巫女様
札幌にある旧道庁を國政を行う為の象徴としていたが、巫女様が居るのは道場のある山の中であった。
巫女様は日々神々に祈りを捧げ、國の安泰と世界の和平を願っている。
そんな巫女様が俺達を呼んだとなると、何か御神託が降りたのであろう。
「こんにちは。なんか呼ばれてるって聞いたんだけど、巫女様どこ?」
「あら、二人揃って来るなんて珍しいわね。巫女様なら、さっきご飯食べてたから…お昼寝してるかもね。今呼んでくるから、ドン亀で待ってて。」
「ああ、そんなに急がなくてもいいぜ。」
ドン亀とは、道場に併設されている茶屋の名だ。実は俺がプロデュースして作った店である。
古民家を直して、小上がりと土間のテーブル席が50名分ほどあり、道場の門下生達の食堂にもなっていた。
勿論、夜は酒も飲める。
「咲ちゃん、久し振りだね。」
「いらっしゃい。」
「コーヒー二つもらえるかい?あっ、俺のには毒入れないでね。普通に死んじゃうから。」
「いやいや…俺も普通ので良いよ?」
「ふふふっ。分かったわ。コーヒー二つで、一つ毒抜きね。」
咲夜は、ここで働くようになってから随分と明るくなった。宮川に斬り落とされた右手も、細かい作業こそ苦手のようだが、刀を振れるほどに回復している。
コーヒーを飲みながら、ぼんやり庭を眺めていると、どうでも良いことが頭に浮かんでくるものだ。
「なあ宮川、遺跡を見つけた時にさ、俺がお前にさ…とんでもない奴の相棒になっちまったんだな…て言ったの覚えてるか?」
「ん?…ああ、言ったな。それが?」
「そん時に…お互い様だ…って、俺に言っただろ?それって、どういう意味なんだよ。」
「う~ん、それ今聞く?話すと長くなるから、今度にしようぜ。」
「いや…でもさ…」
その時、遠くから石畳を走る独特の足音が響いて来た。
『…カッ…カッ…カッ…カッ…はぁ、はぁ、ゴメンね、こんなに早く来るとは思わなくって。』
咲夜と同じくらいの年頃の、ゴスロリのコスプレをした巫女様の登場であった。




