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おばあちゃんのしわ
おばあちゃんのしわが増えていく。
おばあちゃんのしわは海溝のように深い。ぼくが中に入ったら、きっと戻って来られない。
おばあちゃんはしわでできたしわ星人だ。これは老人差別じゃない。おばあちゃんのしわはぼくの腕を挟んでもまだ奥があるんだから。
おばあちゃんはだぶだぶだ。一度どうしてそんなにだぶだぶなのか訊いたことがある。おばあちゃんは答えた。
百三十七億年生きたら誰でもこうなるよ、ぼうや。
なるほど、とぼくはうなずく。
しわ星人というのは正確ではない。長生きしたからこんなにだぶだぶなんだな、とやっとわかった。ただ、おばあちゃんは地球人とはちょっと違う。少なくとも本籍地は地球じゃない。
ぼくの皮膚はまだぴんと張っている。張っているけれど、いつかはだぶだぶになるだろう。
《了》




