天啓
俺達は、震災で忙しく駆け回っている石黒を捕まえて、いつものクルーザーで沖に出ていた。
夕張の遺跡調査の詳細を報告すると、余りの事の重大さに、石黒は深く考え込んでしまった。
「はぁ…このタイミングですか。以前発見した鉱石にも関連しているのでしょうか?」
石黒は溜息と共にソファーに深く座り直すと、宮川に目線を送った。
「…言い辛い事を聞いて来るな…そうだよ。これを動かしてるのは、あの石が起点になっている。あの石自体がエネルギーを持っている訳では無いんだ。」
「成る程…困りましたね。」
「だろ?…で、どうするよ。」
「実は、同じ様な遺跡は中東やロシア、南極等に確認されています。使い方が分かっていない事と、明るみになっては困る勢力によって公表されてはいませんが…。」
「ああ、幾つかは俺も聞いたことがあるよ。都市伝説と煙に巻かれていたな。」
「ロシアやUSAは、UFO等の技術等を与えられているようですが、未だに使いこなしていないでしょう?それらをまともに運用するには、彼等の霊性が低すぎるからなんです。」
「そうなのか?」
俺はその辺りの知識は余り持っていなかったので、単純に興味が湧いてくる。
「はい、事実ですよ。問題は夕張遺跡の技術が、現代人に使えるかどうか、ではないでしょうか。」
「残念ながら石とあのシステムは、一度起動させてしまえば誰でも使えるんだよ。」
宮川も、頭を抱えてソファーに身を預けてしまった。
「やっぱりそうですか…。」
「いっそのこと埋めちまうか。」
「そうしたいのは山々ですが…これは天啓ですよね…。」
「…だよな…。」
「どう考えても、そうだな。」
と言うことは、これを使えと神様が投げてよこしたのだ。
これからの時代に必要だと理解して、その使い方を俺達が考えなければならない。
神様は何時も無茶振りしてくるが、後に振り返ってみると、必要なタイミングで必要な事をさせている。
「はぁ…それにしても、何から手を付けて良いものか。」
「この際だから、もう一つ言っておくよ。夕張にはあの鉱石の鉱脈があるぜ。たんまりとな。」
その宮川の駄目押しに、石黒は更に深くソファーに沈み込んでしまうのだった。




