混乱
沖縄米軍基地壊滅から六日、中国艦隊は海上自衛隊と睨み合いながら、南シナ海航路、及び豪州太平洋航路を封鎖。食料、エネルギーのほぼ全て輸入に頼る日本の生命線は絶たれた。
世界各国は自国の国民を日本から脱出させる為の航空機を手配し、戦火を逃れ海外へ脱出しようとする人々で、空港はパンク状態になっている。
一方では、未だに戦争に反対する集会が開かれたりしているが…攻撃されている側の國民が反戦を叫ぶ意味が分からない。
メディアでは小競り合いの戦闘の映像が流され、日本政府は停戦に向けた話合いの道を探っているとし、國民に早期解決を約束しながら、冷静な行動を呼び掛けていた。
しかし、不安に駆られた人々は、食料や日用品を買い溜めるためにスーパーなどに押し掛け、特に都市部では瞬く間に物資の不足が広がっている。
それでも半数以上の勤勉な日本人は、通常通りに仕事をしていた。そうする事で心の均衡を保っているのかもしれないが、そのお陰でインフラはまだ機能していた。
本格的な戦闘が始まれば、自衛隊は一日と保たない。中国がその気になれば、大量のドローンとミサイルが撃ち込まれ、数時間で戦闘は終了するだろう。
だが中国政府は慎重であった。
先ずは、空になった沖縄米軍基地を攻撃して、USAの反応を確認した。
その後、航路を封鎖して日本を孤立化し、自衛隊の動きを観察。潜入工作員からの情報を元に日本政府の対応を見極めている。
揺さぶれば揺さぶるほどに、日本政府の対応のお粗末さが明るみになり、自衛隊との連携が拗れていく様は敵国としても余りに不甲斐ない。
それでも、中国政府が慎重になるには理由があった。
「日本政府は日本國そのものでは無い。彼等はUSAの残した残骸の様なものだ。日本國を決して侮ってはならない。」
中国の上層部は、現状をその様に分析している。
確実に日本を手に入れるためには、短絡的な戦闘での征服では不十分だと理解しているのだ。
流石に数千年の隣国である。日本の國體を熟知している。どの組織がどう反応するのか、中国政府の関心は既に日本政府以外に向けられていた。
そして翌日、早朝4時30分。遂に、中国軍による本格的な日本侵略攻撃が始まった。




