくお年玉を渡すよと伝えると、みんないっせいに群がってきた。ひとりひとり手渡す(だいたいがあとで親に徴収されるようだが)渡すと「おじさんありがと!」などと言ってて、かわいいもんだ。


「これで全員配り終えたな」


「わたしのは?」


「え?」


 女の子がひとり残っていた。


 しまったな。お年玉袋、数え間違えたか。


 俺は慌てて鞄から余っていた袋を探し、財布から5千円取り出して入れ、その子に渡した。


 彼女はぱあっと明るい顔になり、


「ありがとう!」


 と言って走り去った。


 やれやれ。でも、あの子……誰の子だっけ?



 そのあとは親戚たちと飲む。近況を話してから、隣にいた叔父に小声で「知らない子がいたから教えて」と耳打ちした。


「おう。どの子だ?」


「ええと……あれ?」


 さっきの子を探したが見当たらない。


「いたらもう一度聞く」


「親戚付き合い悪いからだぞ? ほら、もっと飲め」



 やがて帰る時間になった。結局あの子は最後まで見かけなかった。


 帰り際、ばあちゃんにも話してみた。「そういえば、お年玉一人分忘れちゃってさー。焦ったよ」って。するとばあちゃんは真顔になって、


「待ってな」


 そう言い、自分の部屋へ行き、古いアルバムを持って戻ってきた。


 そして写真を俺に見せた。例の子が写ってる。


「この子はね、あんた叔母さんだよ。ずっと昔に死んじまってね。たまに現れるんだよ。死んだことに気づいてないの」


 俺はばあちゃんがボケちまったのかと思い、その写真をもって親戚一同に聞いて回った。結果……この写真の女の子は俺の叔母さんで間違いないらしい。証人が多すぎて否定できない。


「あんたが相手してくれてきっと喜んどるよ。来年もまたお願いね」


「あ……あはは」


 来年はあの子の分も忘れないようにしないとな。

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