5/46
売国奴
想定外の事態…そんな無責任な事を言いそうな自称エリート達は、USAの代わりに従属すべき大国は何処だろうと議論していた。
中国にパイプを持つ人々も多かったが、その内の数人は中国の工作員であるのだから当然である。ロシアやインドに縋ろうとする意見を躱し、巧みに思考を誘導して選択肢を削っていく。
「やはり中国に降伏するのが良い。今なら好条件で交渉出来るはずだ。」
「私が窓口になって交渉しよう。」
「いやいや、沖縄を中国に渡せば、きっと上手く事が収められるはずだ。俺が交渉する。」
「あんたらは何も分かってないな。私が中国企業を国内に引き込んでいるんだ。彼らが欲しいのは領土ではなくて市場だよ。」
熱い議論は興に乗り、夜遅くまで続いている。
彼等の頭の中には、その後の政府の重鎮となって、歴史に名を残す自分の姿が確かに見えているのであろう。
「何れにしても、政権交代を急がなくてはならないな。」
「官僚共も…あの拝米主義者達も厄介だ。洗脳されていることにすら気付いておらん。」
「全くだな。だが、これからは我々の時代が来る。」
「ああ、奴らに国政を仕切る能力など無いからな。」
楽しそうに談笑し始めた自称エリート達。彼等の笑い声に嘲笑が入り混じっていることには、気付きもしていないようであった。




