お年魂
正月。ばあちゃんの家に親戚一同集まるとLINEが来ていたので、俺はお年玉を妻と用意してからばあちゃんちに向かった。
親戚たちに軽く挨拶してから家に上がると、子供たちが走り回っていた。中学生になって落ち着いてる子もいる。もうあんなに大きくなったのか。
さっそくお年玉を渡すよと伝えると、みんないっせいに群がってきた。ひとりひとり手渡す(だいたいがあとで親に徴収されるようだが)渡すと「おじさんありがと!」などと言ってて、かわいいもんだ。
「これで全員配り終えたな」
「わたしのは?」
「え?」
女の子がひとり残っていた。
しまったな。お年玉袋、数え間違えたか。
俺は慌てて鞄から余っていた袋を探し、財布から5千円取り出して入れ、その子に渡した。
彼女はぱあっと明るい顔になり、
「ありがとう!」
と言って走り去った。
やれやれ。でも、あの子……誰の子だっけ?
そのあとは親戚たちと飲む。近況を話してから、隣にいた叔父に小声で「知らない子がいたから教えて」と耳打ちした。
「おう。どの子だ?」
「ええと……あれ?」
さっきの子を探したが見当たらない。
「いたらもう一度聞く」
「親戚付き合い悪いからだぞ? ほら、もっと飲め」
やがて帰る時間になった。結局あの子は最後まで見かけなかった。
帰り際、ばあちゃんにも話してみた。「そういえば、お年玉一人分忘れちゃってさー。焦ったよ」って。するとばあちゃんは真顔になって、
「待ってな」
そう言い、自分の部屋へ行き、古いアルバムを持って戻ってきた。
そして写真を俺に見せた。例の子が写ってる。
「この子はね、あんた叔母さんだよ。ずっと昔に死んじまってね。たまに現れるんだよ。死んだことに気づいてないの」
俺はばあちゃんがボケちまったのかと思い、その写真をもって親戚一同に聞いて回った。結果……この写真の女の子は俺の叔母さんで間違いないらしい。証人が多すぎて否定できない。
「あんたが相手してくれてきっと喜んどるよ。来年もまたお願いね」
「あ……あはは」
来年はあの子の分も忘れないようにしないとな。




